隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 石、転がっといたらええやん。

JUGEMテーマ:エッセイ

 

 石、転がっといたらええやん。 / 岸田繁(ロッキング・オン)

 

 評価 ☆☆☆

 

音楽誌『ロッキング・オン・ジャパン』で11年続くエッセイが初の書籍化。

バンドのこと、音楽のこと、電車のこと、京都のこと、

酒に珍味のコモドオオトカゲのことまで岸田繁的思考の欠片がこの一冊に。

 

 

 

(感想)

 

音楽誌『ロッキング・オン・ジャパン』2006年6月号から

2016年12月号まで掲載された連載コラムをまとめたものです。

ジャパンは2年に一回くらい買う程度で、

買ったらもちろんこの連載は読んだはずだけどまったく記憶なし。

118本の短いコラム、すべてを初読みの新鮮な気持ちで読めました。

 

しかし、これはなかなかクセのある本だなー。

連載を毎号毎号読んでる分にはあまり感じないんだろうけど、

10年分をドーンと出されると「うわっ」とくるものがある。

マニアックすぎる音楽ネタも多いし、いきなり小説みたいなものがあったり、

くるりファンだから楽しめるってもんでもない。

まぁ、無理せず興味のある部分だけ読むくらいの気持ちでいいと思います。

私はくるりが大好きだけど、

古いバンドの名前とか、音楽用語とかはちんぷんかんぷん。

なので専門的な話よりは、

日常のなにげない話題の章などの方が素直に頭に入ってきて、楽しめました。

私にとっては岸田繁は大スターなのに、

そんな岸田ほどのスターが引っ越し先で近隣の人と仲良くなりたくて努力してるとか、

豆腐屋に油揚げだけ買いに行くとか、土鍋でごはんが炊けるとか、

そんな「生活をしっかりしている感」はとても好きです。

 

でも、「こういう連載なんだ」というスタイルを特に持たず、

忙しくっても鬱になっても一度も締め切りを破らずに10年続けたというのは、

何度もメンバーチェンジをし、

常に新しい音楽を模索して、「カメレオンバンド」とも言われる

くるりというバンドのこれまでの歩みに似ています。

岸田という人は型にこだわらず、コツコツ続ける性格なんでしょうね。

 

あと、なんでだろww

「トイレ」とか「便器」とか「突然、原因不明の腹痛」とかそれ系のネタがやたら多し。

好きなんですね、こういう話がw

しょーもない幼稚園児みたいでなんだかほほえましかったですw

| comments(0) | trackbacks(0) | 14:05 | category: 作家名 か行 |
# クラウドガール
評価:
金原ひとみ
朝日新聞出版
¥ 1,512
(2017-01-06)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 クラウドガール / 金原ひとみ(朝日新聞出版)

 

 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

姉妹にしか分かりえない、濃密な共感と狂おしいほどの反感――。
刹那にリアルを感じる美しい妹・杏と、規律正しく行動する聡明で堅実な姉の理有。
二人が「共有」する家族をめぐる「秘密」とは?


 

(感想)

 

んー、結局何が真実なのかも、誰を信じたらいいのかもわからず、

スッキリしないままに終わっちゃったけど、読ませる力がある。

文章、やっぱり若い作家さんでは断トツにうまいです。

ゾクゾクするような描写、たくさんありました。

でも品がないし、今の若者っぽすぎるから好き嫌いがはっきり分かれる作家。

もうちょいリアルな庶民のステージに降りてきてくれれば、

読書層も広がるんだろうけど、

そんなのは金原ひとみじゃないもんね。

この人には将来的に山田詠美みたいな作家になってくれることを期待しています。

 

理有と杏の姉妹は正反対のタイプに思えるけど、

母親という存在に飲み込まれ、心の中に抱えてるものはまったくおんなじ。

「そして気づくと私も母と同じように、誰とも溶けあえない人間になっていた」という一文がすべてを語っていると思う。

ぎこちない形でしか人と混じりあえない人間というのは、

どんな環境でどんな人と過ごしてきたかによって出来あがるものです。

けどそれを言い当ててくれたり、健全な形でグイグイ来てくれる人がそばにいれば

人はきっと変われる。

最終的に二人ともモヤモヤを吐き出して、ほんの少し解放された気はしました。

いい方向へ進んでいけるといいな。

| comments(0) | trackbacks(0) | 11:49 | category:    金原ひとみ |
# お悩み天国〈3〉治勲の爆笑人生相談室

JUGEMテーマ:読書

 

 お悩み天国〈3〉治勲の爆笑人生相談室 / 趙治勲(日本棋院)

 

 個人的な評価 ☆☆☆

 

 治勲の愛が詰まった人気シリーズ第3弾。

 今日も咲きます「お悩み」の花!

