隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 天翔る
評価:
村山 由佳
講談社
¥ 1,680
(2013-03-20)

JUGEMテーマ:小説全般

 天翔る / 村山由佳(講談社)

 評価 ☆☆☆☆


看護師の貴子が出会った少女・まりもはある事件から学校に行けなくなってしまった。
貴子は少女を牧場へと誘う。
そこで待ち受けていたのは風変わりな牧場主と、
乗馬耐久競技(エンデュランス)という未知の世界だった―。


実際に村山由佳さんも10年ほど前からエンデュランスに挑戦しているらしいし、
書くべくして書かれた作品なんだろうな〜。
馬や競技の丁寧な描写に作者のそのへんの特別な思い入れがはっきり感じられました。
ここ最近の村山さんの作品は大人の恋愛をテーマにしたものが多かったので、
久々に新鮮でしたよ。

とにかく人の優しさと希望にあふれた作品です。
臨場感もあり、爽やかな読後感が残ります。

いい出会いに恵まれ、支援してくれる人が現れ、
ちょっと主人公に都合のいいように進み過ぎかな〜と思ったけど、
まぁ才能があり、頑張っている子には人もお金もついてくるのかなってことで
そこは見逃しましょう。
主な登場人物はみんな、心の傷を抱えていて、
だからこそ人にも馬にも優しく、そして一生懸命になれる。
大人も子供も関係なく、1人の人間として真剣に向き合える人間関係が素晴らしい。
心の傷も過去の過ちも、決してすべてがその人の黒歴史だとは限らない。
それがあったからこそ、魅力のある人間になれるということもある。
その傷や過ちをどう教訓としてその後の人生を生きるかこそが人生なんだ。

登場人物たちの言葉は北海道の方言なんでしょうね〜。
なんだか優しくって癒されました。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:08 | category:    村山由佳 |
# 途中の一歩(上)(下)
評価:
雫井 脩介
幻冬舎
¥ 1,260
(2012-08-31)

JUGEMテーマ:小説全般


 途中の一歩(上)(下) / 雫井脩介(幻冬舎)

 評価 ☆☆☆☆



仕事一筋で恋愛には縁のない漫画家の覚本は、
独身仲間に説得されて参加した初めての合コンで可愛い女の子たちに囲まれ、
久々に恋の予感が到来。
恋愛相談にのるのが得意な編集者の綾子は、
いざ自分のこととなるとなかなか前に踏み出せない。
ヒットメーカー雫井脩介が描く大人のための愛と勇気の物語。


雫井脩介さんってこんな軽いものも書けたんですね〜、意外!!
上下巻組という重みを感じさせないライトで笑える作品で、
あっという間に読み終えてしまいました。
表紙にフカザワナオコさんの漫画を使っているのも、
作品の中身を表現するのにはうまい方法だと思う。

登場人物たちが私と同世代ということもあり、リアルで共感をしやすい。
特に恋愛下手な部分や人としてダメなところとかマイナスな面に
つい自分や周りの知り合いの面影を感じてしまいます。

子供の頃は30代の人たちを「本当の大人」だと思って見ていた。
でも、いざ自分がその年代になってみると、
それはとんでもないカン違いだったことに気づく。
社会に出て10年ほどが経ち、ある程度の落ち着きと経験値が増しただけ。
そのぶん、勇気や行動力はなくなってしまってる。
それに気づいてるから焦りや不安もあるし、1人でいることが怖くなる。
だから不器用ながらもジタバタともがいてみる。
その焦りがわかるから、彼らのちょっとした悩みや言葉が妙に心に響きました。

特に奈留美に関しては1人暮らしで独身で彼氏もいなくって、
私、このまま年を取るのかな・・・ってぼんやり思ってた頃の自分が重なっちゃってw
だからこのハッピーエンドは読んで本当に嬉しかったです。

