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ロンリネス / 桐野夏生(光文社)
個人的な評価 ☆☆
東京湾岸のタワマンに暮らす岩見有紗は、
夫とのトラブルを乗り越えたかに見えたが再びぎくしゃくしている。
そんななか、同じマンションに住む高梨と急接近。
ママ友でW不倫中の美雨ママに相談をするうちに、
有紗は高梨に強く惹かれていることに気づく――。
(感想)
桐野夏生さんの新作が図書館に入荷すれば必ずすべて借りてきます。
これも新着コーナーで見つけて内容も確認せずに借りて来たけど、
読み始めてすぐに「あの家族の話か・・・」と気づく。
そう、これは「ハピネス」の続編。
主人公の有紗には「ハピネス」でも全然共感できなかったけど、
今作でもまーったくわかんなかったです。
結婚してる身でも、素敵な異性を見つけたら素敵な人だな〜と思う。
だから私は不倫してる人をはっきりさっぱりと否定することはしません。
下手すりゃ明日は我が身かもしれませんからね・・・。
けど、それにしたって主人公の有紗ってどうなんだろう。
人に振り回されてばかりで、自分の意志がない人。
そーいうところを高梨みたいな男は嗅ぎ分ける。
それに気づけずに巻き込まれちゃうところが「ロンリネス」なんでしょうね。
相当、日々の暮らしにストレスや空虚感を抱えてるんだろうな。
数年ぶりに雄大に会い、思いがけずにいい時間を過ごせたというのに、
その足で不倫に直行〜!!はちょっと許せなかった。
このタイミングでそれはあってはならないでしょ。
けど、「馬鹿じゃねーの」と思いつつも、グイグイ読ませる。
これはやはり桐野さんの力量。ドロドロしたものを書かせたらやっぱりうまい。
けど、村山由佳の不倫モノとか読んでる私に言わせれば、
この不倫にはゾクゾクしなかった。ときめきも感じなかった。
このへんは作風の違いなんでしょうね。
んでも、人としていちばん理解不能だったのは、
有紗でも美雨ママでもなくて、栗原と由起子だったりします。
よくもまぁ、恥ずかしげもなく・・・。倫理も情もあったもんじゃないですね。
さんっざん文句を言ってるけど、次回作が出たらまた読むだろうな。
有紗の「本気の恋」とやらがどうなるか見届けたいです。