|
評価:
---
河出書房新社
¥ 3,780
(2017-09-08)
|
源氏物語 上 / 角田光代(訳)(河出書房新書)
個人的な評価 ☆☆☆☆☆
恋に生き、切なさに、嫉妬に、美しさに涙する――
日本文学最大の傑作が、明瞭な完全新訳で甦る。
<原文に沿いながらも現代的な自然な訳文で、
もっとも読みやすく美しい角田訳の誕生。
上巻には、第一帖「桐壺」から第二十一帖「少女」まで、たっぷり二十一帖分を収録! >
(感想)
この本を読むことは、私にとって大きなチャレンジでした。
大好きな作家・角田さんが訳してくれなければ、
歴史小説が苦手な私が源氏物語を読むなんて絶対絶対ない。
しかも上巻ですら680ページ近くもあるんですよ・・・。
もう現物見ただけで気持ちが萎えます(>_<)
でも、角田さん自身が「『源氏』を訳し終わると小説が変わるからと言われ、楽しみにしている」とおっしゃっていたので、
好きな作家がそこまで言ってるなら、
それを読まないという選択肢はありえないな〜、と。
私も読書人生をかけるくらいの気持ちで一大決心して取り掛かりました。
私だけでなく、おそらくこの本にチャレンジほとんどの方が
「挑む」姿勢でこの本にとりかかると思います。
でもね、読了した今だから言えるのですが、
そこまで構える必要はありません。
思った以上に読みやすいです!
これは普段から自分の文章に個性を出さず、
シンプルで読みやすい文章を書くことを心がけている角田さんの仕事だからこそ。
会話も現代的なので理解できるし、
作中に登場する大量の和歌などもすべて現代語に訳されているので、
苦労することなく読み進めることができます。
各章にそれぞれ人物相関図があるのもすごく助かりました!
ただし、たくさんの女性が登場するので誰が誰なのかがわからなくなることもあるかもしれません。
時が流れるとともにそれぞれの立場や役職なども変化するので、
自分なりの相関図をいうかメモも取りながら読んでいくことをおすすめします。
とんでもない女好きなのになぜか憎めない光君。
光君を巡る女性同士のギスギスした心理描写もあるのかと思いきや、
そういった「角田色」はあまり感じず、さらりとしてました。
だから読者はしょーもない浮気男の光君にも特に不快感を抱くこともなくw
この時代、相手の顔を見る前に、
その評判を聞いただけで恋が始まるというのもすごいですね。
こんなに女好きの話なのにギラギラした下品さがないのは、
デートを重ねることもなく、
ほぼ手紙のやり取りだけで愛を育み、
不細工も年増も見捨てず、
一度関係を持った女は一生面倒見る責任感と包容力があるからかなぁ。
ひたすら男性を待ち続ける女性たちの忍耐強さもこの時代ならではなのでしょうねぇ。
さて、続く中巻も楽しみですが私には一抹の不安が・・・。
中巻が発売されるのが2018年の11月予定。
下巻にいたってはその一年後の2019年の11月予定ということで、
それまで人間関係などをしっかり覚えていられるか不安でしかたありません。
面白かったのに1年後に続きが放送される頃には内容をほぼ忘れてた
NHKドラマ「精霊の守り人」状態になりそうで怖いです。(結局、1年目しか見なかった)
680ページというこのボリュームでは
「中巻が出るけど詳細忘れちゃったから上巻を再読しよう」とはいきませんww
自分のメモや源氏物語関連のサイトなどをながめて、中巻発売まで忘れないようにしなきゃなりませんね。