 「女流プロのお悩み聞きました」ほか収録。

 

 

(感想)

 

うーん、面白くなくはないんだけど、

ちくんのトンデモ回答にも変なノリにも私は慣れてしまったのかも?

全2作ほど大笑いしなかった気がします。

 

囲碁を知らない私でも楽しめるというのはやっぱり凄い。

でも井山裕太さんなど囲碁棋士の名前くらいはそれなりに知っている人でないと

読んでも面白さは半減でしょうね。

この本はなんといっても、

彼らのことをああだこうだ言うちくんが面白いのですからw

巻末の「この巻の主な登場人物」も笑えます。

山下敬吾さんの「ちくんとは一緒にブラジルで踊った仲」ってなんなんだろう?

二人が踊ってる姿、想像するだけで笑えます。

 

シリーズ第3弾ということで、

表紙のちくんのイラストの髪にとまっている鳥も3羽に増えました。

これ、このシリーズが10弾・20弾と続いたらどうなっちゃうんでしょうねw

| comments(0) | trackbacks(0) | 14:25 | category:    趙治勲 |
# i アイ
評価:
西 加奈子
ポプラ社
¥ 1,314
(2016-11-30)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 i アイ / 西加奈子(ポプラ社)

 

 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

「この世界にアイは存在しません。」と入学式の翌日、数学教師は言った。
ひとりだけ、え、と声を出したのはワイルド曽田アイ。
その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。
ある「奇跡」が起こるまでは――。


 

 

(感想)

 

西加奈子さんが内面に抱える孤独感やアイデンティティが

この作品を書かせたんだと思います。

この人が書くからこそ説得力のあるテーマなのではないでしょうか。

 

不自由なく、幸福に暮らせることに罪悪感を持つ必要はありません。

何が大事かというと、

たとえ何も行動を起こせなかったとしても、「知ること」「感じたこと」。

この感情はその人を形作るうえでとても意味のあることだと思います。

個人の力だけでは、世界を変えることはできないけど、

こういう意識を持つ人がじわじわと増えていくことによって、

世界はいい方向へ動くのではないかと信じたいです。

 

あと、本編とは関係のないことですが、

又吉や中村文則に帯を書いてもらったのは失敗だと思います。

このへんのメンバーの仲良しアピール、もういいかげん食傷気味なんですけど・・・。

| comments(0) | trackbacks(0) | 12:02 | category:    西加奈子 |
# なんでわざわざ中年体育

JUGEMテーマ:エッセイ

 

 なんでわざわざ中年体育 / 角田光代(文藝春秋)

 

 個人的な評価 ☆☆

 

中年たちは皆、運動を始める。

フルマラソンに山登り・ボルダリング。

人気作家が果敢に挑戦した爆笑と共感のエッセイ集。

 

 

 

(感想)

 

たんに角田さんのファンだからという理由で、いつもの調子で読み始めると肩透かしをくうかも。

ほとんどがマラソンのこと(ヨガとボルダリングも少し)の話なので、

マラソンに興味のない人は読んでもつまらないかもしれません。

とはいうものの、本人はマラソンも運動も大嫌い!!と言っておられるので、

それらが好きな人が読んでも共感できるとは言い難いかな・・・・?

うーん、どんな読者層が好む作品なのかよくわかりません。

 

マラソンを走ったあとに飲むビール・屋台に並ぶ食べ物・・・、

角田さんはそれを美味しく楽しむために走ってる。

そもそもビールだって食べ物だって苦しいことなーんもしなくても美味しいものは美味しい。

けど、それでもあえて苦しいことにチャレンジしてからいただく・・・って、

もはや食い意地を超えた境地に達していると思います。

角田さんがマラソン後に飲んでるビールはきっと私が普段飲んでいるビールとは

次元の違う美味しさなんでしょうね(だからといって走ってみる気にはならないけどっ)

 

苦しくても投げ出さないで、ゆる〜く続けてるというスタンスは

角田さんの仕事のやり方にも似ている気がします。性格なんだろうなぁ。

おそらくこの人は一生、「走るのが好き」とは認めない気がしますw

| comments(6) | trackbacks(0) | 11:38 | category:    角田光代 |
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