隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 四十九日のレシピ
評価:
伊吹有喜
ポプラ社
¥ 1,470
(2010-02-16)
コメント:ジワジワと優しい気持ちになれました

JUGEMテーマ:小説全般
 ● 四十九日のレシピ / 伊吹有喜
 ● 集英社
 ● 1470円
 ● 評価 ☆☆☆☆
熱田家の母・乙美が亡くなった。
気力を失った父・良平のもとを訪れたのは、真っ黒に日焼けした金髪の女の子・井本。
乙美の教え子だったという彼女は、
生前の母に頼まれて、四十九日までのあいだ家事などを請け負うと言う。
彼女は、乙美が作っていた、ある「レシピ」の存在を、良平に伝えにきたのだった。
家族を包むあたたかな奇跡に、涙があふれる感動の物語。



(感想)

少し前でNHKの連続ドラマ化されてましたね。
CMを見て、「みたいな〜」と思ってたのに第一回を見逃して、
そのまま見ずに終わってしまったので小説の方を読んでみることにしました。

ああ〜、やっぱり私の好きな雰囲気の作品でした。
レシピや「あしあと帳」の存在から乙美さんのあたたかさが伝わり、
知らぬ間に涙がこぼれちゃいそうな愛おしさがあります。

それに私は百合子さんの痛みもわかりすぎるほどわかって。
亜由美さんと赤ちゃんの存在を受け入れ、
話しあったり戦ったりせずにすぐに身を引こうとした彼女の気持ちといったら・・・。

最後がきれいにまとまりすぎた感はある。
こんなに素晴らしいテーマをもってるわりに軽いかんじも受けた。
でも、読みやすいので多くの人に評価されるのも納得。
心の中で、ずーっと大切にしたい作品ですね。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:58 | category:    伊吹有喜 |
# ぐるぐる七福神
評価:
中島 たい子
マガジンハウス
¥ 1,365
(2011-10-20)
コメント:惜しい!写真やイラストをつければよかったのに!

JUGEMテーマ:小説全般
 ● ぐるぐる七福神 / 中島たい子
 ● マガジンハウス
 ● 1365円
 ● 評価 ☆☆
「恋愛」5年前別れてから音沙汰なし。「仕事」起業失敗からは職を転々…。
さえない日々を送る船山のぞみ32歳。
ひょんなことからめぐり始めた七福神は果たして彼女にご利益をもたらしてくれるのか!?


(感想)

中島たい子さんっていつも目の付けどころが素晴らしいと思う。
女性がいま、ひそかに興味あることにいち早く目をつけますもんね。
でも、今回は小説の中身うんぬんより、本の作り方に一言言いたい!
写真やイラストを使って、
ガイドブックにも使えるような作りにすればもっと楽しめたのに〜。
私なんて表紙のイラストを見ても、どれがどの七福神なのかわからないし
作品中に出てくる美味しいものも、はたしてどんなものなのか目で見て知りたい!
そう思う読者はきっとたくさんいると思うけどな。

ひょんなことから七福神巡りの世界に入り込んでしまった主人公だけど、
忙しい日々とはまるで別のこんな時間を楽しむのもたまにはいいかも。
静けさの中でのんびりとするだけで、
今までは見えなかったものが見えてきそうな気がします。


 
| comments(2) | trackbacks(1) | 11:31 | category:    中島たい子 |
# 「いのち」を養う食
評価:
佐藤 初女
講談社
¥ 1,470
(2011-10-28)
コメント:簡潔でわかりやすく、ここにしみじみと伝わってきます

JUGEMテーマ:エッセイ
 ● 「いのち」を養う食 / 佐藤初女
 ● 講談社
 ● 1470円
 ● 評価 ☆☆☆☆
「森のイスキア」開設から20年。
震災後のいまこそ知りたい、「日本人に本当に必要なこと」とは。
生命をつなぐ大切さと生きていくためのヒントがわかる一冊。  


(感想)

「森のイスキア」の佐藤初女さん。
私がいつかはこんなおばあさんになりたいと憧れている人です。
特別なことをしているわけじゃなく、
普通のことを決して手を抜かずに丁寧に心をこめてやる。
そうすればこの気持ちは必ず人の心に響く。
ラクをしてしまえば失うものも多い。
当たり前のこと、わかっているんだけど
忙しい毎日を過ごしているとなかなか実行にうつすのは難しいです。

お米も野菜もざあざあごしごし乱暴に扱わない。
キャベツは切らずに手でちぎると無理に繊維が断ち切られないので美味しくなる。
料理中はおしゃべりなどせず、しっかり料理に専念する。
水分をとるのはふきんよりもやわらかいタオルの方がよい。
にんじんやジャガイモの皮は皮むき器は使わず、包丁で丁寧に優しくむく。
食材も「いのち」であると意識しながら料理していれば、
おのずと扱いも丁寧になるのかもしれないなぁ。
心にしみ入り、改めて自分の行いを見直さなきゃいけないと感じました。

いいメッセージも多く、実りの多い本だけど、
初女さんの本はどれを読んでも同じようなものばっかり。
他の作品との違いがまったく感じられません。
このままだと飽きちゃうかな?その点を考慮して☆は4つ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:13 | category: 作家名 さ行 |
# くちびるに歌を
評価:
中田 永一
小学館
¥ 1,575
(2011-11-24)
コメント:さわやかで瑞々しい

