隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# その手をにぎりたい
評価:
柚木 麻子
小学館
¥ 1,404
(2014-01-24)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 その手をにぎりたい / 柚木麻子

 

 評価 ☆☆☆

 

80年代。都内のOL・青子は、銀座の高級鮨店で衝撃を受けた。

そのお店「すし静」では、職人が握った鮨を掌から貰い受けて食べる。
青子は、その味に次第にのめり込み、

決して安くはないお店に自分が稼いだお金で通い続けたい、と一念発起する。
お店の職人・一ノ瀬への秘めた思いも抱きながら、

転職先を不動産会社に決めた青子だったが、

到来したバブルの時代の波に翻弄されていく。

一ノ瀬との恋は成就するのか?

 

 

 

(感想)

 

バブルの時代に銀座の高級鮨屋の常連になるためにがむしゃらに働いた女性の話。

彼女がなぜそんなに頑張れたかというと、

その店の鮨だけでなく、店の職人を好きになってしまったから。

お鮨屋さんが舞台のお話だと知り、改めてタイトルの意味を考えると

このストーリーにこのタイトルはかなり秀逸。

 

主人公、最初は初々しくてかわいらしかったけど、

時代や仕事に流されて、

どんどん嫌いなタイプの女性になっていくのが読んでいて痛々しかったです。

一ノ瀬への思いは秘めながらもそれはそれで、

手近な他の人とも恋愛したり、

体だけの関係続けたりけっこう美味しい思いしてるのがどうもなぁ。

そういう子だから彼女の味方になり、応援する気にはなれませんでした。

 

それにしても柚木さんの食べ物の描写にはいつもやられます。

だからこの人、女性に人気があるんだと思う。

主人公を東京に留まらせたヅケの握りはインパクトが大きかったです。

鮨を職人から手渡しで受け取るというのも、

見方によってはたまらなくエロチックじゃないですか!?

美味しいものをこんな風に渡されたら、そりゃ惚れるわw

 

| comments(0) | trackbacks(0) | 17:00 | category:    柚木麻子 |
# 孫と私の小さな歴史
評価:
佐藤 愛子
文藝春秋
¥ 1,512
(2016-01-08)

JUGEMテーマ:エッセイ

 

 孫と私の小さな歴史 / 佐藤愛子(文藝春秋)

 

 評価 ☆☆☆☆☆

 

初孫・桃子が1歳の時から二人の扮装で年賀状用の写真を撮り続ける。

お正月早々ドギモを抜かれた、と大評判の秘蔵写真を全公開。

トトロにコギャル、はては生首、葬式まで・・・。

「本当は嫌だった!」孫の激白あり、20年分の撮影秘話あり、

ファン待望の永久保存版。

 

 

(感想)

 

佐藤愛子さんとお孫さんの桃子ちゃんは

桃子ちゃんが1歳の1992年から大学生の2011年まで毎年、

二人でコスプレをした写真を載せた年賀状を作っていました。

そしてこの写真を撮影していたのは娘の響子さん。

この本はその年賀状を掲載し、撮影秘話などをまとめた本です。

爆笑、爆笑の嵐でとにかく声を出して笑うほど楽しませてもらいました。

(お二人もサイコーだけど、たまに見切れてる犬もいい味だしてますww)

佐藤さんから年賀状をもらう人は、毎年に本当に楽しみにしてただろうなぁ。

その方たちが羨ましいです。

 

本のタイトルは「孫と私の小さな歴史」とのことですが、

この2人の歴史、決して小さくはないです。

毎年、2人で写真を撮り続け、本人たちだけでなく多くの人達を楽しませたことは

2人にとってとても意味のあること。かけがえのない思い出のはず。

こんなおばあちゃんと孫、いませんよ〜。

しかもこれを愛子さんが69歳の時からはじめたというのが驚きです!

そのお年でこんなにユーモアに溢れた人もいるんですね!素敵!!

私も年齢にはこだわらず、「楽しい」「面白い」と思うことには

恥ずかしがらずにどんどんチャレンジしながら年を重ねていきたいです!

 

各作品だけでなく、愛子・響子・桃子の3人による鼎談も笑えました。

特に響子さんのツッコミが絶妙w さすがこの方の娘だけありますねw

そして思春期になっても、嫌だな〜と思っても、

ずっとおばあちゃんにつきあった桃子ちゃんも本当にいい子!

