隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# かたづの!
評価:
中島 京子
集英社
¥ 1,944
(2014-08-26)

JUGEMテーマ:小説全般

 
 
かたづの! / 中島京子(集英社)

評価 ☆☆☆☆☆


慶長五年(1600年)、角を一本しか持たない羚羊が、
八戸南部氏20代当主である直政の妻・祢々と出会う。
羚羊は彼女に惹かれ、両者は友情を育む。
やがて羚羊は寿命で息を引き取ったものの意識は残り、祢々を手助けする一本の角―南部の秘宝・片角となる。
平穏な生活を襲った、城主である夫と幼い嫡男の不審死。
その影には、叔父である南部藩主・利直の謀略が絡んでいた―。
次々と降りかかる困難に、彼女はいかにして立ち向かうのか。波瀾万丈の女大名一代記!



歴史小説でありながらファンタジーの要素もあるので、
歴史小説に少し苦手意識を持っている私にも読みやすかったです。
語り手がカモシカだし、軽くて独特の雰囲気が良いのだと思います。
そういう点ではもともと歴史小説が好きな方には違和感があるでしょう。
数年前に遠野を旅したことがあるのですが、その前にこの本に出会っていればなぁ・・・・。

主人公・清心尼のことは同じ東北に住みながらまったく知りませんでした。
若いうちに夫と息子を暗殺され、「女亭主」となった女性・・・
戦わずに国を治めようという姿勢は女性だからこそのもの。
揺るぎない信念と強さを持っているけれど、
三戸の叔父には大切なものをたくさん奪われて、何度も何度も悔しい思いをする。
それでも逆らうことは許されない。それがこの時代というもの。
諦めの中にも、それでもなんとか痛みを軽くおさめるために策を凝らす姿が勇ましかったです。

清心尼の亡き後の片角のその後が悲しい。
今でもどこかへ展示されているのでしょうか?見に行きたいなぁ。

 
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:45 | category:    中島京子 |
# ありふれた愛じゃない
評価:
村山 由佳
文藝春秋
¥ 1,620
(2014-03-28)

JUGEMテーマ:小説全般

ありふれた愛じゃない / 村山由佳(文藝春秋)

評価 ☆☆


未熟だがまっすぐな年下彼氏との婚約に満足していたはずの真奈が偶然再会したのは、
社会不適合だが危険なほど官能的な元カレだった。
揺れる心と躯。楽園の島タヒチで真奈が選んだ愛とは?


あれ?これってありふれた愛ではないのかな・・・・?
少なくとも、ありふれた恋愛小説だとは思ったけど(^_^;)
ま、女なら誰もが自分の恋愛はありふれた愛じゃない特別なものだと思いたいだろうし、
そういう意味を込めてのタイトルなのでしょうかね。

最終的にどっちにの男性に転がるのかが予想できるし、
読みやすく、美しい情景もイメージしやすい。
恋愛小説で夢をみたい人には素敵な小説なんだと思います。

だけど私はどうも主人公の「できすぎてる感」が気になってしまって。
羨ましくなっちゃうくらい仕事も恋も上手くいっていて、容姿もなかなかのものらしい。
タイプの違う男性からモテまくり(しかも職場の社長にまで狙われている)で、
仕事とはいえ会社の金でタヒチ行って、
魅力的になった元カレと再会して元サヤって!!!!

ロマンチックだけども!
心を揺さぶられるけども!
どこか冷めた目で見てしまってる私がいました。

あー、ごめんなさい。


 
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:35 | category:    村山由佳 |
# 降り積もる光の粒
評価:
角田 光代
文藝春秋
¥ 1,404
(2014-08-29)

JUGEMテーマ:エッセイ

降り積もる光の粒 / 角田光代(文藝春秋)

評価 ☆☆☆

二度は出会えない、貴重な旅の記録
旅好きだけど、旅慣れない――そんなスタイルだからこそ出会えた人や出来事。
日本国内から海外まで、旅の記憶を集めたエッセイ集。



日本国内から海外まで旅先がバラエティに富み、その点は面白い。
しかし、4ページ程度の短いエッセイが何十も続くと、私の性格上飽きてくる。
どうも私には合わないタイプのエッセイ集でした。
もっと1つの話が長ければ読み応えあったんだろうけどなぁ。

やはり旅というものは「行動力」「好奇心」のある人こそ、より楽しめるものなのでしょう。
様々な経験が自分を高めてくれる。
私のような出不精の臆病者には角田さんが羨ましい限りでした。
食堂車・・・一度乗ってみたいなぁ。

私も角田さんも旅の最大の楽しみは「食」という点では共通しているのだけど、
楽しむことだけがすべてじゃない。
他国の現状を目の当たりにし、深く考えることも旅の醍醐味の一つ。

後半のパキスタン・アフリカ・インドのレポートは衝撃的でした。
世界にはまだまだ女性の立場が弱く、行動が制限されている国も多くあり、
特に女の子たちが貧しさの犠牲になっている。
女性器切除ってなんなんだろう?私の理解を超える話です。
女としてこの不平等さには考えさせられるものがありました。

 
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:35 | category:    角田光代 |
# スタープレイヤー
評価:
恒川 光太郎
KADOKAWA/角川書店
¥ 1,620
(2014-08-30)

JUGEMテーマ:小説全般

スタープレイヤー / 恒川光太郎(角川書店)

評価 ☆☆☆


路上のくじ引きで一等賞を当て、異世界に飛ばされた斉藤夕月(34歳・無職)。
そこで10の願いが叶えられる「スタープレイヤー」に選ばれ使途を考えるうち、
夕月は自らの暗い欲望や、人の抱える祈りの深さや業を目の当たりにする。
折しも、マキオと名乗るスタープレイヤーの男が訪ねてきて、
国家民族間の思惑や争いに否応なく巻き込まれていき…。



RPGの世界のようなお話でした。
面白かったけど、これを恒川光太郎がやる必要あるのかな?とギモン。
少し前に読んだ「金色機械」でも感じたことですが、
新境地にチャレンジしすぎて、私が本来読みたい・好きな恒川光太郎の世界とはまったくの別物・・・。
「ここではないどこかへ連れて行ってくれる」・・・その点に関してはいつもの恒川さんだけど、
幻想的な美しい恒川さんはどこへ・・・。
このチャレンジは喜ぶべきこと?なんだか悲しい気がするのは私だけ?
私は妖しさに酔わせるようなそんな幻想的な恒川さんが好きなのに。
だから☆は3つにしておきますね。

スタープレイヤーに選ばれた者は異世界へ飛ばされ、
そこで「10のスター」を使い、願いを10回かなえることができる。
主人公の斎藤夕月は最初は私欲のためにスターを消費してしまうけど、
様々な出会いを経て、人のため・平和のためにスターを消費するようになり、人として成長していく。
夕月の選択を読みながら、つい「自分ならどう使うかな?」と考えちゃいますね。
誰かのためにスターを使うこと、私にはできるかなぁ。

シンシアの
「じゃあさ、私はどうすればよかったの?何もない荒野にひとりぼっちだったんだよ?」という言葉は
胸に突き刺さりました。

続編、あるらしいですね。
たしかにまだ解明されてない謎も多いし。まぁ、出たら読むと思います。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:46 | category:    恒川光太郎 |
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