JUGEMテーマ:小説全般
 ● くちびるに歌を / 中田永一
 ● 小学館
 ● 1575円
 ● 評価 ☆☆☆
長崎県五島列島のある中学合唱部顧問の松山先生は産休に入るため、
中学時代の同級生で東京の音大に進んだ臨時教員・柏木に、
1年間の期限付きで合唱部の指導を依頼する。
それまでは女子合唱部員しかいなかったが、美人の柏木先生に魅せられ、男子生徒が多数入部。
ほどなくして練習にまじめに打ち込まない男子部員と女子部員の対立が激化する。



(感想)

爽やかで大人の私には読むのが恥ずかしいくらい瑞々しい青春小説でした。

長崎県の小さな島の中学校の合唱部がNHK全国学校音楽コンクールを目指すお話で、
バラバラだった部員の心が近づくにつれ、
合唱がまとまってくる青春な雰囲気もいいけど、それだけじゃない。
ところどころに感じるさりげない中田永一さんじゃない、別名義のあの作家さんの面影・・・。
それを感じるたびにやっぱり天才だな、センスいいなと思いました。
特に柏木先生のキャラクターとお兄さんの存在が随所で効いています。

ところで、この学校はオリジナルの自由曲を作って出場したのだけど、
その歌詞が最後まで出てこなかったのが残念。
彼らの感性でどんな詞が生まれたのかとても気になっていたのにな・・・。

NHKがドラマ化してくれることを願います
| comments(0) | trackbacks(0) | 15:14 | category:    中田永一 |
# れんげ荘
評価:
群 ようこ
角川春樹事務所
¥ 1,470
(2009-04)
コメント:40代で退社。残りの人生を月10万で暮らす!

JUGEMテーマ:小説全般
 ● れんげ荘 / 群ようこ
 ● 角川春樹事務所
 ● 1470円
 ● 評価 ☆☆☆☆☆
キョウコはおべんちゃらとお愛想と夜更かしと口うるさい母から解放されるため、
有名広告代理店を40代で早期退職!
都内の古めかしい安アパート「れんげ荘」に引っ越し、月10万円で暮らす貯金生活者となった。
ささやかな幸せを求める女性を描く、待望の書き下ろし小説。
 


(感想)

大好き〜
この生活、お金があるからこそできるものなのだろうけど、
こういう生き方・価値観・・・すごくいいなと思う。
私の目指すものに近いお話で、共感しながら読みました。

はじめは自分の判断に自信をなくしかけてくじけそうになった。
無職で貯金を切り崩して生活しているとはいえ、
修行僧のように禁欲的に過ごすほど人間ができてはいない。
ならば頭を使ってもらいものや安いものでおしゃれを楽しみ、
無理をせずに楽しく、
自分のペースで生きていこうというとこまで自分を持っていったキョウコがすごい。

心からのんびりして、たった1杯のコーヒーのありがたさを深く感じられる。
体がそれを喜んでいると自分ではっきり自覚し、
それがわかっただけでも良しとしようという、そういう姿勢が素晴らしい。
そんなキョウコだからこそ、
キョウコとウマがあう姪っ子のレイナちゃんがキョウコの古いアパートに遊びに来て、
ふたりでただじーっと部屋でとろけるようにぼーっとしてる場面は意味があると思えた。
この作品らしい終わり方でした

群ようこさん、読めば読むほど好きになります
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:33 | category:    群ようこ |
# 平成猿蟹合戦図
評価:
吉田修一
朝日新聞出版
¥ 1,890
(2011-09-07)
コメント:展開がめまぐるしく変わります

JUGEMテーマ:小説全般
 ● 平成猿蟹合戦図 / 吉田修一
 ● 朝日新聞出版
 ● 1890円
 ● 評価 ☆☆☆☆
新宿で起きた轢き逃げ事件。
平凡な暮らしを踏みにじった者たちへの復讐が、すべての始まりだった。
心優しき八人の主人公が、少しの勇気と信じる力で、この国の未来を変える“戦い”に挑んでゆく。
希望の見えない現在に一条の光をあてる傑作長編小説。



(感想)

面白いのになかなかページをめくる手が進まず、読むのにすごく時間がかかりました。
こういうケースは珍しい。なんなんだろうー。

歌舞伎町の路地裏で田舎から出てきた女の子がしゃがみ込んでいる。
そして、彼女は胸に幼い子が。
そんな場面から物語は始まるんだけど、
お話が進むにつれ、“あのはじまりからこうなるか?”ってくらいに変化します(笑)
その変化もね、自然なの!いい意味で裏切られる!
読み終えてみると意外に明るいお話だったな〜って印象で、
わけわかんないと思っていたタイトルも“なるほどね〜”って感じられます。
いかにも作りものっぽいありえなさだけど、小説だからいい。楽しめたからいい。

サワおばあさん、美姫ママ、美月、夕子さん。
自分を持っている女性たちの描き方がが特に素敵でした。
| comments(0) | trackbacks(1) | 10:27 | category:    吉田修一 |
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