最高の家族ですね。

 

以下は私の選んだ各賞の発表です。

 作品賞 「夫婦喧嘩」

 演技賞 「夫婦喧嘩」

 演出賞 「晒し首」

 ラズベリー賞 「赤ちゃん」

| comments(0) | trackbacks(0) | 14:38 | category:    佐藤愛子 |
# 恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。
JUGEMテーマ:エッセイ

 

 恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。 / 角田光代(角川グループパブリッシング )

 

 評価 ☆☆☆☆☆

 

彼と別れた後、一人分の鰆を買った時のぞっとするようなさみしさ、

手とか指や初デートに表れる男の本質―。

恋愛や人生のヒント満載!著者と、ゆるゆると語り合っているうちに元気になれる、傑作エッセイ集。

 

 

 

(感想)

 

小説は好きだけど、エッセイになるとちょっとな〜という作家が多い中、

角田さんは小説もエッセイもどっちも面白いものが書ける貴重な作家です。

角田さんのエッセイはこれまで何冊も読んできたけど、

私はこれがいちばん好きかもしれない。

星の数が5つじゃ足りないくらい私の好みにピタッと合った本でした♪

 

「感性」「庶民感覚」「ちゃんとしてない感じ」・・・これが魅力。

私も学生時代はクラスの恋愛模様の登場人物ではなかったし、

今も輝いてる女とは言えない。

そのへんに仲間意識を感じ、読んでいて安心感を抱けたんですよね〜。

私も角田さん同様、授業で学んだことをこれっぽっちも覚えておらず、

なーんにも知識のない大人なので、

“人はその人らしきものだけ引きずって大人になるんだなあ”という一文には救われました。

 

いちばん笑ったのは「こういう店に入ったことはありますか?」の章。

水を飲まずにいられないしげるさんに爆笑しました。

この軽さ・どうでもよさがたまりませんっw

こういうのを見逃さない着眼点の凄さが素晴らしいと思います。

 

| comments(0) | trackbacks(0) | 11:07 | category:    角田光代 |
# マチネの終わりに
評価:
平野 啓一郎
毎日新聞出版
¥ 1,836
(2016-04-09)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 マチネの終わりに / 平野啓一郎(毎日新聞出版)

 

 評価 ☆☆☆☆☆

 

出会った瞬間から強く惹かれ合った蒔野と洋子。しかし、洋子には婚約者がいた。
スランプに陥りもがく蒔野。人知れず体の不調に苦しむ洋子。
やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまうが……。
芥川賞作家が贈る、至高の恋愛小説。

 

 

 

(感想)

 

いや〜、大人の恋愛小説でした。

ストーリー自体は下手するとメロドラマになっちゃいそうなものなんだけど、

これを美しい文章と哲学的な観点から丁寧に描くことによって崇高な純愛物語にしてしまえるんだから

「さすが平野啓一郎さん!」とうならずにはいられない。

私は平野さんが「私とは何か」という親書で掲げた“分人”という考え方が大好きなのですが、

この作品の中でもこの考え方がしっかり活かされていたと思います。

 

プロのギタリストと海外で活躍するジャーナリストの恋愛小説といういかにも小説的な設定は、

読み始めはなんだかこっ恥ずかしいような気さえしていました。

でも「三谷さんメール事件」のあたりは近年稀にみる緊迫感だったし、

ケータイのある時代なのに、いやメールでつながる時代だからこそのすれ違いや誤解が重なり、

苦しくて苦しくて、こんなにのめり込んだ恋愛小説は久しぶりでした。

 

「未来は過去を変えてくれる」・・・・これは名言です。

2人だけでなく私自身も、

「あんなこともあったよね」と悲しい過去を笑い飛ばせるような素敵な未来を築けるかな?

これからの生き方次第ですべてを変えられる・・・そんな希望とあたたかい光に満ちたラストでした

 

 

 

| comments(0) | trackbacks(0) | 10:21 | category:    平野啓一郎 |
# わたしの宝石
評価:
朱川 湊人
文藝春秋
¥ 1,728
(2016-01-12)

JUGEMテーマ:小説全般

 わたしの宝石 / 朱川湊人(文藝春秋)

 評価 ☆☆☆


女性の前で男性が「さみしい」と口にする時、
きっとさみしさはその瞬間に消えているのです。
じんわりと心をえぐる、特別な愛のストーリー6編。



(感想)

どのお話もキラリと光る宝石ような男女の愛がテーマ、
朱川さんお得意の昭和のノスタルジック感漂う短編集です。
朱川さんの短編集はなつかしさと優しさで胸がギューッといっぱいになることが多いのですが、
今回のはこれまでの作品に比べるとさらっとしていたかな?
ソフトな印象を受けました。

中でも「ポコタン・ザ・グレート」は異色です。
他のは切なさや時代ならではの暗さを感じるけど、これだけはスカッと明るい!
きっと誰もがポコタンを好きになるはずです!
| comments(0) | trackbacks(0) | 15:22 | category:    朱川湊人 |
# 幾千の夜、昨日の月
JUGEMテーマ:エッセイ