それにしてもヌエの秘密には笑ったなぁ・・・そうきましたかww

| comments(0) | trackbacks(0) | 11:34 | category:    雫井脩介 |
# 夢幻花
評価:
東野 圭吾
PHP研究所
¥ 1,680
(2013-04-18)

JUGEMテーマ:小説全般

 夢幻花 / 東野圭吾(PHP)
 

 評価 ☆☆☆


この世には存在するはずのない「黄色い朝顔」を巡るミステリー。
ある雑誌に2002〜2004年に連載されたものを元に
あらたに書き下ろした作品だそうです。


黄色い朝顔・・・たしかに面白い題材ではあったけど、
中盤へ差しかかっても夢中になれず、焦りすら感じたほどです。
東野さんと作品といえば、ミステリーとしての面白さはもちろんのこと、
人と人との絆や、誰かが誰かを思う気持ちが犯罪へとつながり、
胸をしめつけられるような苦しさを感じるものが多いのですが、
今作はそういう切なさや感動が少なかったように思います。

でも、やはり東野さんには期待しちゃいます。
次回作も楽しみに待ってますよ。
 
| comments(0) | trackbacks(0) | 13:34 | category:    東野圭吾 |
# 総理の夫
評価:
原田 マハ
実業之日本社
¥ 1,785
(2013-07-11)

JUGEMテーマ:小説全般

 総理の夫 / 原田マハ(実業之日本社)

 評価 ☆☆☆☆



20XX年、相馬凛子は42歳にして第111代総理大臣に選出された。
夫である私・日和は鳥類研究家でありながらファースト・レディならぬ
ファースト・ジェントルマンとして、妻を支えようと決意する。


日本初の女性総理大臣が誕生。
その夫の視点から書かれた日記形式の物語です。

政治を描いているのなら小難しいのかな?と思っていたけど、
キャラがしっかり立っていてメリハリがあり、マンガっぽいから楽しめました。
装丁と中身のイメージがかなーり違います(笑)
凛子と日和に都合のいいような展開にうまくいきすぎな気もしますが、
軽いコメディータッチの作品なんだからと思えば許せてしまいます。
ですが、総理の打ち出している政策等も、
現実とかけ離れたマンガチックなものだというわけではありません。
これが現実だったら日本の将来も明るいだろうなーと思わせるようなもので、
これからの未来に希望をもたせてくれる作品でもありました。

凛子さんは素敵だし、日和さんはかわいいし、
読んでいて本当に楽しい作品でした。
| comments(0) | trackbacks(1) | 13:14 | category:    原田マハ |
# 旅屋おかえり
評価:
原田 マハ
集英社
¥ 1,470
(2012-04-26)

JUGEMテーマ:小説全般

 旅屋おかえり / 原田マハ(集英社)

 評価 ☆☆☆☆



あなたの代わりに、全国どこでも旅に出ます!
唯一のレギュラー番組「ちょびっ旅」が打ち切りになった売れないタレント・丘えりか。
ひょんなことから、病気などの事情を抱えた人から依頼を受けて、
代わりに旅をする「旅屋」を始めることに・・・・。


最近、ちょっと気になっていた原田マハさん。初めて読みました。
軽くて読みやすい。単純に楽しめました。

旅を通して巡り合う奇跡のような出会い。
そして「おかえり」を支えるあったかい人達。
すべてが優しく、ほっこりとさせてくれる作品です。

“傷心旅行”なんて言葉があるけど、あれもわかる気がする。
傷ついた心を癒し、他の何かを得るために旅に出る・・・それは自然なことなのかも。

旅っていいな〜。おかえりみたいな旅がしてみたいな。
今すぐにどこかへ旅に出たくなる本でした。
 
| comments(0) | trackbacks(1) | 13:23 | category:    原田マハ |
# 快挙
評価:
白石 一文
新潮社
¥ 1,365
(2013-04-26)

JUGEMテーマ:小説全般

 快挙 / 白石一文(新潮社)

