隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 異類婚姻譚
評価:
本谷 有希子
講談社
¥ 1,404
(2016-01-21)

JUGEMテーマ:小説全般

 異類婚姻譚 / 本谷有希子(講談社)

 評価 ☆☆☆


「ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた。」
結婚4年の専業主婦を主人公に、他人同士が一つになる「夫婦」という形式の魔力と違和を、
軽妙なユーモアと毒を込めて描く表題作ほか、「藁の夫」など短編3篇を収録。
第154回芥川龍之介賞受賞。



(感想)

「異類婚姻譚」は芥川賞受賞作ですが、芥川賞ってこういうものですよね。
いかにも芥川賞向けの世界観で、決してワクワク楽しめるものではありません。
雰囲気を味わう作品なんだと思います。

「異類婚姻譚」は夫婦の距離感をテーマにしたお話なんだと解釈しました。
夫婦の顔が似てくるというのはリアルでもたまに聞くことで、
それは日々同じものを食べ、
いつも一緒にいればそうなる・・・・ということなんだろうけど、
このお話の中での“似てきている”はどうやらそんなほのぼのとしたものではない。
現代人に対するかなりブラックな皮肉が込められているのだと思います。

表題作以外の3編も抽象的すぎて、だからなんなんだろう・・・と思ってしまい、
私には面白いものではありませんでした。純文学ってやっぱ私には難しいな〜。
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# 優しい言葉 パンとスープとネコ日和
JUGEMテーマ:小説全般

 優しい言葉 パンとスープとネコ日和 / 群ようこ(角川春樹事務所)

 評価 ☆☆☆


サンドイッチとスープのお店を楽しく営むアキコは愛猫のたろを亡くし、
心にぽっかりと穴があいたままで暮らしていたが、
ある日突然、兄弟猫がやってきて―。
ドラマ化でも話題になった「パンとスープとネコ日和」書き下ろし、第3弾。





(感想)

「パンとスープとネコ日和 」の第3弾です。

アキコさんの家に2匹の兄弟猫がやってきたことによって、
前作よりは作品全体の雰囲気が明るくなりました。
大きなことは起こらず、ただ日々の暮らしを綴っているだけなんだけど、
特別なことは何も起こらない、穏やかな日々のかけがえのなさをしみじみと感じます。
この雰囲気が好きじゃない人にとっては、
この上なく退屈な小説家もしれません。
でも日常のささいな会話や出会いの中にきらきらとした「気づき」があり、
日々を丁寧に生きることの大切さを教えてくれます。

アキコさんの生活に潤いを与えているのはネコの存在です。
ネコの描写が多く、ネコ好きにはたまらないでしょう。
しかし私は揺らぐことのない完全なる犬派人間なので、
このネコの場面が多すぎると感じたことは否めません。
正直、ネコの場面は斜め読みしちゃったかもw
ネコの存在感多すぎた・・・ここが前作より評価を下げた理由です。
犬派ですいませんw
| comments(0) | trackbacks(0) | 09:40 | category:    群ようこ |
# 福も来た パンとスープとネコ日和
JUGEMテーマ:小説全般

 福も来た パンとスープとネコ日和/ 群ようこ(角川春樹事務所)

 評価 ☆☆☆☆☆


編集者を辞めて、素材にこだわり、
手間ひまをおしまない美味しいサンドイッチと滋味深いスープのお店を営むアキコは、
愛猫を失った悲しみを抱えつつも、温かな人々に助けられ、日々を丁寧に生きています。
「パンとスープとネコ日和」、待望の第2弾!!



(感想)

前作も面白かったけど、前作はナチュラル志向で、
そういう類の情報を必死に集めて群がってくるようなタイプの人たちを
著者がな〜んとなくチクッと刺すようなものを感じたんですよね。
その皮肉めいた毒がエッセンスになって逆に私には小気味よく感じたけど、
今作にはそういった皮肉は感じなかったなぁ。

今回は美味しそうなスープやかわいいネコに癒されて、
ゆるゆるっと現実逃避してるだけじゃなく、
アキコさんのたろを失ったことでの喪失感やお店経営に対しての迷いなどが描かれ、
「一人で、自分の足で立って、生きていかなきゃ」というリアルも感じられるのがいいです。
食べていけなくなる危機を感じれば、
自分の主義を曲げて儲けに走ることもやむを得ないけど、
アキコさんはそうはせず、
自分のやり方でゆっくりとゆっくりと解決策を見つけようとする。
この生き方を素敵だと思うし、
しまちゃんは出しゃばることなく、最高の距離感でついてきてくれる。
この二人の関係性もたまらなく好きです。
はっきりとしたことは言わないけど、
そっと見守ってくれるお向かいのママさんの距離感も素晴らしい。
ベタベタしない、でもいつも静かに寄り添って「気づき」を与えてくれる・・・・
こんな人間関係を私も築けたらなぁ。

ネコという存在も大きなキーワードなので、
ネコ好きの方は感情移入しまくりでしょうね。
私は完全なる犬派なので、ネコのネタにはそこまで惹かれないけど、
好きな人はたまらんだろうなぁというのだけはわかりますw

癒され小説。
通勤途中などせわしない時よりは、家で時間のある時にゆっくり読みたい本です。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:48 | category:    群ようこ |
# バラカ
評価:
桐野 夏生
集英社
¥ 1,998
(2016-02-26)

JUGEMテーマ:小説全般

 バラカ / 桐野夏生(集英社)

 評価 ☆☆☆☆


震災のため原発4基がすべて爆発した。
警戒区域で発見された一人の少女「バラカ」。
ありえたかもしれない日本で、世界で蠢く男と女、その愛と憎悪。
想像を遙かに超えるスケールで描かれるノンストップ・ダーク・ロマン!



