隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 月は怒らない
評価:
垣根 涼介
集英社
¥ 1,680
(2011-06-03)
コメント:なぜ男性たちはそこまで恭子に惹かれるのか、最後までわからなかった

JUGEMテーマ:小説全般
 ● 月は怒らない / 垣根涼介
 ● 集英社
 ● 1680円
 ● 評価 ☆☆☆
多重債務者の借財の整理が生業。
仕事で訪れた市役所でこの女を一目見た瞬間、声を失った―。
バーで女がチンピラに絡まれて目の前で転んだ。
助け起こした瞬間、女の顔に釘付けになった―。
勤務先の交番の前の市役所に自転車で通う女。
結婚しているくせに私はいつもその女を探している―。
誰にも期待しない。夢なんて持ってない。だから生きるのラクだった。
そんな女になぜか惹かれていく、3人のロクデナシたち。


(感想)

はじめて読む作家さんです。

市役所に勤める25歳の女性・三谷恭子。
地味でちょっと影のあるようなこの不思議な女性に激しく惹かれる3人の男性の物語です。
とにかく主な登場人物が出そろうまでが長い!!
やっと本編がはじめるな・・・と思ったら、そこまででかなりのページ数を消費してて、
そこからはさらっと終わってしまったかんじです。
静かな大人のラブストーリーなんだけど、なんだかジメジメしてる。
ラストはきれいにまとまったけど、暗くてあまり好きではないかなぁ。

唯一、恭子が週末に公園で話をする老人の存在が物語をひきしめている。
その点は好感触です。 
| comments(0) | trackbacks(1) | 14:02 | category: 作家名 か行 |
# スウィート・ヒアアフター
評価:
よしもと ばなな
幻冬舎
¥ 1,155
(2011-11-23)
コメント:世界が色を変えても、それでも生きていく

JUGEMテーマ:小説全般
 ● スウィート・ヒアアフター / よしもとばなな
 ● 幻冬舎
 ● 1155円
 ● 評価 ☆☆☆☆
お腹に棒がささった状態から生還した小夜子は、幽霊が見えるようになってしまった。
バーに行ったら、カウンターの端に髪の長い女の人がいる。
取り壊し寸前のアパートの前を通ると、二階の角部屋でにこにこしている細く小さい女の子がいる。
喪った恋人。元通りにならない頭と体。戻ってこない自分の魂。
それでも、小夜子は生き続ける。


(感想)

ストーリーは震災とは直接は関係ないけど、
ばななさんがあの震災をあらゆる場所で経験した人、生きている人死んでいる人、
すべてに向けて書いたものだそうです。
多くの人に納得してもらえるようなでかいことではなく、
ばななさんの小説だけで救われて大丈夫になれる、そんな数少ない読者のために
小さくしっかり書いたってところがこの人らしい

最近のばななさんは読む前からどんな気持ちにさせられるのかが想像できてしまう。
そして、決して裏切らない。
新刊が出るたびに浄化されて、なんとか生きていかなきゃと改めて感じる。
大切な人がいなくなってしまった世界は、それまでと色を変えてしまったように思えるけど、
それでもちゃんと続いていく。
すぐに元気になる必要はないけど、
時間はかかっても前を向いて歩いていけるようになることが
死んだ人に対してのいちばんの供養。
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:54 | category:    よしもとばなな |
# 水底フェスタ
評価:
辻村 深月
文藝春秋
¥ 1,500
(2011-08-24)
コメント:暗くて閉鎖的で負の要素たっぷり・・・気が滅入ります

JUGEMテーマ:小説全般
 ● 水底フェスタ / 辻村深月 
 ● 文藝春秋
 ● 1500円
 ● 評価 ☆☆☆
村も母親も捨てて東京でモデルとなった由貴美。
突如帰郷してきた彼女に魅了された広海は、
村長選挙を巡る不正を暴き“村を売る”ため由貴美に協力する。
だが、由貴美が本当に欲しいものは別にあった―。



(感想)

ここまで閉鎖的ではないけど、「田舎体質」というのをリアルに知って、
激しく嫌悪してる私としては読んでいてとても気分の悪い小説でした。
いつも誰かに監視されてるような田舎のとてつもない閉塞感が生々しい。
じめじめした村の雰囲気と、濁りきった湖の汚さが嫌になるくらいマッチしてるんですよね。
なんて絶妙なタイトルなんでしょう。

読めば読むほどに話が安っぽくなってきて(特に由貴美の存在は目もあてられないほど)、
どんどん「とんでも小説」な雰囲気に成り下がり、
最終的に救いも希望も何も得られない。
広海とこの村にはどんな未来が待っているのだろう・・・。
(それにしてもこの村で子供に「広海」なんて名前をつけるなんて皮肉でしかないわ。 苦笑)
| comments(0) | trackbacks(0) | 17:09 | category:    辻村深月 |
# すべて真夜中の恋人たち
評価:
川上 未映子
講談社
¥ 1,680
(2011-10-13)
コメント:なかなか進まないストーリー・・・でも、主人公の生き方はずっとこんなペースで進んできたんだよなぁ