 評価 ☆☆☆


一組の男女が出会い、夫婦となり、
困難を乗り越えながらも絆を深めていく姿を描いた作品。
ものっすごく暗いし、淡々としていてはじめはピンとこなかったけど、
読み終えた今になって「面白かった」と感じています。
この人の作品からは、人生の尊さを学ばせられることが多い。
これまでの作品に比べるとテーマが身近に感じられました。

俊彦が自分にとっての人生の快挙がどの出来事であったかを語る件にグッと来ました。
そう、普通の人にとっての人生の快挙なんてこんなもの。
派手さなんてなくていい、誰にでも起こるような出来事でもいい。
その瞬間を快挙だと言い切れる夫婦なら、間違いなくうまくいくってもんです。

作中で引用される「夫婦とは なんと佳いもの 向い風」という句。
改めて身にしみます。

でも、ラストはこれでよかったのか?
俊彦の選択に不満が残る。
男として俊彦にはラストに大きな花火を打ち上げて欲しかった。
女性側の視点としてはラストにも俊彦という男性にも物足りなさを感じました。
 
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:34 | category:    白石一文 |
# ガソリン生活
評価:
伊坂 幸太郎
朝日新聞出版
¥ 1,680
(2013-03-07)

JUGEMテーマ:小説全般

 ガソリン生活 / 伊坂幸太郎(朝日新聞出版)

 評価 ☆☆☆☆


ちゃーんと意志のある車が主人公。
仙台市内のある一家の所有する緑色のデミオは、お隣のカローラと語り、
街を走る車たちと情報交換をして暮らすのんびりとした毎日。
しかし、そんなある日、家族がある事件に巻き込まれてしまい・・・・。

車は人間とお話しすることはできないけれど、
車同士の会話は可能で、人間の知らない様々な情報を交換し合っているという設定。
こんなほんわかかわいらしい設定に、
いつものハードボイルドな伊坂ワールドが交錯するんだからすごいの一言!
いつもの伊坂作品よりは読みやすいかんじです。

車はなーんでも知っているのに、人間には決して通じない。
そこにはやきもきさせられるんだけど、
車と人間の間に言葉じゃないたしかな絆が感じられてジーンとくる。
私も自分の車、ちゃんと愛してあげなきゃと感じたわ。
エピローグがまた泣かせる〜。

シリーズ化希望!!
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:44 | category:    伊坂幸太郎 |
# わが身に危険が迫ってもこれだけは伝えたい日本の真相!
JUGEMテーマ:ノンフィクション

 わが身に危険が迫ってもこれだけは伝えたい日本の真相! / 船瀬俊介(成甲書房)

 評価 ☆☆☆☆


今日もメディアは皮層の情報しか流さず、真相は闇の奥に隠蔽されている。
おそらく99%の人々は、この戦慄の事実に気づいてすらいない。
著者はその闇に隠された物を掘り起こし、国民に伝える。
これによって著者に危険が迫るかもしれないが、
ここまで明らかにしてくれた勇気には脱帽です。

抗がん剤は猛毒。これでガンは治せない。
輸血はする必要がない。塩水を飲ませるだけで十分OK。
リニアの乗客は安全基準の1万倍も被ばくする。

・・・・耳を疑うような恐ろしい事実が次々と綴られている中で、
主婦として身近な問題としていちばん恐怖を覚えたのは
「ヌードチキン」なるものの存在です。
遺伝子組み換え最新テクノロジーによって生み出された“羽のない鶏”。
想像するだけで鳥肌がたつようなこの鶏がすでに存在し、
世界の市場に出回っているかもしれないというから恐ろしい。
遺伝子組み換えではなく、品種改良によってうまれた新種で、
皮下脂肪が少ないからヘルシーだし、羽がないから加工もラクチン!!
なんて言い訳してるらしいけど、
・・・・そんなモンスターを食べられますか??

