隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 花の鎖
評価:
湊 かなえ
文藝春秋
¥ 1,400
(2011-03-08)

JUGEMテーマ:小説全般

 評価 ☆☆☆

祖母が入院した矢先に無職になってしまった・梨香。
新婚で引っ越し先の新しい街に慣れようとする・美雪。
和菓子屋でバイトをしながら水彩画教室の講師も勤める・紗月。
3人の人生に共通する謎の人物「K」を軸に複雑に絡み合うミステリーです。

3つのお話が交互に出ていて、
いつか繋がるんだろうな〜と思いながら読む進めていくのがワクワクしました。

でも、容易にオチに気づけてしまいますね〜。
紙に相関図を書いて、整理しながら読むことをおすすめします。
読者にミスリードさせるような罠が仕掛けられていますからね(笑)

もっとドロッとした毒があってもいいように思う。
湊かなえさん、どんどん毒がなくなっていくのが寂しい。

それにしても「きんつば」食べたくなるわ〜。
さっき、スーパーに行ったときに探してみたのですが置いてなくって残念(>_<)



 
| comments(0) | trackbacks(0) | 13:51 | category:    湊かなえ |
# かなたの子
評価:
角田 光代
文藝春秋
¥ 1,260
(2011-12)

JUGEMテーマ:小説全般

 
 評価 ☆☆☆


日常に広がっている闇。
そこをふとのぞいてしまった人が異界へ導かれていく恐怖を描く短編集です。
じわじわと忍び寄ってくるような恐怖がありました。
うーん、恐怖というよりは「不可解さ」が気味が悪いと言った方が正しいかな?
その作品もきれいには終わらないし、後味が悪いひんやりとした感じを残します。

中でもこれ!っていうほど光ってた作品は浮かばないけど、
「道理」が後々まで記憶に残りそうな気味の悪さでした。

角田光代さんって確実に幅が広がってるよね〜。
決して好きなタイプの本ではなかったけど、また新しい角田さんを見られました。
| comments(0) | trackbacks(1) | 11:35 | category:    角田光代 |
# 窓の向こうのガーシュウィン
JUGEMテーマ:小説全般
 
 評価 ☆☆


静かで雰囲気のある小説。
「額装」というテーマもなかなかに渋い。

未熟で生まれたのに、保育器に入れてもらうことができず、
そのせいか成長しても自分はまわりよりも劣っていて、
何かが「足りない」と思っている佐古さんが主人公。
介護師となり、はじめて派遣された家で知り合った人たちとの物語です。

リアルさがまったくなく、すべてが浮世離れしている。
盛り上がりもなく、静かに静かに日々が過ぎていくだけでいまいち入りこめなかった。
だけど、佐古さんが無意識ながらのも静かに成長していく姿はいい。
彼女のスピードや感覚に怒らず、受け入れてくれている人たちもいい。
薄ぼんやりとしたその先に、何かが待っているような予感・・・。
すっきりはしないけど、余韻を残す作品ではあります。

額装だけを生業にしている人がいるというのは初めて知ったけど、
自分の思い出深い物を額装して飾っておけたら素敵だな。
そして、記憶の中にそっとしまってある過去の大切な瞬間も額装しておけたらどんなに素晴らしいか・・・
そんなことをふと思ったりしてしまいました。


| comments(0) | trackbacks(0) | 11:41 | category:    宮下奈都 |
# 県庁おもてなし課
評価:
有川 浩
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 1,680
(2011-03-29)

JUGEMテーマ:小説全般

 評価 ☆☆☆


高知県庁に実在する「おもてなし課」を題材にした小説。
本の中でも作家の吉門におもてなし課から
観光特使になり、名刺を配ってほしいとの依頼がありますが、
実際に有川さんにも同じ依頼があったのだそうです。
その後のグダグダな進捗具合も物語と一緒で、お役所的な感覚をまざまざと見せつけられたという。

まぁ、民間からしたらおかしいと思えるような経験をした作家が、
この経験を書いてみたと思うのは当然。
でも、なにより凄いのは本当に書くことにOKサインを出しちゃった県の判断だと思う。
だってもう、めっちゃくちゃに書かれるのはわかってるわけでしょ?
しかも、これは高知県庁に限ったことではなく、
どこの県のどこのお役所にも当てはまることで、まるですべてのお役所を批判するようなもの。
これを受けてたってまで、高知の宣伝に活かした判断は天晴れと言わずにはいられない。
過去の有川作品に比べると、面白さは格段に落ちるけど、
(だって、今までのはページをめくる手がとまらなかったけど、これはなかなか進まなかった)
これはものすごい宣伝効果があったと思います。

公務員の描き方に対し、公務員の方々から批判もでているようだけど、
「民間」の思う公務員は間違いなくこうなのです。
有川さんの作風といい、読者層といい、これ以上掘り下げて公務員批判や
ビジネス書のようにしてしまうのはなんか違う。
このくらいの軽さが有川さんなんですよね。

題材が題材だけに、お決まりの有川的な胸キュン度は低め。
でも、掛水くんと吉門先生の仲の良さに嫉妬する多紀ちゃんとか、
嫉妬の矛先がおかしな方向に向いてしまうあたりが絶妙で、ほほえましかったな〜。

厳しい視点で描きつつも、故郷への愛は感じられた作品です。
実在するおもてなし課の今後にも期待します。
 
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:31 | category:    有川浩 |
# 八朔の雪
JUGEMテーマ:小説全般

 評価 ☆☆☆☆☆


時代小説は苦手な私でもサクサクと読めました。
時代背景はあまり気にせずに読めるストーリーです。
ベタでお約束な展開だけど、人情や主人公の奮闘する姿に心打たれました。

大阪出身の澪の作る料理は江戸の人々に驚きと感動を与えます。
この歓喜する人々の姿を思い浮かべるだけでも目頭が熱くなるんですよね〜。
食べ物のもつパワーというか、
美味しい物を食べさせたいという澪の心がしっかりと伝わっているというか、
「おいしい」ってこうまでも人を幸せに、そして優しくするのかぁ〜〜って。

後半になるにつれ、物語は急展開し、いますぐにでも続きを読みたい感じ。
元気と勇気をもらえました。
まさか私が時代モノにここまで夢中になるとは!
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:03 | category:    高田郁 |
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