隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 人生の旅をゆく 2
評価:
よしもと ばなな
NHK出版
¥ 1,575
(2012-11-23)

JUGEMテーマ:エッセイ

 人生の旅をゆく 2  / よしもとばなな(NHK出版)

 評価 ☆☆☆


「人生の旅をゆく」の第2弾。
あちこちで書いたエッセイをまとめたもの。
そのせいか統一感がなく、読んでいて落ち着きません。
まぁ、仕方ないわな・・・。

やっぱりこの人の考え方が好きだ。
なぜばななさんの回りに多くの人が集まってくるのか
(しかもかなり変わった人が多いようだ)なんだかわかる気がする。
無理なく自然体で生きていて、完璧じゃないところが魅力。
たま〜に豊かな暮らしぶりが感じられて鼻に付くこともあるんだけど、
そういうのも気にせず書いちゃうところもいいとこなんだろう。

私が言葉に敏感なだけかもしれないけど、
この作品の中でよく出てくる“ボーイフレンド”という言葉に違和感を感じる。
“彼氏”的な位置にいる男性のことを言っているのだけど、
“ボーイフレンド”なんて言葉、使いますか?
ばななさんは普段からのこの言葉を使うのだろうか?

ああ・・・だけど正直な話し、ここ何年か感じていたのだけど、
あんなに自分の中にスーッと入ってきていたばななさんの作品に
なぜか少しずつ距離をかんじるようになっている。
描いているテーマにブレはないはずだし、
この世界観が好きなことに変わりはないのにどうしてだろうと思っていたけど、
その答えになりそうなヒントをこの本に見つけた。
ばななさんは子供が産まれたら考え方も生活も何もかも変わってしまうのだろうと
妊娠中は“最後になるかもしれない”という覚悟で重い話ばかりを
書いていたらしい。
もしかしたら私はその暗かった時期のばななさんが好きだったのでは?
よく考えてみるとばななさんが妊娠してた時期と、
私がいちばんばななさんの作品にのめりこんでた時期が同じ〜。
うわー、そうだったのか。
・・・とうことは、
私が出産でもしない限り、もうあの頃みたいな気持ちにはなれないのかー。

父親の死、震災を経験したことはきっと彼女の小説の糧となる。
作品にどうかかわってくるのか?そして、私の心にどう響くのか?
前のような心地よさはなくなっても、
それでもやっぱり私はばななさんからは離れられないんだろうなぁ。

それと最後に・・・・バンド名は出てこなかったけど、
くるりの曲に触れてくれてるのには感激したぜ!

 
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:22 | category:    よしもとばなな |
# 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
JUGEMテーマ:小説全般

 
 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 / 村上春樹
 

 評価 ☆☆☆☆


突然起こった納得のいかない出来事。
それが主人公・多崎つくるのその後を大きく決定づけた。
これは彼がその出来事に立ち向かい、消化していくお話。
テーマもシンプルで読みやすかったです。
静かで、つくるの喪失感も共感しやすいものだっただけに
心にしみいります。

はじめてタイトルを聞いたときは
「これまた意味不明な難解なタイトルをつけたもんだな」と思ったけど、
いざ読んでみるとこれほどストレートなタイトルもない。
それに気づいた時は思わず笑ってしまいました。

つくるは昔から駅が好きだった。
そして大人になり、駅の設計の仕事をしているが
駅というものはは終着駅でない限り、ほとんどが通過点である。
これまではみんなまるで駅を通過するようにつくるの元を通過していった。
でも、あの人だけはここを終着駅にしてほしい。
最後はもどかしい終わり方だっただけに、そう願わずにいられない。
自分だけが持ってないものを気にしすぎて、
つくるは自分が持っているもののかけがえのなさに目が向いていなかった。
この巡礼は自分自身を見つける旅でもあった。
きっと大丈夫、今はつくるにそう言葉をかけてあげたい。

消息不明な灰田、緑川さんの存在、あの事件の真相・・・など
消化不良な部分もあるけど、あえて続編を読みたいとは思わない。
余韻として残しておきたいものもあるよね・・・。


