隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 桐島、部活やめるってよ
JUGEMテーマ:小説全般
 ● 桐島、部活やめるってよ / 朝井リョウ 
 ● 集英社 
 ● 1260円 
 ● 評価 ☆☆☆
バレー部の「頼れるキャプテン」桐島が突然部活をやめた。
それがきっかけで、田舎の県立高校に通う5人の生活に、小さな波紋が広がっていく…。
野球部、バレー部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部。
部活をキーワードに、至るところでリンクする5人の物語。



 (感想)

少し前にテレビや雑誌でよく紹介されてた本です。
書店や図書館で見つけたら、
思わず「?」と目が止まってしまうようなインパクトのあるタイトルはうまい! 

バレー部の部長の桐島くんが突然、退部してしまったことから起こる変化・・・。
バレー部の部員はもちろん、友人たち、はたまた桐島くんとは知り合いではない生徒にも
桐島の退部は影響していく。
こんなに影響を与えまくってるのに、
当の桐島本人はお話の中にまったく登場しないあたりがニクいよね

サラサラ読めて、まったく深みがないけど
そういう軽い価値観の中で生きている高校生を描いたものだから、まぁ、こんなもんかな。
30代の私が読むのと、現役高校生が読むのでは感じ方は全然違うよね。

けど、ブラスバンドの女の子を主人公にした章は
若い男性が書いたと思うと引いちゃうくらい、
高校生の女の子のリアルな乙女心が繊細に感じられてドキンとしました

ああ、中学・高校の時の「上」とか「ランク」とかあったなぁ・・・・。
なつかしい気持ちで読みました。
| comments(0) | trackbacks(0) | 15:54 | category:    朝井リョウ |
# Re-born はじまりの一歩
評価:
伊坂 幸太郎,瀬尾 まいこ,豊島 ミホ,中島 京子,平山 瑞穂,福田 栄一,宮下 奈都
実業之日本社
¥ 1,470
(2008-03-19)

JUGEMテーマ:小説全般
 ● Re-born はじまりの一歩 / 
    伊坂幸太郎、瀬尾まいこ、豊島ミホ、中島京子、平山瑞穂、福田栄一、宮下奈都
 ● 実業之日本社文庫
 ● 650円 
 ● 評価 ☆☆☆
迷い、揺れ、苦しみながら選びとった、これがわたしの生きる道──。
時代を鮮やかに切り取りつづける7人の人気作家が描く新たな出会いと出発の物語。
オール書き下ろし&オリジナルの珠玉アンソロジー。


(感想)

わりと好きな作家さんがそろっています。なかなかの顔ぶれ
出会いとはじまりをテーマにした7人の作家による短編集です。
が、瀬尾さんのは「戸村飯店青春100連発」、、
宮下さんのは「よろこびの歌」にも収録されていて、もともと私が知っていたお話です。

7つの作品のうち、私がいちばん好きだったのは
初めて読む作家さん・福田栄一さんの「あの日の二十メートル」。
なんとなく展開が想像できるし、ベタな気はするものの
あったかい気持ちになれてよかった〜

伊坂さんの「残り全部バケーション」に流れる変な空気感も好き。

宮下奈都さんのは一度読んでいたにもかかわらず、今回も改めていいなーと思った。
この人の本、もうちょっと読んでみたい。

短編だし、軽く読むにはいい本ですね。
| comments(0) | trackbacks(0) | 17:02 | category: アンソロジー、競作 |
# 群言堂の根のある暮らし―しあわせな田舎石見銀山から
JUGEMテーマ:エッセイ
 ● 群言堂の根のある暮らし―しあわせな田舎石見銀山から  / 松場登美 
 ● 家の光協会 
 ● 1600円  
 ● 評価 ☆☆☆☆
田舎暮らしを根っこにものづくりをしたい。 
人口四〇〇人あまりの町から全国へ。
衣料品・生活雑貨ブランド、「群言堂」が伝える、
田舎暮らしの魅力とそこから生まれたビジネスのいままでとこれから。

(感想)
 
私の大好きな番組「猫のしっぽ カエルの手」に登美さんが出たことで、
群言堂と石見銀山に興味を持ちました。
人口400人あまりの小さな町で、
衣料品や生活雑貨のブランドを営みながら、田舎暮らしの古きよき形を今に伝える「群言堂」。
この会社が現在に至るまでの出来事をつづった本なのだけどそれだけじゃない。
ここまで来るのはものすごく大変だったと思うけど、
好きだからこそこの道を信じて、楽しみながら進んできた・・・
その生き方が羨ましくて、憧れてしまって、もうただただ「ここに行ってみたい」って
思いがあふれてくる本でした。

今の石見銀山と群言堂がこんなにも注目されるのには、
もちろん土地そのものが持つ魅力が大きいことに間違いはないけど、
でもやっぱり登美さんと大吉さんの人間としての魅力と眼の確かさがあってのことだと思う。
時代の流れについていけなくなるのは怖いことだし、
先を見据えて、新しい物を追うのも大事なことだけど、
私は古い物の良さや味わいを理解し、慈しむような暮らしが本当はしたいのかもしれない。
登美さんたちの暮らしぶりを知り、その思いを改めて強固なものにした気がする。
でね、何が素晴らしいかって、
登美さんたちの場合、古いものをただ古いままに使うのではなく、
都会的、かつ現在的なエッセンスを織り交ぜてるいる。
これが評価されるのだと思うのです。
古くて不便だけど、そこを嫌わずにかわいがって長所に変えてあげるような愛情の示し方。
ただセンスがいいだけじゃできない、
愛情がなければ本当に良いものなんて生み出せないんだろうなぁ。

