隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
<< October 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
# ロンリネス
評価:
桐野夏生
光文社
¥ 1,728
(2018-05-31)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ロンリネス / 桐野夏生(光文社)

 

 個人的な評価 ☆☆

 

東京湾岸のタワマンに暮らす岩見有紗は、

夫とのトラブルを乗り越えたかに見えたが再びぎくしゃくしている。

そんななか、同じマンションに住む高梨と急接近。

ママ友でW不倫中の美雨ママに相談をするうちに、

有紗は高梨に強く惹かれていることに気づく――。

 

 

 

(感想)

 

桐野夏生さんの新作が図書館に入荷すれば必ずすべて借りてきます。

これも新着コーナーで見つけて内容も確認せずに借りて来たけど、

読み始めてすぐに「あの家族の話か・・・」と気づく。

そう、これは「ハピネス」の続編。

主人公の有紗には「ハピネス」でも全然共感できなかったけど、

今作でもまーったくわかんなかったです。

 

結婚してる身でも、素敵な異性を見つけたら素敵な人だな〜と思う。

だから私は不倫してる人をはっきりさっぱりと否定することはしません。

下手すりゃ明日は我が身かもしれませんからね・・・。

けど、それにしたって主人公の有紗ってどうなんだろう。

人に振り回されてばかりで、自分の意志がない人。

そーいうところを高梨みたいな男は嗅ぎ分ける。

それに気づけずに巻き込まれちゃうところが「ロンリネス」なんでしょうね。

相当、日々の暮らしにストレスや空虚感を抱えてるんだろうな。

数年ぶりに雄大に会い、思いがけずにいい時間を過ごせたというのに、

その足で不倫に直行〜!!はちょっと許せなかった。

このタイミングでそれはあってはならないでしょ。

けど、「馬鹿じゃねーの」と思いつつも、グイグイ読ませる。

これはやはり桐野さんの力量。ドロドロしたものを書かせたらやっぱりうまい。

けど、村山由佳の不倫モノとか読んでる私に言わせれば、

この不倫にはゾクゾクしなかった。ときめきも感じなかった。

このへんは作風の違いなんでしょうね。

 

んでも、人としていちばん理解不能だったのは、

有紗でも美雨ママでもなくて、栗原と由起子だったりします。

よくもまぁ、恥ずかしげもなく・・・。倫理も情もあったもんじゃないですね。

 

さんっざん文句を言ってるけど、次回作が出たらまた読むだろうな。

有紗の「本気の恋」とやらがどうなるか見届けたいです。

| comments(0) | trackbacks(0) | 12:37 | category:    桐野夏生 |
# デートクレンジング
評価:
柚木 麻子
祥伝社
¥ 1,512
(2018-04-11)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 デートクレンジング / 柚木麻子(祥伝社)

 

 個人的な評価 ☆☆

 

喫茶店で働く佐知子には、

アイドルグループ「デートクレンジング」のマネージャーをする実花という親友がいる。
実花は自身もかつてアイドルを目指していた根っからのアイドルオタク。
何度も二人でライブを観に行ったけれど、

佐知子は隣で踊る実花よりも眩しく輝く女の子を見つけることは出来なかった。
しかし「デートクレンジング」が解散に追い込まれ、

実花は突然何かに追い立てられるように“婚活"を始める。
初めて親友が曝け出した脆さを前に、佐知子は大切なことを告げられずにいて……。
自分らしく生きたいと願うあなたに最高のエールを贈る書下ろし長編小説。

 

 

 

(感想)

 

わー、なんか「ベッタベタした女の友情」って感じがして、苦手でした。

人生楽しむ上で、みんななにかしらのオタクであることは、

絶対に必要なことだと思っている私だけど、

この主人公のような「私は親友のオタク」「親友が推し」なんつーのはほんと勘弁してほしい。

これって単純に友情ととらえていいのだろうか? 気持ち悪い!

 

「結婚・子育てをしてこそ一人前の大人」だとかそいうことで人を差別するのは、私もいや。

実際、自分はほんとは結婚なんてしたくもないのに、

周囲がうるさいからとか、一人前として認められたいからとか、

そんな焦りの気持ちで結婚に走ろうとする人、何人か見てきました。

だから実花の追い詰められていく感じはよーくわかる。

当人にかかってるプレッシャーは相当なもんだから、

「そんなんで幸せになれない」「やめた方がいい」なんて言っても聞く耳、持ちやしない。

 

だけど、そういう話と、女の友情と、オタクの話を絡ませるのはどうも無理があった。

なんだかピントが外れてるよーなもやっとした感じが残ります。

 

ちょっと今回の柚木さんはいまいちでした。

| comments(0) | trackbacks(0) | 16:36 | category:    柚木麻子 |
# 風は西から
評価:
村山 由佳
幻冬舎
¥ 1,728
(2018-03-27)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 風は西から / 村山由佳(幻冬舎)

 

 個人的な評価 ☆☆☆

 

