恋歌 / 朝井まかて(講談社)
評価 ☆☆☆☆
幕末の江戸で熱烈な恋を成就させ、天狗党の一士に嫁いで水戸へ下った中島歌子。
だが、尊王攘夷の急先鋒である天狗党は暴走する。
内乱の激化にともない、歌子は夫から引き離され、囚われの身となった。
樋口一葉の歌の師匠として知られ、明治の世に歌塾「萩の舎」を主宰し一世を風靡した歌子は、
何を想い、胸に秘めていたのか。落涙の結末!
(感想)
直木賞受賞作です。
失礼ながら今回の受賞ではじめてお名前を聞く作家さんでした。
樋口一葉の師である歌人・中島歌子が主人公。
幕末の江戸で水戸の若い藩士に恋をして嫁いだのだが、2人には幸せな時間は少なく、
離ればなれになり、歌子は囚われの身に・・・・。
女性の視点で描かれ、恋愛が絡んでいるから
時代物が苦手な私でもスーッと入っていけたのかもしれない。
自我の強いお転婆なお嬢さんが恋をし、嫁ぎ先で苦労をし、
凛とした一人前の奥様となっていく姿は胸を打つものがあります。
タイトルがタイトルだし、恋愛ものかなと思われそうだけど、そんな軽いものじゃない。
時代に翻弄され、でも心は決して揺るがなかった強い女性のお話でした。
特に歌子が最後に詠んだ歌が胸にしみます。
「君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもをしへよ」
恋することを教えたのはあなたなのだから、どうかお願いです。忘れ方も教えてください。
あー、改めて自分の歴史オンチっぷりが悲しい。
歴史的な背景を理解していれば、時代小説はもっともっと面白いと思う。
歴史を知らない私は絶対に損してる。
だからここはちょっと真剣に勉強してみようと思って、簡単な本を買ってきました。