静けさと孤独感に耐えられない人もいるでしょう。
退屈に感じる人もいるでしょう。
無駄にベストセラーになってしまい、評価を下げている気がしてもったいない。
これは本来、こんな売れ方をするべき本ではないのだと思うのですが・・・。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:00 | category:    村上春樹 |
# さきちゃんたちの夜
評価:
よしもと ばなな
新潮社
¥ 1,365
(2013-03-29)

JUGEMテーマ:小説全般

 さきちゃんたちの夜 / よしもとばなな

 評価 ☆☆☆☆ 

5つのお話しからなる短編集。
どのお話しも主人公の名前が「さき」。
早紀・紗季・咲・沙季・そして崎とさき・・・。
どのさきちゃんも目立ちはしないけど、優しく健気に生きていた。

優しさだけじゃなく、それをとり囲む邪悪なものも全部ひっくるめて、
認めて折り合いをつけて生きていこうとする感じがすごく心地いい。
「癒しの豆スープ」でお母さんが
善人ばかりでいやだ、ついてけないって言うけれど、
そういう力の抜け具合が好きなんだ。
完璧じゃない。まじめじゃなくてもいい。そこに救われる。

私の大好きなマンガ「きょうの猫村さん」のほしよりこさんが
装画を手掛けているのもポイント高し!
ほし先生がしっとりとした大人の女性のイラストを書くなんて素敵だ〜。
淡くて素朴な雰囲気が世界観によくマッチしてました。

最後に載っている表題作に
「もっともっとペースの乱れるようなことを呼び込もう」という一文があり、
ああ、これは今の私にいちばん足りないモノだ!と思ったらグッときた。
そう、そうなの。
ばななさんの作品ってこんな風に必ず人生の見方を変えちゃうような
素敵な言葉が必ずある。
それが楽しみで私はいつもばななさんの新刊を心待ちにしています。

| comments(0) | trackbacks(0) | 14:54 | category:    よしもとばなな |
# 散歩
評価:
小林 聡美
幻冬舎
¥ 1,575
(2013-01-11)

JUGEMテーマ:エッセイ

 
 散歩 / 小林聡美(幻冬舎)

 評価 ☆☆☆


散歩大好きな女優・小林聡美さんがワタシが
気の置けない人達と気ままにふたり散歩して語った記録です。

森下圭子(フィンランド在住コーディネーター)
石田ゆり子(女優)
井上陽水(シンガーソングライター)
加瀬亮(俳優)
飯島奈美(フードスタイリスト)
もたいまさこ(女優)
柳家小三治(噺家)

自然体で対談する2人の気の置けない関係を感じられました。
写真も楽しそうな様子が伝わるいい写真です。
特に石田ゆり子さんとの写真がねー、
それぞれのワンちゃんとの4ショットで素敵なのよー。

二人の間に流れる空気感がいっちばんいいなと思えたのは
やっぱりもたいさんとの対談。
このコンビ、大好きよ。

うん、でも小林さんは対談集よりエッセイ集の方が笑えるな。
実は腹がよじれるぐらい笑えるものを期待していたのよ・・・。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:16 | category:    小林聡美 |
# ふくわらい
評価:
西 加奈子
朝日新聞出版
¥ 1,575
(2012-08-07)

JUGEMテーマ:小説全般

 ふくわらい / 西加奈子(朝日新聞出版)

 評価 ☆☆☆

マルキ・ド・サドをもじって名づけられた、書籍編集者の鳴木戸定。
彼女は幼い頃、紀行作家の父に連れられていった旅先で
誰もが目を覆うような特異な体験をした。
この経験が彼女の人生や性格に大きく影響していきます。
25歳にもなるというのに、恋愛も友情も知らない定が成長し、
心を開放していくまでを描きます。

定は幼いころから「ふくわらい」が大好きで、
大人になってからも人の顔を見ると無意識に
頭の中で目や口の位置を移動させたりしてしまう変なクセがる。
つまりは人を「顔」という平面としてしかとらえることができず、
そのへんが愛情も友情も知らない人間として形成されてしまった原因のようだ。
後半、プロレスラーの守口さんの部屋の場面は迫力あったなぁ。
心を開放し、本当に自分を手に入れるってこんなに過酷なことなんだ。

けど、最後の最後のシーンが納得できなーい。
どうしてこうなる?
西さんらしいといえばそうだけどねぇ・・・。
| comments(0) | trackbacks(1) | 11:27 | category:    西加奈子 |
# 衣もろもろ
評価:
群 ようこ
集英社
¥ 1,260
(2012-10-26)

