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評価:
村山 由佳
集英社
¥ 1,680
(2011-11-25)
コメント:作家として書かずにいられなかったのかもしれないけど・・・
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JUGEMテーマ:
小説全般 ● 放蕩記 / 村山由佳
● 集英社
● 1680円
● 評価 ☆☆☆
38歳で離婚歴のある女流作家・夏帆。
自由奔放に暮らす一方で、実は長年抱えこんできた秘密があって・・・。
今だから見えてきた、母娘の愛憎と家族の歴史。
母を持つすべての大人たちへ・・・共感と感動をよぶ、衝撃の自伝的長編小説。
(感想)
家庭内での長女という立場、
女として子供を持ちたいと思ったことがあるのかどうか・・・
主人公の立場や考え方は私に共通するものが多々ありました。
私には弟がいたけれど、
母と自分との関係、そして母と弟の関係は決して平等ではなく、
私も私と弟の扱いが違うことに幼いころから諦めを感じていたから・・・。
私の母はここまで強烈な人物ではないけれど、
多かれ少なかれこういう問題はどこの家庭にもきっとあるのだろう。
それに子供が気づかないか、気にしないか、傷つくかで大きく違ってくるだけで。
229ページ・・・
女として、子を産んだことのない人生を、つまらないとか哀しいとか、
思ったことはない。
子を持たなければ味わえない種類の幸福もあれば、
子がないからこそ味わえる幸福もある。
何をもって生きることの醍醐味と考えるかは人それぞれのはずだ。これはおそらく夏帆だけでなく、村山さん自身の考えであると信じたい。
子を産んだことのある人には絶対に理解のできないことかもしれないけど、
強がりでも負け惜しみでもなんでもなく、私自身もこう考えながら生きてきた。
これに関してここまで自分と似た考えをもった人にはじめて出会ったから、
なんだかとても救われた気がしました。
さて、“半自伝的小説”というけれど、はたしてどこまでが真実なのか。
もし母親がアルツハイマーになり、
長編小説など読めないようになってしまったというのが事実なら
この状況で家族の物語を作品化するのはいささか卑怯に思えます。
こんなにも家族の内部のことを世間にさらされたのに、
母親は反論も弁解もできない状態なのだから・・・。
学生時代の女の子たちとの出来事に関しても何もそこまで・・・と思う。
でもしかし、ここまでさらけ出すことこそが作家の性なのでしょうね。