(感想)

桐野夏生の想像力に圧倒されます。
この一冊でほんとにいろんなことが起こりました・・・・はぁ。

ドバイの赤ん坊市場で買われてきた少女「バラカ」の人生を
東日本大震災と原発事故を背景に描きます。
前半の読むのがとめられないほどの面白さに比べると、
後半はやや急ぎ足で細部の描き方が散漫な気がしたのが小説としては残念です。
ですが、震災までの出来事は現実とリンクしているし、
震災後の世界は現実とはちょっと違うけど十分にありえたことでもあるので、
まったくのフィクションとして読むことはできませんでした。
私たちが知らないだけで、もしかしたら現実はこれよりもっとひどいかもしれない・・・。
そう思わずにいられない恐怖もあります。

「一人の子供がただ生きるということ」、
たったそれだけのことも許されなかったバラカを思うと胸が痛い。
ミカちゃんには子供らしく、自分らしく、生きてほしい。そんな未来があってほしい。

ほーんと、五輪どころじゃないよなぁ。
スポーツの力で被災地を元気にしたいとかそんなぬるいこと言ってる場合じゃない。
今の日本は五輪なんかより、もっともっとやらなきゃいけないことがいっぱいある。
桐野さんはこの作品を通してそういうことも言いたかったんじゃないかなぁ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:32 | category:    桐野夏生 |
# 倒れるときは前のめり
評価:
有川 浩
KADOKAWA/角川書店
¥ 1,512
(2016-01-27)

JUGEMテーマ:エッセイ

 倒れるときは前のめり / 有川浩(角川書店)

 評価 ☆☆☆


『図書館戦争』『レインツリーの国』『植物図鑑』ほか映像化続々の人気作家・初のエッセイ集!
日々の生きるつれづれ、創作の裏側、大好きな本や映画、敬愛する人びと、ふるさと高知のことなど、
デビュー書籍刊行前から現在までに綴った90本超に、それぞれ振り返りのコメントを書き下ろし。
現在入手困難な「ほっと文庫」に収録された短編「ゆず、香る」と、
片想いがテーマの恋愛掌編「彼の本棚」の小説2編も特別収録。




(感想)

いろんな媒体で発表された短いエッセイが90本超。
プラス10〜20ページ程度の短い小説も収録してあります。

エッセイは古いものは2004年くらいのものからあり、
新しいものと比べると約10年の開きがあります。
古いものは「いまさらその話題?」的なものもあるのですが、
そこは各エッセイの最後に「振り返って一言」というコーナーを設けることによってカバー。
わずか数行ですが、
そのエッセイの中身に対する今の有川さんの言葉が寄せられているのが救いです。

郷土愛や趣味嗜好がかな〜り濃く出ていて、
作家としてではないそのままの有川さんを感じられますが
寄せ集めエッセイなので話題が重複しているところが多々あって、
仕方ないけどくどく感じたのはちょっと・・・・かな。

何度も何度も自分の作風や作品が「低く見られている」と書いていましたが、
正直、それは事実だと思います。
有川浩、すんごく売れてるけど、面白いけど、ライトだから低く見てる人は多いです。
でも今、その軽い作品・作風こそが求められているっていうのも事実なわけで、
有川さんもファンの人も何も引け目を感じる必要はなく、堂々としていてほしい。
私は胸を張って「有川浩のファンです」って言ってるし、
なにも重厚なものを書いたり、好んだりする人が偉ぶることでもないしね。

2編の小説はどちらもキュンとする有川さんらしいものでした。
どちらの男女にも素敵な未来があればいいなぁ。
このふた組がどうなるのか続きが読みたいw どっかで書いてくれないかなぁ。

 
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:33 | category:    有川浩 |
# 軽薄
評価:
金原 ひとみ
新潮社
¥ 1,512
(2016-02-26)

JUGEMテーマ:小説全般

 軽薄 / 金原ひとみ(新潮社)

 評価 ☆☆☆


十代の終わりに、ストーカーと化した元恋人に刺された過去を持つカナ。
29歳のいま、裕福な年上の夫と幼い息子、
仕事での充足も手にし、満たされた日々を送っていた。
そこに、アメリカから姉一家が帰国。
未成年の甥から、烈しい思いを寄せられる・・・・。
空虚への抗いと、その果てにある一筋の希望を描く渾身の長篇小説。



(感想)

