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うちのご近所さん / 群ようこ(角川書店)
個人的な評価 ☆☆☆
「もう絶対にいやだ、家を出よう」。
そう思いつつ実家に居着いてしまったマサミ。
事情通のヤマカワさん、嫌われ者のギンジロウ、白塗りのセンダさん。
風変わりなご近所さんの30年をユーモラスに描く連作短篇集。
(感想)
強く心に残るタイプの小説ではないけど、
クスッと笑えて、群さんらしい毒っ気もあって楽しかったです。
気取りがなく、暇つぶし感覚で気楽に読めました。
主人公は40歳にもなるのにまだ独身で実家に住んでいるマサミ。
マサミや家族を取り巻くご近所の人々は、
嫌われ者もいれば厚化粧過ぎる人もいるし、インド人もいて話題に事欠かない。
そんなちょっとアクが強いご近所さんたちを面白おかしく描いています。
秀逸なのは、「今」を描くだけでなく、
マサミが小学生のころから40になった現在までの約30年を描いているということ。
30年も経ってるというのに大きな変化はなく暮らしている人々。
ご近所のうわさに花咲かせ、
暇な人たちといってしまえばそうなんだけど、
こういうのこそが「平和」なんでしょうね〜。
迷惑で嫌な感じのご近所さんが多い中、
最後に素敵なセンドウご夫婦の話で締めくくるあたりがニクいです!
自分が近所でうわさにされるのは嫌だけど、
隣近所に誰が住んでるかもわからず、
興味もないようではもしもの時に何かと心配です。
ご近所とはこのくらいの程よい距離感でお付き合いするのが理想なんではないでしょうかね。