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冥の水底 / 朱川湊人(講談社)
個人的な評価 ☆☆☆
医者である市原玲人は、友人の平松光恵に、
首から上だけが狼のいわゆる「狼男」の死体写真を見せられる。
彼女はその写真と大切な取材手帳を市原に託し、忽然と姿を消した。
時は20年遡る。阿巳雄山の奥に、特殊能力を持つ「マガチ」とよばれる人々が暮らしていた。
マガチの青年シズクは、初恋の少女を忘れられず、彼女を追って東京で暮らし始めるが……。
一途な純粋さが胸を抉る、一気読み必至の、純愛ホラー巨編。
(感想)
特殊能力を持つ異形の存在「マガチ」の一族は人間の世界に紛れ、
その能力に気づかれぬように暮らしている。
しかしマガチの少年が人間の女の子に恋をして・・・という純愛ホラー。
2段組でかなりのボリュームでしたが、
恋愛・ホラー・サスペンスといろんな要素の詰まった作品でした。
ネット上では「切ない」という感想を多く見かけましたが、
私はちょっと引いた・・・かな?
初恋の女の子を美化しすぎで、ここまで長い間思い続けるのは怖い。
これが人間じゃない人(人間じゃないんだから「人」っていうのもおかしいけど)だから切なく美しく思えるのかもしれないけど、
もしこれが人間だったら相当ヤバイ人。
そう思ってしまったら私はもうだめでした。これ、別の意味のホラーでしょ。
私が朱川さんに求めてるものは、こういうのではないです。