隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# また、同じ夢を見ていた

JUGEMテーマ:小説全般

 

 また、同じ夢を見ていた / 住野よる(双葉社)

 

 評価 ☆☆

 

学校に友達がいない“私”が出会ったのは手首に傷がある“南さん”。

とても格好いい“アバズレさん”。

一人暮らしの“おばあちゃん”。

そして、尻尾の短い“彼女”。

彼女たちの“幸せ"は、どこにあるのか。

やり直したい」ことがある、“今"がうまくいかない全ての人たちに送る物語。

 

 

 

(感想)

 

学校に友達のいない女の子が「幸せ」とは何かを探すお話。

最終的な着地点は悪くないんだけど、そこに至るまでが長すぎて退屈です。

3人のお友達の秘密も、似たような設定のお話を読んだことがあるような気がして

新鮮味がありません。

私にはちょっとファンタジーすぎるかな〜。

大人が読むお話じゃないと思います。

住野はるさん、とりあえず次も読んでみようとは思うけど、

ヘタしたら一発屋で終わっちゃいそう。

| comments(0) | trackbacks(0) | 09:10 | category:    住野よる |
# ポイズンドーター・ホーリーマザー

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ポイズンドーター・ホーリーマザー / 湊かなえ(光文社)

 

 評価 ☆☆☆

 

私はあなたの奴隷じゃない!母と娘。姉と妹。男と女--。

ままならない関係、鮮やかな反転、そしてまさかの結末。

あなたのまわりにもきっといる、愛しい愚か者たちが織りなすミステリー。

 

 

(感想)

 

受賞には至らなかったものの156回直木賞にノミネートされてた作品ということで、

久々に湊かなえさんを読んでみましたがやっぱり私には合わないなぁ。

読後にいや〜な気持ちしか残らない読書は、楽しくないもの・・・。

でも、最後の最後で今まで信じて思いこんできたものすべてが

一気にガラガラッと崩れちゃう快感・・・この手法はやはり見事です。

 

要するにひとつの出来事にしてみても、事実は1つとは限らなくて、

見る人によって感じ方や見方はまったく違うということ。

そして、傷ついて苦しんでいるというのはその人にとって事実なわけだし、

誰と比べたらマシとか、もっと苦しんでる人がいる・・・というのは説得力がない。

すべてがそれで納得できちゃう作品集でした。

 

| comments(0) | trackbacks(0) | 16:45 | category:    湊かなえ |
# 恋するハンバーグ 佃 はじめ食堂

JUGEMテーマ:小説全般

 

 恋するハンバーグ 佃 はじめ食堂 / 山口恵以子(角川春樹事務所)

 

 評価 ☆☆☆

 

帝都ホテルで副料理長をしていた孝蔵は妻の一子と、

実家のある佃で洋食屋「はじめ食堂」をオープンさせた。
無銭飲食の客に親切にしたり、近所に泥棒が入ったり、

色々事件はありながらも、温かな常連客に囲まれて、今日も「はじめ食堂」は大にぎわい。
続々重版した『食堂のおばちゃん』の昭和を描く、最高に美味しくて、
人情味あふれる下町の洋食屋物語。巻末に著者のレシピ付き。

 

 

(感想)

 

少し前に読んだ「食堂のおばちゃん」のシリーズです。

「食堂のおばちゃん」ではお姑さんだった一子おばあちゃんが

若い頃にご主人と洋食店をやっていた頃のお話です。

 

昭和の下町人情物語といったかんじでしょうか。

極悪な人は登場せず、お店の人達と常連客のあたたかさにほっこりします。

一流ホテルで腕を磨いた凄腕シェフが下町の住民の舌に合わせた洋食ってどんなだろう。

出てくる料理がどれも美味しそうでたまりません〜。

この時代の洋食って、今以上の「特別感」があったのではないでしょうか?

「休日に家族でちょっとおしゃれして食べに行く」みたいな♪♪

そんな家族の光景を想像すると、それだけで幸せなイメージがむくむく湧きあがって、

こっちまで幸せな気分になれましたっ♪

 

今回も巻末にレシピがついています。

パッと見た感じでは手に入りにくい材料などは使っていないようなので、

ここから何か作ってみるのもいいかもしれません。

| comments(0) | trackbacks(0) | 14:12 | category:    山口恵以子 |
# ジニのパズル
評価:
崔 実
講談社
¥ 1,404
(2016-07-06)

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 ジニのパズル / 崔 実(講談社)

 

 評価 ☆☆☆☆

 

オレゴン州の高校を退学になりかけている女の子・ジニ。

ホームステイ先でステファニーと出会ったことで、

ジニは5年前の東京での出来事を告白し始める。
二つの言語の間で必死に生き抜いた少女が、

たった一人で起こした“革命”の物語。

若き才能の圧倒的デビュー作!