JUGEMテーマ:小説全般
 ● すべて真夜中の恋人たち / 川上未映子
 ● 講談社
 ● 1680円
 ● 評価 ☆☆☆
入江冬子(フユコ)、34歳のフリー校閲者。
人づきあいが苦手な彼女の唯一の趣味は、年に一度、誕生日の真夜中に街を散歩すること。
友人といえるのは、仕事で付き合いのある出版社の校閲社員、石川聖(ヒジリ)のみ。
ひっそりと静かに生きていた彼女は、ある日カルチャーセンターで
58歳の男性、三束(ミツツカ)さんと出会う・・・。



(感想)

主人公の冬子さんは人付き合いが苦手で殻に閉じこもって静かに生きる人。
前半はなかなか話が進まず、読者としてはもどかしい気がするんだけど、
それは冬子さんの性格上、仕方のないことです。
お酒を飲まなきゃ気になる人に向きあうこともできない冬子さんが
気になる三束さんと二人でお茶するようになって、いいかんじになっていって・・・・
ゆっくりゆっくりなんとか前進していく冬子さんの姿が
私には手に取るようにリアルに感じられました。

冬子さんが三束さんみたいな男性に惹かれる気持ちもわからなくない。
そしてそんな男性だからこそ、三束さんの嘘も優しさも理解できて、
二人の結末はきちんと納得できました。

川上さんはいつまでたっても「乳と卵」のアクの強いクセのあるイメージが抜けなかったけど、
こういう雰囲気もいいなぁ。
プライベートでは昨年、一筋縄じゃいかない個性的な方と再婚されたので、
いい意味であの方のエッセンスも今後の作品から感じられればいいなと思ってたけど、
それはそれ、これはこれでこういう川上さんもまた期待しています

すべて読み終わった後に、もう一度1ページ目を読むと、
最初に読んだ時よりずっとずっとこの文章が素敵に思えます。
余韻がビンビン響いてくるんですよね。沁みる〜
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:43 | category:    川上未映子 |
# 夢違
評価:
恩田 陸
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 1,890
(2011-11-12)
コメント:夢?現実?不安、恐怖、ゾクゾク

JUGEMテーマ:小説全般
 ● 夢違 / 恩田陸
 ● 角川書店
 ● 1890円
 ● 評価 ☆☆☆☆
夢を映像として記録し、デジタル化した「夢札」。
夢を解析する「夢判断」を職業とする浩章は、亡くなったはずの女の影に悩まされていた。
兄の恋人だった女性・結衣子。彼女は生きているのだろうか・・・。
そんな折、浩章のもとに各地の小学校で頻発する集団白昼夢に巻き込まれた子供たちの
夢札を見る仕事が舞い込む。
狂乱に陥った子供たちの「夢札」を視た浩章は、そこに結衣子とのある符合を見出す。


(感想)

好きなタイプではないけど、久々にゾクゾクがとまらないほど引き込まれた小説でした。
でも、自分の読解力が足りないせいで読みこぼしてることがいっぱいあるような気もしてて、
なんだか悔しいような悲しいような

ホラーではないんだけど、なんなんだろう、この不安感。
それなのにラストはまるで吉野の桜のように淡く美しくて、ファンタジーみたい
何が現実で、何が夢なのか曖昧・・・。
読み終わった今でもわからないことだらけだけど、
その後味の悪さもいい意味で余韻になって読後もしばらくは浸ってました。

ただひとつ、気になるのは主人公の奥さんの存在かな。
賢くて夫への愛理解もある人なのだけど、
結衣子さんの存在感に比べるとちょっともう勝負にならないからかわいそう。
これなら主人公は独身の設定でも良かったと思う。

恩田さんの作品は久しぶりに読んだけど、やはり恩田ワールド健在ですね。
こんな不思議な世界を作りだせるなんてやっぱりすごい。
| comments(0) | trackbacks(0) | 15:53 | category:    恩田陸 |
# 緑の毒
評価:
桐野 夏生
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 1,470
(2011-09-01)
コメント:ちょっと肩すかしをくらったようなかんじです

JUGEMテーマ:小説全般 
 ● 緑の毒 / 桐野夏生
 ● 角川書店
 ● 1470円
 ● 評価 ☆☆☆
妻あり子なし、39歳、開業医。趣味、ヴィンテージ・スニーカー、レイプ。
水曜の夜ごと、川辺は暗い衝動に突き動かされる。
救命救急医と浮気する妻に対する、嫉妬。邪悪な心が、無関心に付け込む時――。


(感想)

桐野作品のわりはあっさりと読めました。
レイプ被害者の女性たちの復讐がメインなのかと思いきや、
そのへんは詳しく描かれることなく終わっちゃって、ちょっと肩すかしをくらったような気が・・・。
妻と不倫相手が亜由美によって川辺のおそろしい行為を知らされる場面は
この不倫カップルに対しては爽快感があったけど、
肝心の川辺に対してはラストもそこまでの気持ちよさはなくって・・・
うーん、もう少し先まで描いてほしかった。
被害を受けた女性たちの苦しくつらい思いも丁寧に描かれてるかんじはなかったなぁ。
川辺のいやな男っぷりはムカつくほど伝わるんだけど。

なんだかレイプ云々がなくっても、
川辺クリニックの憎悪にまみれた人間関係だけで1冊の小説が書けそうですね。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:58 | category:    桐野夏生 |
# シアター!(2)
評価:
有川 浩
アスキーメディアワークス
¥ 641
(2011-01-25)
コメント:ああ、やっぱりこのノリ!大好き!

