# 地上八階の海
2016.02.24 Wednesday
JUGEMテーマ:小説全般
地上八階の海 / 角田光代(新潮社)
評価 ☆☆☆
母は目に見えない何かに怯えはじめ、
兄嫁はとめどもなくしゃべり続け、
赤ん坊は鬱陶しい泣き声を響かせ、昔の男はストーカーになった。
癒しようのない孤独を抱えた私の毎日を描く表題作ほか、1編を収録。
(感想)
中編2作を収録。
うーん、うまく作品の世界に入り込めなかった。
重苦しく、常に不安がつきまとうような空気が漂い、
読んでいて気持ちのいい作品ではなかったです。
「真昼の花」はバックパッカーで当てもなく東南アジアを旅する女性の話で、
旅好きの角田さんならではの設定という気がしました。
私にはこんな旅をする度胸はないし、主人公の危機感のなさも信じがたいけれど、
何かを失ったり、責任を伴わなければいけない何かに解放されたときに、
「どうにでもなれっ!」とプチンと切れたように旅したくなる衝動はわかる気がします。
(でも、私には絶対にできないけどね)
表題作の「地上八階の海」は、
離れて暮らす家族・ストーカーになった元恋人に振り回されつつも、
モヤッとした孤独を抱える女性の話。
これは着陸点が見つからないまま終わってしまい、読後感も良くありません。
スッキリせず、記憶に残らなそうなお話でした。
だけど、あとがきは若くてもやっぱり角田光代!!
このころから私の好きな角田光代はすでに出来上がっていたんだなと感じ、
なんだか嬉しかったです。
本編はイマイチだったけど、あとがきで救われました。