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評価:
窪美澄
河出書房新社
¥ 1,512
(2016-04-09)
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アカガミ / 窪美澄(河出書房新)
評価 ☆☆☆
若者の多くは恋愛も結婚もせず、子どもを持とうともしなかった。
彼らはひとりで生きていくことを望んでいたーー。
渋谷で出会った謎の女性・ログの勧められ、ミツキは国が設立したお見合いシステム「アカガミ」に志願した。
しかし、これまで異性と話すことすらなかった彼女にとって、
〈国〉が教える恋愛や家族は異様なもので、
パートナーに選ばれたサツキとの団地生活も不安と驚きの連続だった。
それでもシステムに手厚く護られた二人は、次第に恋愛やセックスを知り、
「新しい家族」を得るのだが……。
生きることの痛みと選択、そして輝きを見つめる衝撃作!
(感想)
どんな作品かまったく知識を入れず、
ただ窪美澄さんの作品だからと思って読み始めたらまさかの近未来モノ。
テンポがいいのであっという間に読み終えられます。
近未来の不思議な設定も楽しめたけど、
展開がありがちで、尻切れトンボのような結末だったことが少々残念。
けど、今の若者は昔の若者に比べて、
いろんなことに意欲がなく無気力気味であることは事実だし、
なんらかの不自然な操作によって優れた遺伝子を残そうという行いは
もしかしたら今後ありえるかもしれないという恐怖は感じました。
窪さんとしては意欲作なのかもしれないけど、
窪さんはリアルな人間の感情を描くのがうまいと私は思っているので
これはあえて窪さんが書くべき題材でもなかったような気がします。
こういうのはこういうので得意な方がいますから、その方に任せて、
やっぱり窪さんは窪さんらしい作品を書いてほしいと一人のファンとして思います。