隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
<< October 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
# 魔眼の匣の殺人
評価:
今村 昌弘
東京創元社
¥ 1,870
(2019-02-20)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 魔眼の匣の殺人 / 今村昌弘(東京創元社)

 

 個人的な評価 ☆☆☆

 

その日、“魔眼の匣"を九人が訪れた。

人里離れた施設の孤独な主は予言者と恐れられる老女だ。

彼女は葉村譲と剣崎比留子をはじめとする来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。

外界と唯一繋がる橋が燃え落ちた直後、予言が成就するがごとく一人が死に、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。

ミステリ界を席巻した『屍人荘の殺人』シリーズ第二弾。

 

 

 

(感想)

 

前作の「屍人荘の殺人」が面白かったので今作にはかなり期待していました。

んー、でもハードル上げ過ぎたかなぁ。

これといった新しさもなく、一般的・純粋な推理小説の域を出ていない印象。

前作の「ゾンビ」のトンデモっぷりが強烈だっただけに、残念でしかありません。

主人公コンビは前作に比べるとずいぶんとラノベっぽい雰囲気になり、

ラノベ世代でない私には少々読むのがきついものがあります(;´・ω・)

 

続編があることを宣言するかのような終わり方。

次は1作目を超えるような、読者の度肝を抜く作品を期待します。

| comments(0) | trackbacks(0) | 14:37 | category:    今村昌弘 |
# 待ち遠しい
評価:
柴崎 友香
毎日新聞出版
¥ 1,760
(2019-06-08)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 待ち遠しい / 柴崎友香(毎日新聞社)

 

 個人的な評価 ☆☆☆

 

住み心地のいい離れの一軒家で一人暮らしを続ける北川春子39歳。

母屋に越してきた夫を亡くしたばかりの63歳、青木ゆかり。

裏手の家に暮らす新婚の現実的な今どきの新婚25歳、遠藤沙希。

年代も性格もまったく異なる3人の出会いから始まった、

温かく、どこか噛み合わない“ご近所付き合い”、その行方は―。

 

 

 

(感想)

 

同じ女性であれど、世代も性格も人生観もまったく違う3人が、

ご近所さん」という縁でつながって交流していく姿を描いています。

さして大きな出来事があるわけでなく、淡々と進んでいきます。

でも、人生ってそんなもんですよね。

自分の近くにもいそうな普通の人の普通の生活をのぞき見させてもらうような作品でした。

 

人に迷惑をかけずにそれなりの生活をしているのに、

いい年になっても独身だとか、ちょっと変わった服装をしてるとか、

そんなことだけで色眼鏡で見られる。

そんなの今どき古いと思うけどなぁ〜。

いろんな人がいるから面白い、いろんな人がいるから世の中は成り立つ。私はそう思います。

早く、そういう考えが当たり前の世の中になることを願います。

 

何かを「待ち遠しい」と思えることの幸せも実感しました☆彡

| comments(0) | trackbacks(0) | 13:39 | category:    柴崎友香 |
# ノーサイドゲーム
評価:
池井戸 潤
ダイヤモンド社
¥ 1,760
(2019-06-13)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ノーサイドゲーム / 池井戸潤(ダイヤモンド社)

 

 個人的な評価 ☆☆☆

 

大手自動車メーカー・トキワ自動車のエリート社員だった君嶋隼人は、

横浜工場の総務部長に左遷させられ、同社ラグビー部アストロズのゼネラルマネージャーを兼務することに。

ラグビーに関して何の知識も経験もないズブの素人である君嶋が、

お荷物社会人ラグビーの再建に挑む。

 

 

 

(感想)

 

んー、先にドラマ版を見ていたので、どうしてもドラマと比較しちゃう。

ドラマの方が人間関係や人物描写がしっかりしてて、小説の方はいまいち物足りなかったです。

手に汗握り、ハラハラドキドキするようなやり取りも少なく、

過去の池井戸作品と比較しても盛り上がりが足りません。

全体的にあっさりしてたな〜。

これってもしかして、

ラグビーのワールドカップを盛り上げるために書かれた企画モノだったりするんですか?