 

 

 

(感想)

 

「アメトーーク」の読書芸人の回で若林が話題に出していた本。

この人とは読書の好みがあうので、迷わず読んでみました。

 

いやー、これがデビュー作か・・・。

この方、しょっぱなからとてつもないメッセージのある作品を生み出しましたね。

文章も構成もまだ洗練されてなくて荒っぽさがあるんだけど、

逆にそれが1人で無茶な革命を起こそうとした少女の心の熱を表すのに一役買っていて、素晴らしい効果を生み出しています。

これはベテランの作家には絶対に出すことのできない「味」。

そして、日本の作家にはまねのできない、

この人だから書いておかなきゃならない気迫のようなものも感じました。

 

国の歴史や現在も続く北朝鮮や韓国との問題に対して、

知識の少ない私があれこれ言いたくはない。

でも、日本で生まれ育った韓国籍の女の子が、

自分の境遇にこんなに苦しんでいるなんて胸が締め付けられました。

彼女を生きにくくしているのは、私達の偏見や意識の低さでもあるんだなぁ。

大事なのは「どこの国に国籍があるか」じゃない。

「その人自身」のはずなのに・・・。

| comments(0) | trackbacks(0) | 16:18 | category: 作家名 た行 |
# 総選挙ホテル
評価:
桂 望実
KADOKAWA/角川書店
¥ 1,620
(2016-06-01)

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 総選挙ホテル / 桂望実(角川書店)

 

 評価 ☆☆☆☆

 

売り上げが落ちこむ中堅ホテル・フィデルホテル。
支配人の永野は悩みながらも改善策を打ち出せないでいた。
そんなある日、大学で社会心理学を教えていた変人教授が社長職に就くことに。
彼が打ち出した案は「従業員総選挙」。
従業員同士が選挙をし、落選すれば解雇もやむなしという崖っぷちの投票制度。
ざわつく従業員を尻目に、さらに管理職の投票も行われた。
混乱しつつもなんとか新体制が整い、

徐々にそれぞれが新たなやりがいを見いだしていき……。
『県庁の星』の著者が描く、感動のエンタメ小説。

 

 

 

(感想)

 

従業員同士の選挙によってリストラや配置が決まるなんて、なんて恐ろしいっ!

仲間内に不信感が生まれ決していい結果は生まないと思って読み始めたけど意外や意外。

「リストラされる」「裏切られる」というネガティブな感情より、

「自分の気付かない魅力を見ててくれた人がいた」「新しい自分の発見」という

喜びの方に焦点を当てているのが気持ちのいい作品でした。

それぞれがいい方向へ進むにつれ、

ホテルの業績も上がっていくという展開が面白かったです。

 

「自分のやりたい仕事」が必ずしも「天職」「適職」とは言えない可能性もある。

ならば「達成感」「やりがい」・・・それを見いだせる仕事に就こう。

夢を見るよりそんな職業に就くことの方が幸せの近道になるんですね。

最後に後藤さんが言っていた

「平凡な毎日の中にある数え切れないほどの幸せの種」

これを一つずつ探していく・・・そんな生活、地味ではあるけどいいと思う。

そしてそういう幸せのかけがえのなさに気付いて大事にできる人も素敵!

 

ここでこれから読む人のために私から一つおせっかいですww

ぜひ、読む前に紙を一枚準備してください。

主な登場人物一覧や人物相関図がなく、誰が誰だかわからなくなるので、

ぜひぜひ自分で書きながら読むのをおすすめします。

私はこれをやらずに読み始めたのでかなり苦戦しましたが、

途中でこれを作ったらその後はスムーズに読むことができました。

これを作るのと作らないのでは理解度が格段に違いますよ〜〜。

 

| comments(0) | trackbacks(0) | 11:39 | category:    桂望実 |
# あおぞら町 春子さんの冒険と推理

JUGEMテーマ:小説全般

 

 あおぞら町 春子さんの冒険と推理 / 柴田よしき(原書房)

 

 評価 ☆☆☆

 

春子は、ゴミ置き場に花を捨てに来た男性に声を掛け、その花を譲り受けた。

が、数日後に再び男が捨てに来た花を見て、

春子はあることの重大な意味に気づいたのだが……。
春子と拓郎(プロ野球選手)が織りなす事件と日常と花々の連作集。

 

 

(感想)

 

主婦の春子さんが日常に潜むちょっとした謎を解いていく連作ミステリー。

謎の真相が意外すぎて、読者自身が謎を解く面白みには欠けるかもしれませんが、

ほんわかしてて毒もなく、サクッと読めます。

大作にどっぷりのめり込むのではなく、軽く読書したい気分の時にいいタイプの小説です。

 