一言で言ってしまえば「未成年の甥と不倫しちゃう人妻のハナシ」。
主人公と甥がパーティに行くあたりまではたしかに面白かった。
だけど、その後の展開が急ぎ足、かつおさまりの悪い展開はちょっと残念。
でも、文章力にグイグイと引っ張られて、
危うい世界観をたっぷり堪能した感じです。

主人公の本心はどうなのかはっきり書かれていないのに、
それでも彼女の考え方・生き方は伝わってくる・・・。
彼女のことは好きじゃないし、甥との恋も応援しないけど、グッと来るものはあった。
そんな金原ひとみの文章が好きなんだよな〜。
文章にも世界観にも品はないけど、毒と危うさに「美しさ」がある。
私は明確なカラーがあり、そっから決してブレない作家は信じられるから好き。
この人もそういうタイプの作家だよね。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:00 | category:    金原ひとみ |
# ズッコケ熟年三人組
評価:
那須 正幹
ポプラ社
¥ 1,296
(2015-12-01)

JUGEMテーマ:小説全般

 ズッコケ熟年三人組 / 那須正幹(ポプラ社)

 評価 ☆☆☆


ありがとうズッコケ三人組!
age50シリーズついに完結!
ハチベエ、ハカセ、モーちゃんはいつまでもズッコケ三人組!!!





(感想)

小学生のころから読み続けた「ズッコケ三人組」のシリーズがついに完結です。
あのころは小学生だったハチベエ・ハカセ・モーちゃんも今や50歳・・・。
彼らと一緒に読者の私たちも年を取りましたっw
このシリーズが始まったのは1978年ということで、
自分が幼い頃にこのシリーズと出会い、
ともに成長できたことを一人の読書好きとして本当に幸せなことだったと思います。
読書のワクワク感を教えてくれたこのシリーズに読書人生のごく初期に出会えたということは、
自分にとってとても意味のあることでした。

だけどこれはやはり児童文学のクオリティであることは認めざるを得ません。
普段大人向けの小説を読んでる私にはやはり少々子供っぽく、刺激が足りない。
シリーズ全体としてではなく、
これ一冊で評価するとなるとまったく面白くありませんでした。
前半は駅前再開発の話がメインですが、
後半ではミドリ市の一部が土砂災害で被害に合ってしまい
これは広島の土砂災害がモチーフになっているようです。
が、前半・後半の関連性が薄く、バランスの悪い印象・・・・。
このシリーズは私にとってとても大事なものであることは確かだけど、
正直、小説としては「これが最後なのか・・・」と悲しくなるような出来です。

ということで、本編より作者のあとがきの方が心にしみます。
たしかに私も「大人になった三人組」は見たかったけど、
「老いていく三人組」は見たくない。
いつまでも小学生のころの輝きをそのままに・・・・
三人組は私の中で永遠にあの頃のままであってほしいのです。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:15 | category:    那須正幹 |
# トットひとり
評価:
黒柳 徹子
新潮社
¥ 1,620
(2015-04-28)

JUGEMテーマ:エッセイ
 
 トットひとり / 黒柳徹子(新潮社)

 評価 ☆☆☆☆


「ザ・ベストテン」の日々、
テレビ草創期を共に戦った森繁久彌、毎日のように会っていた向田邦子、
〈私の兄ちゃん〉の渥美清、〈母さん〉の沢村貞子・・・・。
そして結婚未遂事件や、現在の心境までを熱く率直に明朗に綴った感動のメモワール。
私が好きだった人たち、私を理解してくれた人たち、そして私と同じ匂いを持った人たちへ――。




(感想)

黒柳徹子ってウチのばあちゃんと同世代とは思えないほどお元気で、
生き生きと個性的ですんごく不思議な人。
その輝きの秘密を知りたくてこの本を読みました。

で、おそらく彼女の輝きの秘密は、
「出会い運の強さ」「感受性の豊かさ」「愛され力の高さ」にあるのではないかと結論。

時代を作ったスーパースターたちがみんな彼女に寄ってくる。
そして、かけがえのない関係を築く。
これは彼女が魅力のある人だからこそなのでしょうね。
周りに流されず、自分に素直に、生きたい。
私的に今でも十分そうしてるつもりだけど、
まだまだきらきらハジケられそうな気がしました。
彼女にそれを教えてもらったし、
そうすることが同じような人も呼び寄せる力になると痛感。
よしっ、私もまだまだ頑張っていい出会いを探そうっ!

今では考えられないようなテレビ創世記の番組制作の裏話も面白かったです。
ただし、写真がもっと欲しかったのと、
いい時代の素敵な人たちのお話だけど、
登場人物のほとんどがもうお亡くなりになられてるという事実の悲しさがなんとも・・・。
それを考えてしまうとこのタイトルはあまりにも重苦しい。
なぜこんなタイトルにしちゃったんだろうと思うけど、
それはきっと私はもっと年をとって、
周りの友人たちがどんどん減っていく寂しさを味わったときに
わかることなのかもしれないなぁ。。。。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:15 | category: 作家名 か行 |
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