 

池井戸さんの作品のストーリーの流れは基本的にどれも同じ。

そのへん、「水戸黄門」などの時代劇に通じるものがあります。

つまり最終的に正義は勝つ、だから安心して読める。

それを「良し」とするか、「またか・・・」と思うか。

私は「またか・・・」かな、少し飽きてきたかも・・・(;´・ω・)

そろそろ池井戸さんの新境地を見てみたい気もしています。

| comments(0) | trackbacks(0) | 15:16 | category:    池井戸潤 |
# 趣味で腹いっぱい
評価:
山崎ナオコーラ
河出書房新社
¥ 1,185
(2019-02-21)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 趣味で腹いっぱい / 山崎ナオコーラ(河出書房新社)

 

 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

幼い頃から「働かざるもの、食うべからず」と父に言われ続けて育った小太郎は銀行員となり鞠子と結婚。

一方、大学院出の鞠子は就職せず専業主婦になることを希望し、趣味に生きる生活を始める。

働く人だけがエラいのか、収入がない者はだめなのか――。

働くとは何か、生きるとは何かという根源的な疑問に迫る仕事VS趣味小説。

 

 

(感想)

 

「働くとは」「生きるとは」といった人生における永遠のテーマに対し、

ものすごーく軽やかにお気楽につづられた本。

誰もが当たり前だと思ってて、深く考えもしないようなことを突き詰めて考える、

山崎ナオコーラらしさのよく出ている作品です。やっぱり深い。哲学だな。

 

「働かぜる者、食うべからず」と、働くことがえらいことなんだと刷り込まれて育ってきた夫・小太郎。

その一方で、趣味に生きる妻・鞠子。

まったく違う価値観を持っている2人なのに、どっちの主張にも共感できました。

これを読んだ後でも私はどちらの考えが正しいとは言えないけど、

でも、鞠子のような考え方ができる人やこの考えを尊重できる人が増えれば、

世の中もっと明るく・楽しくなるような気がします。

鞠子は「趣味を通してちゃんと社会に参加している」と考えていて、

その考え方も好きでした。

| comments(0) | trackbacks(0) | 10:47 | category:    山崎ナオコーラ |
# 猫がいなけりゃ息もできない

JUGEMテーマ:エッセイ

 

 猫がいなけりゃ息もできない / 村山由佳(ホーム社)

 

 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

房総・鴨川での田舎暮らしを飛び出して約15年。
度重なる人生の転機と転居、波乱万丈な暮らしを経て、

軽井沢に終(つい)の住まいを見つけた著者。
当初2匹だった猫も、気づけば5匹に。
中でも特別な存在は、人生の荒波をともに渡ってきた盟友〈もみじ〉。
連載のさなか、その〈もみじ〉が、ある病に侵されていることが発覚して――。

 

 

 

(感想)

 

NHKの「ネコメンタリー」を見て、

その関連本「もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた」も読みました。

作家さんと猫の6つのエピソードのなか、特にいいなと思ったのが村山さんともみじのコンビ。

 

私自身も5か月前から猫を飼い始めました。

1歳の茶トラの女の子、元は保護猫。私にとってはじめての猫です。

「猫を飼おう!」と思ってからこれまで、

勉強のつもりで多くの猫本を読んできましたが、お別れを綴った作品はこれがはじめてで、後半は号泣。

とてもじゃないけど、人前で読める本ではありません。

 

2人(+1人?w)の濃密な年月。

ともに過ごした時間は穏やかな時間だけじゃなく、

一緒に別れや悲しみを乗り越え、ともに戦ってきた戦友だからこその絆も伝わってきました。

もみじだって「かーちゃんがいなけりゃ息もできない」状態だったに違いない。

猫を飼うということは、日々のごはんをあげてかわいがることだけじゃない。

健康管理をし、最後はしっかりと看取る覚悟も必要だということ。

「ともに生きていく」ということ。

これを読んで、いま、私のそばでお昼寝をしているこの猫に対してより強い責任感を感じました。

 

「作家」という職業がのつらさ・厳しさも胸にしみたな〜。

作家だからこそ、この悲しみをすべて文章にして残しておく。

SNSを更新したり、文章を残したり、その時々の状況をリアルに記録しておられたようで、

悲しみや喪失感で何も手につかないような状況だったはずなのに、よく頑張ったとそのプロ根性に脱帽します。

でも、よく考えるとやっぱり、

村山さんが母としてもみじにしてあげられる一番のことって、「文章で残すこと」なんだよなぁ。

だからこの本の発刊も、もみじは天国でとても喜んでいると思います。

| comments(0) | trackbacks(0) | 14:13 | category:    村山由佳 |
Categories
Archives
Profile
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
にほんブログ村
にほんブログ村 本ブログへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
Search this site
Sponsored Links