JUGEMテーマ:小説全般
橋を渡る / 吉田修一(文藝春秋)
評価 ☆☆☆☆☆
ビール会社の営業課長、明良。
部下からも友人からも信頼される彼の家に、謎めいた贈り物が?
都議会議員の夫と息子を愛する篤子。
思いがけず夫や、ママ友の秘密を知ってしまう。
TV局の報道ディレクター、謙一郎。
香港の雨傘革命や生殖医療研究を取材する。結婚を控えたある日……
2014年の東京で暮らす3人の選択が、未来を変えていく。
(感想)
各章が後半でつながるのであろうことは予想できるけど、
まさか時を超えてこういう展開に発展するとは!!脱帽です。
こういう手法は吉田修一さんっぽくないないですね。新境地?
たしかにそれぞれの章には何かの伏線らしきものはたくさん散りばめられており、
しかしそれがまったく回収されることなく、次の章ではまったく別の人の話になってしまう。
「今度どーなるんだろう」と不安とモヤモヤがいっぱいの状態で読み進めなきゃならないのですが、
最後にはその伏線っぽいあやしげなものがずべて回収されてスッキリ!
実際にあったその時代を代表するようなニュースなどをあえて多めに織り込み、
時代を色濃く強調してみせたことにもちゃーんと意味がありました。
吉田修一さんのわりにぶっとんだ印象を受けましたが、
たまにはこういうのもいいかもしれません。