実際、この本に書いてあることをすべて信じて日々意識し、
危険を完璧に避けて生きるのはとても難しいことで、ほぼ無理に近い。
全部信じたらどこにも行けないし、もう何も食べられない。
呼吸すらするのが怖くなるかもしれない。
でもこの本を読んで、真実を知らないよりはずっといいと思った。
信じる自由も、選ぶ権利も自分自身にあるのだし、
この本に綴られた事柄をどこまで意識して生きるかは自分自身の問題だ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 13:30 | category: 作家名 は行 |
# 分福茶釜
JUGEMテーマ:エッセイ

 
 分福茶釜 / 細野晴臣(平凡社)

 
 評価 ☆☆☆

世間のこと、世界のこと、老いること、祈ること、そしてよりよく生きること―。
音楽家・細野晴臣が、二〇年来の仲間・鈴木惣一朗を聞き手に、
大事なことを「小声」で語った人生問答。
老若男女問わず、すべての人に「福」を「分」けてくれる、八〇講。

私はこの細野さんという人のことはよく知らない。
でも、なぜか私の周りにはこの人やYMOのファンの人がたくさんいて、
そんなこともあり、この本を手にとってみたのですが、
この人、ほんと「たぬき」(笑)
かっこよくないところがかっこいい。
こういう大人っていいと思う。
ウケ狙ってるつもりはないんだろうけど、クスッと笑っちゃうよ。
ゆるく、のほほーんとしたところに大きさを感じます。
細野さん自身は本書を通して、
読者に何かを教えようとかそんな気持ちはまったくなさそうだけど、
読者は多くのことを学ぶはずです。

あと、細野さんのお祖父さんがあのタイタニック号に乗っていて、
しかも生還した人だとさらっと書いてあって驚きでした。
YMOファンの夫に聞いたら「すごく有名なことだよ」ですって(笑)
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:56 | category: 作家名 は行 |
# リテイク・シックスティーン
JUGEMテーマ:小説全般

 リテイク・シックスティーン / 豊島ミホ(幻冬舎文庫)

 評価 ☆☆☆☆☆


高校に入学したばかりの沙織は同じクラスになった孝子から
「私は未来から来た。」と告白される。
未来の孝子は27歳で無職。イケてなかった高校生活からやり直せば、
未来も明るく変わるはずと青春を積極的に楽しもうとしている。
そんな孝子の影響を受けて、地味で落ち着いていた沙織の日々も輝き、
少しずつ変わっていく・・・・。

よかったー!!豊島ミホの傑作じゃない!?
もうね、キラッキラしてる。
特別なことはない、ありふれた青春なのにどうしてこんなに眩しいんだろう。

“孝子が未来から来たという設定”・・・
これはもしかしたらいらないんじゃないかと思えるんだけど、
未来で苦しみ悩んだ孝子を思うと、
「どうして私に会いに来なかったの?」沙織が孝子に放ったこの一言は大きい。
どびっきりかわいくてスタイルもいいけどどこか地味な沙織が
この時代で輝くような青春を送れるのは、未来から来た孝子の存在あってこそ。
これ言われた時の孝子の気持ちを思うと切ない。
こんなふうに未来の孝子がちらつくたびに、作品が重みを増す。
孝子ではなく、沙織が主人公なことと、
こんなSFチックな設定がありながら、まったくSFな要素はなく、
れっきとした青春小説になっているとこがこの作品のミソだよね。

2人と青春をともにするクラスメイトの村山君と大海君も素敵だよね。
2人とも好きだわ。選べない。
村山君と沙織はその後どうなるんだろう〜、気になる。

私の心の書「底辺女子高生」を書いた豊島ミホの書いた作品だと思うと、
なんだかとっても切ない気持になります。
だって、この人には男子と海に行くだの、
そんなリア充的な高校生活の思い出はたぶんないもん・・・。
作家ってすごいなー。
それなのにこんなにキラッキラした瑞々しい青春が描けるんだよ?
もちろん「底辺女子高生」は別格に好きだけど、
小説の中で選ぶなら、この「リテイク・シックスティーン」がこの人のベストです。
 
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:31 | category:    豊島ミホ |
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