登美さん、大吉さんだけじゃなく、群言堂で働くすべての人がこの会社を好きでたまらない・・・
そんな気持ちがひしひし伝わってくる本でした。
 
行ってみたいなぁ、石見銀山・・・・。
けど、あまりに遠すぎて、どんな交通機関で行けばいいのかすら検討がつかないよ↓
でも、いつかはね
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:57 | category: 作家名 ま行 |
# 竜が最後に帰る場所
評価:
恒川 光太郎
講談社
¥ 1,575
(2010-09-17)

JUGEMテーマ:小説全般
● 竜が最後に帰る場所 / 恒川光太郎
● 講談社
● 1575円
● 評価 ☆☆☆
闇の中から一歩、また一歩と光射す方へ誘われる。 
「風を放つ」「迷走のオルネラ」「夜行の冬」「鸚鵡幻想曲」「ゴロンド」の5つの物語を収録した短編集。


(感想)

最初の2つ「風を放つ」「迷走のオルネラ」がこれまでの恒川さんの作品とは
雰囲気がまったく違うようで残念に思いつつも読み進めたのだけど、
3本目からは期待を裏切らずいつもの幻想的でちょっとホラーな恒川ワールドを魅せてくれます。
やっぱり、この人の世界観って素敵だわ〜。
特に「鸚鵡幻想曲」。
そしてスケールの大きさも感じさせる「ゴロンド」。
どっぷり浸れて、まさに「本に酔う」という感覚を味わわせてくれる。
はぁぁ、いい時間を過ごせました
| comments(0) | trackbacks(0) | 22:00 | category:    恒川光太郎 |
# この女
評価:
森 絵都
筑摩書房
¥ 1,575
(2011-05-11)

JUGEMテーマ:小説全般 
 ● この女 / 森絵都
 ● 筑摩書房
 ● 1557円
 ● 評価 ☆☆☆。

あんたのヒロイン、なかなかのタマやな---。
釜ケ崎で働く甲坂礼司はホテルチェーンのオーナー二谷啓太に、
妻をモデルに小説を書いてくれと頼まれる。
妻の結子は神戸・三宮のホテルに1人で住む、つかみ所のない女だった。


(感想)

久しぶりの森絵都作品ですが、
あまりにもこれまでのイメージと違う、ギラギラと生命力を感じさせるような作品なのに驚きました。
児童文学の作家だと思って読むと大変なことになりますよ(笑)

「この女」というタイトルといい、前半の流れといい、
結子が主人公なんだろうなと思ってたら、次第に礼司の物語になっていく。
だからあのプロローグが必要だったのか・・・と作品の組み立てのうまさも感じます。

このあと、阪神淡路大震災が起きることを読者は知っている。
だから一層、2人のオムライスのシーンは切なくて仕方がない。
この小説の続きには二人の幸せがある。震災になんてきっと巻き込まれてはいないはず。
そう信じたい気持でいっぱいです。
| comments(0) | trackbacks(0) | 21:52 | category:    森絵都 |
# もえない―Incombustibles
● もえない―Incombustibles
● 角川書店
● 
● 評価 ☆☆☆
クラスメートの杉山が死に、僕の名前を彫り込んだプレートを遺していった。
そして彼から受け取り、封も切らずにしまいこんでいた古い手紙には
「友人の姫野に、山岸小夜子という女と関わらないよう伝えてほしい」という伝言が。
しかし、その山岸もまた死んでしまったらしい。
不可解な事件に否応なく巻き込まれてゆく僕は、
ある時期から自分の記憶に曖昧な部分があることに気づき始める。


(感想)

装丁をみた印象から、勝手に爽やかな青春ものをイメージしてたんだけど
まさかのミステリーでした。

けど・・・私には夢中になってのめり込めるような面白さはない。
あくまで淡々と静かに進んでいきます。
犯人や真相がわかった時もあまり衝撃がなかった。

「もえない」って意味不明なタイトルだな〜と思ってたけど、
読んでいるうちにちゃんと“ああ、そういうこと!”と納得できました(笑)
最後の一文が深い。胸にギュンギュン響きます。
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:45 | category:    森博嗣 |
# 砂の王国(上)(下)
評価:
荻原 浩
講談社
¥ 1,785
(2010-11-16)

● 砂の王国 / 荻原浩
● 講談社
● (上)(下)ともに1785円
● 評価 ☆☆☆
全財産は、3円。転落はほんの少しのきっかけで起きた。
大手証券会社勤務からホームレスになり、寒さと飢えと人々の侮蔑のなか、
段ボールハウスの設置場所を求めて辿り着いた公園で出会ったのは、
怪しい辻占い師と若い美形のホームレス。
世間の端に追いやられた3人が手を組み、究極の逆襲が始まる・・・・。
驚愕のリアリティで描かれる極貧の日々と宗教創設計画。


(感想)

3人のホームレスがインチキ宗教を立ち上げるが、徐々に内側から崩れゆく・・・・。
って・・・タイトルから結末が大体想像できますよね。
けど、まさか総崩れではなくこういう展開にいくとは。
緻密に築き上げたはずの王国も相手が人間となると、感情となると、計算通りにはいかない。
成功するとどんどん欲がでてくるもの。
主人公の失敗は「自分だけが変わらなすぎたこと」だったのだろう・・・。

ホームレス時代と、教団が軌道に乗ってきてからのあたりに
少し中だるみは感じはしたものの、やっぱり荻原浩!楽しめました。
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:38 | category:    荻原浩 |
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