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夏物語 / 川上未映子(文藝春秋)
個人的な評価 ☆☆☆
東京で小説家として生きる38歳・独身の夏子には、
「自分の子どもに会いたい」という願いが芽生えつつあった。
パートナーなしの出産の方法を探るうち、精子提供で生まれ、
本当の父を捜す逢沢潤と出会い、心を寄せていく。
いっぽう彼の恋人である善百合子は、出産は親たちの「身勝手な賭け」だと言い、
子どもを願うことの残酷さを夏子に対して問いかける。
この世界は、生まれてくるのに値するのだろうか―。
(感想)
※ かなりネタバレあります
第一部は「乳と卵」の改訂版らしいのですが、
「乳と卵」読んでるはずなのにまったく気づきませんでした。
読んだのは10年以上前とはいえ、自分の中になんにも入ってなかったことに愕然。
てか、この第一部がクセモノで、
540ページ程度の小説なんて私ならさほど苦労することなく読めるはずなのに、
意外にも読了まで2週間もかかってしまったんですよねぇ。
おそらくこの手の話題にはあまり生々しく触れたくない・・・
そういう思いが私の中に潜在的にあるのかもしれませんね。
私、子供いないし、欲しいと思ったこともないので。
男性と性的な行為をすることができない、でも自分の子供には会いたい。
主人公の夏子はそのための手段を模索します。
最終的にはお互いに思い合う相手・逢沢から精子の提供を受けて出産することになるのだけど、
2人は結ばれることなく、夏子は一人で子供を育てる。
ここでなぁ・・・もう一歩、夏子と逢沢には歩み寄って、「二人で育てる道」を選んでくれればなぁ・・・。
その結末に落ち着かなかったことが疑問だし、残念でなりません。
そうしちゃうとテーマが変わっちゃうからってことなんですかね(;´・ω・)
夏子はいいにしても、逢沢はほんとにそれでいいの?
あと、第一部で緑子が感じていた女性であることへの嫌悪感と違和感も回収できてない気がするし。
なんだかすっきりしないお話でした。
最後にもひとつ。
本編とは関係なく気になって仕方ないのがこの表紙! この絵はなんなんだ?
私にはこれは女性の後姿で、
ポニーテールをするときのように髪をまとめて上に持って来てる姿のに見えるんだけど、
それだとタイトルの文字の「夏」の上のあたりにある黒いのがなんだかわからんのよなー。
ネットで調べても、読者の憶測しか出てこず、はっきりしたことはわからない。
うーん、人の解釈を読めば読むほどわからなくなるし〜。
そうやって困惑させるのも狙いなのかなぁ・・・。