JUGEMテーマ:エッセイ
 
 

 衣もろもろ / 群ようこ(集英社)

 評価 ☆☆



衣類にまつわるエッセイいろいろ。
そうそう!とうなずきながら読みすすめるものの、
私自身が元来、ファッションに無頓着なのであまりハマれなかった。
もう少し年をとったらまた読んでみるのもいいかもなぁ。

いい物を買って長く着た方がいいことはわかっている。
でも、そのいい物を買う金がない。サイズだってどんどん変わるしー。
群さんは間違いなくおしゃれだと思う。
私だったら服やら美容のネタだけでこんなに話題ないもん。
ある程度の年齢になってもおしゃれ心は持ち続ける・・・
これは女性として大事なことだよな。
さらに自分が好みだけじゃなく、その場に適した人を不快にさせない服選び・・
うん、難しいけどこういうことに一生悩み続ける女性らしさっていつまでも持っていたい。

私もいつもラクチンな服ばっかり着てないで、
春になったことだし、今日は久々に買い物にでも出てみますか♪

 
| comments(0) | trackbacks(0) | 09:29 | category:    群ようこ |
# 55歳からのハローライフ
JUGEMテーマ:小説全般
 

 55歳からのハローライフ / 村上龍(幻冬舎)

 評価 ☆☆☆☆


主人公の年齢が高めで、長く人生を経験している人ということもあり、
思いの1つ1つに重みを感じた。
会社からも子育てからも解放された時に、はじめて“自分”と向き合う人も多いだろう。
そこで何かを始められる人もいれば、手持無沙汰に日々をやり過ごすだけの人もいる。
私が55歳になる頃には日本も今とは違った世の中になっていそうだけど、
自分にとっての“これ”というものを持ってるのと持ってないのでは大違いだよね。
将来のお金や健康の心配はもちろんあるけれど、
それ以前に今できることをやっておこう。
人から見ればくだらないものでもいいの。
“これ”というものを見つける心づもりだけは今のうちから持っていよう。

5つの中編があったが、やはり女性が主人公の物の方が共感できる部分が多かった。
それにしても村上龍さんは本当に時代をよく見てますね。
| comments(0) | trackbacks(0) | 09:15 | category:    村上龍 |
# 空の拳
評価:
角田 光代
日本経済新聞出版社
¥ 1,680
(2012-10-11)

JUGEMテーマ:小説全般

 空の拳 / 角田光代( 日本経済新聞出版社)

 評価 ☆☆☆☆

大好きな角田光代さんだとはいえ、
私にボクシング小説が読めるのか?と不安いっぱいで読み始めました。
しかも女性が書いたボクシング小説・・・。
どんなもんだろうと思っていたけど、
角田さんはボクシングジムに長く通っているらしく、
ボクシングを普段から触れられているようで、
女性ながらにこのジャンルにチャレンジしたのも納得したのでした。

主人公は出版社に勤める「空也」。
タイトルの「空」は彼の名前からきているのだと思うけど、
この空也がボクシングの世界で上を目指すお話しではないんですよね〜。
彼は不本意ながらもボクシング雑誌の編集部に配属された出版社社員。
記事を書くために自らもボクシングジムに通い始め、
あくまで記者として同じジムの悪役ボクサーを追いかけるうちに
ボクシングの世界にのめりこんでいくお話し。
この設定のおかげで、ボクシングを全く知らない私達も
少しずつ空也と一緒にボクシングの世界に入り込めます。

私はボクシングを知らない。興味もない。
だから試合の描写は読んでも全然イマジネーションがわかない。
どんなに細かく描写されても私にはそれは無理なこと。
でも、立花くんがいい試合の途に「楽しかったっす!」って言い切る
シーンはたまらなくまぶしく思えたんだよねぇ。
その爽快感を感じられたら細かいことなんかわからなくても十分。
私にとってちょっと忘れられないシーンになりそうです。

空也が別の部署の配属になり、
次第にボクシングから離れていくのもリアリティがある。
そんなものなのかもしれない。
でも、あの時期に熱くなった経験は必ずプラスとなって残るはずだよね・・・。
| comments(0) | trackbacks(0) | 08:59 | category:    角田光代 |
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