主人公・春子さんの夫は野球選手とはいえ2軍。

来季の契約も危うい微妙な立場にありながらも、腐らずに常に前向き。

春子さん自身もそんな夫を支えようという気持ちに溢れていて、

なんとも気持ちのいいカップル。

そんな二人だから読者もついつい応援したい気持ちになっちゃう。

謎解きの面白さよりも、

登場人物の魅力で読者の気持ちをつかめてる作品だという気がします。

野球選手の奥さんなんて聞くと華やかなイメージがあるけど、

それはほんの一握りのスター選手の奥様ばかりなのかもしれないですね。

野球界の意外な一面も知れて、その観点でも楽しめました。

| comments(0) | trackbacks(0) | 10:50 | category:    柴田よしき |
# 夜に啼く鳥は
評価:
千早 茜
KADOKAWA/角川書店
¥ 1,620
(2016-09-02)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 夜に啼く鳥は / 千早茜(角川書店)

 

 評価 ☆☆☆

 

その里は地図に載ってはおらず、

どんな病でも治してしまうという“蟲宿しの一族”の末裔で強大な力を得た御先が住んでいた。

御先は心から慕ってくる雅親を突き放し、里を出て夜の店で働いていた四と出会う。

そして“事件”は起こった…。

現代の都会の闇に紛れ込み、不老不死の一族が時を超えて愛しい人を求める禍々しくも哀しい現代奇譚。

 

 

 

(感想)

 

どんな病でも治してしまう強大な力を持つ不老不死の主人公・御先。

男でも女でもない性別を持ち、死ぬこともない・・・・化け物。

だがそれでも心は手の届くことのない愛しい人を求め、

現代の闇にまぎれて生き続けるしかないというなんとも哀しい物語でした。

 

おおまかなストーリーは恩田陸さんの小説とかにもありそうな感じ。

各章ごとに語り手が変わることで奥行きも広がって見えるのはよし。

でも、お話の設定はうまくできてるわりに、

話が短くこじんまりとまとまっちゃったのはもったいないです。

美夜子や月雅の時代も丁寧に描いて、思い切って長編にしてくれた方がよかったのになー。

 

妖しげな美しさがあるものの、

ヨンの存在が現代らしいコミカルさを与えています。

プラス表紙がライトノベルチックだからターゲットは若い層なのでしょうか?

 

千早さんの「男ともだち」が大好きで、

その後「西洋菓子店プティ・フール」を読み、今回ので千早さんを読むのは3冊目。

けど3冊とも雰囲気違いすぎて、千早さんのカラーがまだまだ自分の中ではっきりしません。

また「男ともだち」みたいなゾクゾクするもの読ませてほしいっ!!

もう少し読み込んでみたい作家さんです。

| comments(0) | trackbacks(0) | 11:49 | category:    千早茜 |
# 明るい夜に出かけて
評価:
佐藤 多佳子
新潮社
¥ 1,512
(2016-09-21)

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 明るい夜に出かけて / 佐藤多佳子(新潮社)

 

 評価 ☆☆☆

 

今は学生でいたくなかった。きっかけになったトラブルはある。

でも、うまく説明できないし、自分でも整理がついていない。

実家を出て、バイトしながら、まったく違う世界で自分を見つめ直すつもりだった。

「歴史を変えた」と言われる伝説のあのラジオ番組が小説内でオンエア!

「青春小説」に名作がまた誕生した。

 

 

 

(感想)

 

実際に今年の3月末まで放送されていたラジオ番組「アルコ&ピースのオールナイトニッポン」を軸に

今時のネットツールを利用しながら成長していく若者の姿を描きます。

ちょっと読む人を選びすぎる題材ではありますが、

特に「アルコ&ピースのオールナイトニッポン」のリスナーだった人にとってはたまらない1冊なのではないでしょうか。

作中に出てくる番組の中で私が聞いていたのは今はなき「星野源のRADIPEDIA」のみですが、

番組名が出てきただけでも相当嬉しかったし、

佐藤多佳子さん、おそらく相当ヘビーな深夜番組リスナーだと思われます。

詳しすぎるww そして深夜ラジオに対する愛にが溢れすぎているww

 

この世界観に入り込むまでは大変でしたが、

後半になるにつれ、深夜のこんなところにも青春や絆があって、

ラジオに賭ける職人のたぎるエナジーがビンビン伝わってきます。

自分が一番好きなこと・輝けることをしていれば、

おのずといい出会いも巡ってくるし、何より自分の心の健康にいい。

輝ける場所を見つけて、素直に大事にしたい・・・シンプルにそう思えます。

| comments(0) | trackbacks(0) | 15:49 | category:    佐藤多佳子 |
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