大手居酒屋チェーンに就職し、繁盛店の店長となり、

張り切って働いていた恋人が突然自ら命を絶ってしまった。

大手食品メーカー「銀のさじ」に務める千秋は、自分を責めた――。

なぜ、彼の辛さを分かってあげられなかったのか。

なぜ、彼からの「最後」の電話に心ない言葉を言ってしまったのか。

悲しみにくれながらも、健介の自殺は「労災」ではないのか、

その真相を突き止めることが健介のために、自分ができることではないか、と千秋は気づく。

そして、やはり、息子の死の真相を知りたいと願う健介の両親と共に、大企業を相手に戦うことを誓う。

小さな人間が秘めている「強さ」を描く、社会派エンターテインメント。

 

 

 

(感想)

 

なんの予備知識もなく、ただ村山由佳さんの本だからと読みはじめ・・・。

でもねー、読み始めてわりと早い段階で後悔。

この作品、ほんの少し読んだだけで展開がわかってしまいます。

誰だって、読み進めるにつれすんごく悲しくて、つらい展開が待っていると容易に想像できちゃいます。

読みたくない、きつい、読みたくない、投げ出しちゃう?

・・・そう自問自答しながらも、あまりのリアリティに目がそらせなかったです。

「村山さん、またエロい大人の小説なんだろうな」と思って読みはじめた私のばか!!!

こんな社会派の小説も書くんだなぁ。村山さんの新境地ですね。

 

ぶっちゃけ「過労死」の話です。

某有名チェーン居酒屋の店長が過労死したあの事件、あれをモチーフにしてるようです。

社長のカリスマ性に惹かれ(洗脳され)、正しい判断ができなくなり、追い詰められた末の死。

私は自殺するほどの勇気があるのなら、

会社なんてなんぼでも辞められると思うんだけど、

死ぬほどつらい思いをしている当人の中ではそういう次元の問題ではないのでしょうね。。

現実でもここまで追い詰められてる人、相当いるだろうな。

ただただ読むのがつらい小説でした・・・。

 

つーか。

こんなきっつい小説に民生の曲を引用しないでくれいっ(ノД`)・゜・。

自分の好きなアーティストが小説のなかに出てくるのは嬉しいことですが、

この小説に関してはファンも複雑。決して嬉しくはないでしょう。

| comments(0) | trackbacks(0) | 16:17 | category:    村山由佳 |
# ののはな通信
評価:
三浦 しをん
KADOKAWA
¥ 1,728
(2018-05-26)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ののはな通信 / 三浦しをん(角川書店)

 

 個人的な評価 ☆☆☆

 

横浜で、ミッション系のお嬢様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。
庶民的な家庭で育ち、頭脳明晰、クールで毒舌なののと、
外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手のはな。
二人はなぜか気が合い、かけがえのない親友同士となる。
しかし、ののには秘密があった。いつしかはなに抱いた、友情以上の気持ち。
それを強烈に自覚し、ののは玉砕覚悟ではなに告白する。
不器用にはじまった、密やかな恋。
けれどある裏切りによって、少女たちの楽園は、音を立てて崩れはじめ……。

 

 

 

 

(感想) 

 

この作品は「はな」と「のの」という二人の女性の往復書簡でのみ構成されます。

彼女たちが高校生のときにはじまったやりとりは、

一時期は連絡をとらなくなるものの40代まで続きます。

しかし世の中は時とともに便利になり、40代のやり取りはなんとメールに!

 

辻仁成の「愛をください」、宮本輝の「錦繍」、湊かなえの「往復書簡」など

往復書簡スタイルの小説は意外と多いです。

メールやLINEが主流となった今、

手紙を書くことなんてめったになくなりましたねぇ。

返事がこないともどかしくて仕方ない・・・そんな気持ちは今の時代も昔も一緒。

でも、紙でしっかりと形の残る手紙は、やっぱりLINEやメールとは違う味わいがあります。

私も学生時代に友人たちとたくさんの手紙をやりとりしたな〜。

かわいいレターセットで郵送したものもあれば、

授業中にルーズリーフに書いて友人の席まで回してもらった手紙もある。

あの数えきれないほどたくさんの手紙はいったいどこにいっちゃったんだろう・・・。

実家を探せばあるのかなぁ。

 

はなとのののやり取りは、

二人が女子高の生徒だということもあり、はじめは百合っぽい雰囲気。

しかし、二人が大人になるにつれ、テーマはどんどん深くなる。

学生時代はののの方がしっかりしていて、

お嬢様育ちのはなをリードしていく感じでしたが、大人になるとその立場は逆転。

最後はすんごい境地にたどりつきますよ。序盤の俗っぽさはどこへやら・・・w

何十年と続く長いやり取りの末、

最後の最後は往復ではなくなってしまった手紙・・・それが切ない!

 

 

 

高校時代、ののがはなに宛てた手紙の愛や好意に関する一文が美しく、印象深かったです。

忘れたくないので、書き写しておきますね。

「本当に愛や好意は、もっとひそやかで深いものでしょう。

心を打ち明けたいけど、ためらってしまう。

自分の思いが相手を驚かせ、戸惑わせ、傷つけてしまう可能背があればあるほど、

愛は心の奥深くに埋めるほかない。

暗い土の中で爆発しそうに大きく育った愛を、必死に押し込めるほかない。

そういうものだと思うんだけど、ちがう?」

| comments(0) | trackbacks(0) | 15:57 | category:    三浦しをん |
Selected Entry
Categories
Archives
Profile
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
にほんブログ村
にほんブログ村 本ブログへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
Search this site
Sponsored Links