JUGEMテーマ:小説全般
 ● シアター!(2) / 有川浩
 ● メディアワークス文庫
 ● 641円
 ● 評価 ☆☆☆☆
「2年間で、劇団の収益から300万を返せ。できない場合は劇団を潰せ」
鉄血宰相・春川司が出した厳しい条件に向け、新メンバーで走り出した『シアターフラッグ』。
しかし、借金返済のため団結しかけていたメンバーにまさかの亀裂が!
それぞれの悩みを発端として数々の問題が勃発。
旧メンバーとの確執も加わり、新たな危機に直面する。
そんな中、主宰・春川巧にも問題が…。どうなる『シアターフラッグ』!? 


(感想)

劇団の存続問題が主かと思いきや、そこはやっぱり有川さん
恋愛要素がメインですねぇ
有川さんの本を読むとキュンキュンと乙女心が刺激されてます
30代にもなってこういうのを楽しみにしてる自分ってどうなのーって思うとこもあるけど、
有川さんの作品だけは特別かな・・・と、自分を許すことにしましょう。

今作では1作目から描かれている恋にちょっと進展があるほか、
意外な2人が急接近したり・・・
特に牧子さんの巧への気持ちが切ないー。千歳と司がもどかしい。

掛け合いのテンポの良さは相変わらず気持ちいい!
「3」が待ち遠しいよ〜
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:39 | category:    有川浩 |
# しっぽちゃん
評価:
群 ようこ
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 1,365
(2011-04-09)
コメント:動物かわいい!人間もかわいい!読んでて幸せでした♪

JUGEMテーマ:小説全般
 ● しっぽちゃん / 群ようこ
 ● 角川書店
 ● 1365円
 ● 評価 ☆☆☆☆☆
33歳の独身OL。
気兼ねなく愚痴を言える同期は産休で、最近ストレスが溜まりがち。
そんな彼女の心情に、生後2か月の仔ネコを拾ってから表れた不思議な変化とは・・・・。
犬、猫、リクガメ、ハムスター、インコ―
不思議な縁で我が家に迎えた動物が人間たちにもたらす悲喜こもごもの変化とは!?
心あたたまるペット小説。  


(感想)

はぁぁ〜かわいい
動物たちももちろんかわいいんだけど、彼らを愛でる人間たちもかわいい
ほっこり癒されて、読んでると幸せな気持ちになれました。
やっぱり動物が人間に与えてくれるものって大きいねぇ
家族に溝ができたときにペットが会話のきっかけになってくれたり、
落ち込んでいるときに犬がぺろっと舐めてくれたことで心から救われたり、
動物は本当に私達を支えてくれるパートナーです。

どのお話もわかる!わかる!って感情移入しまくり。
なかでも特に飼い主の夫婦が愛おしくなる「セイセイインコのぴーちゃん」が好きです。

「しっぽちゃん」・・・このタイトルも秀逸
もっとずっと読んでいたかった〜続編希望です
| comments(2) | trackbacks(0) | 14:02 | category:    群ようこ |
# 下町ロケット
評価:
池井戸 潤
小学館
¥ 1,785
(2010-11-24)
コメント:会社とは何か、なんのために働いてるのか、誰のために生きているのか。

JUGEMテーマ:小説全般
 ● 下町ロケット / 池井戸潤
 ● 小学館
 ● 1785円
 ● 評価 ☆☆☆☆☆
「その特許がなければロケットは飛ばない――。
大田区の町工場が取得した最先端特許をめぐる、中小企業vs大企業の熱い戦い!
会社は小さくても技術は負けない――。
モノ作りに情熱を燃やし続ける男たちの矜恃と卑劣な企業戦略の息詰まるガチンコ勝負。
さらに日本を代表する大企業との特許技術(知財)を巡る駆け引きの中で見出したものは――?


(感想)

さすが直木賞受賞作面白かった〜
「プロフェッショナル 仕事の流儀」みたいで、ワクワクしましたわ。

『会社とは何か、何のために働いているのか、誰のために生きているのか』
ものすごい基本的で大切なことだけど、
企業に属し、忙しさや圧力に飲まれると忘れて(失って)しまうもの。
ここを間違わないでまっすぐ進むことで、評価してくれる人が必ず現れる。
他企業のものであっても、いいものをちゃんと見極めて、認めることができるって
自分が向上するために絶対に必要なものだものね。

技術職のプライドと中小企業の底力ってすごい!
こういう気持ちがこれからの日本を作る原動力になるんだろうな〜って胸が熱くなりました。
私もがんばろう・・・誰もがそんな気持ちになれる作品です。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:00 | category:    池井戸潤 |
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