 幾千の夜、昨日の月 / 角田光代(角川文庫)

 評価 ☆☆☆☆


友と夢中で語り明かした夏の林間学校、
初めて足を踏み入れた異国の日暮れ、
終電後恋人にひと目逢おうと飛ばすタクシー、
消灯後の母の病室…夜は私に思い出させる。
自分が何も持っていなくて、ひとりぼっちであることを―
知らない場所にひとり放り出されたような心細さと非日常感。
記憶の中にぽつんと灯る忘れがたいひとときをまざまざと浮かび上がらせる名エッセイ。




(感想)

旅のエッセイかと勘違いしてしまいがちだけど、これは「夜」にまつわるエッセイです。

「夜」と一言でいっても、きらびやかな夜の街で賑やかに過ごす夜もあれば
なんにもない砂漠で広すぎる星空を一人で眺めながら過ごす夜もある・・・・。
人生にはこんなにも様々な夜があったのかと
改めて自分自身の体験した「忘れがたい夜」をいくつか思い起こしてみたりしてw
眠れない夜を満喫するのにピッタリな本です。贅沢な時間を味わえます。

タイ・モロッコ・ギリシャ・ネパール・モンゴル・・・角田さんはいろんな国を旅されていて、そのほとんどが旅の細かな予定も宿泊先も決めずに行く一人旅です。
ありがちな失敗や怖い思いは何度もされているようだけど、それでもめげない度胸と行動力のある人!
それなのにどうしてこの人は自分を「ビビり症」だなどと思っているんだろう。
でもこういう人だからこそ、この本はその「飾らなさ」「普通っぽさ」に自分を重ねたり、
一緒に旅した気分になったり、何かを共有した気になれるんだろうなぁ。

西加奈子さんの角田さんへの愛と尊敬に溢れた解説も素敵でした。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:41 | category:    角田光代 |
# 女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。
JUGEMテーマ:エッセイ
 女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。 / ジェーン・スー(文藝春秋)

 評価 ☆☆☆☆☆


敵から身を守るためなのか、世間に認めてもらうためなのか、
それとも自らの欲望なのか、
今日も女は心身ともにさまざまな「甲冑」を着たり脱いだり大忙し。
いつの間にか心のクローゼットは、
女の気持ちをやたらザワザワさせる甲冑だらけなのです。
「CREA」連載に大幅加筆し、書き下ろしもたっぷり加えた、
ジェーン・スー最新エッセイ集。



(感想)

私はスーさんよりちょい下の世代(今井美樹のあの口紅のCMは覚えてるけど、それよりかはりょうがやってた「レシェンテ」のCMの方に憧れた世代)なのですが、
相変わらず共感しまくりです!

とにかく“この本、書いたの私じゃね?”って思ってしまうほど「自意識の高さ」。
そこにシンパシーを感じます。
豊島ミホ・オードリーの若林・・・そしてジェーン・スー。
私がシンパシーを感じる人物はみな溢れんばかりの自意識と闘っている人ばかり。
ジェーン・スー・・・出会えてホントによかった。
私だけじゃないと思えて、生きるのが少しラクになった気がします。
そして笑った!! この本を読んでジェーンさんを笑うことによって、
自分のダメなとこ・ダサいとこも自虐的に笑えた気がします。スッキリしましたw

私もそう。
なんの意識もなく、きらきらふわふわな女の甲冑を身にまとい、
サラリとオーガニックカフェの常連になるようなそんな女が・・・・正直、羨ましい。
彼女たちを半笑いで見て、ディスるという点では私もスーさんも同じだけど、
スーさんには自意識との狭間でもがき、恥ずかしながらもそれらを受け入れ、
認める懐の深さがある。
そこが私とスーさんの大きな違いです。
これができるからこそスーさんは自分をも肯定し、自分なりに楽しく生きていける。
ふて腐れるだけじゃないところがいいんだよな。

いつまでも若くありたいというのが私の本音だけど、
若作りは周りから見ればイタい・・・どの程度までがOKラインなのかの見極めが難しいですね。
とりあえずそろそろスヌーピーのTシャツは卒業しないとマズいかな?



「ジェーン・スーさんへ」
 こちらは田舎なのでなんの参考にもならないとは思いますが、
 隣りの家の嫁(30代前半?)はいっつも!見るたびに!七分丈レギンスを履いています。
 しかし彼女の場合、ワンピースに合わせるのではなくショートパンツです。毎日ショーパンです。
 もう七分丈レギンスはダサイのだとしても、
 あの人はまだあんな短いショートパンツを履けるんだな〜と彼女の若さが私にはまぶしいっ!!
 羨ましい思いで私は日々その嫁を見ています。
| comments(0) | trackbacks(0) | 17:07 | category:    ジェーン・スー |
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