# ポリティコン(上)(下)
2011.06.25 Saturday
JUGEMテーマ:小説全般
● ポリティコン (上)(下) / 桐野夏生
● 文藝春秋
● 上巻 1650円
下巻 1650円
● 評価 上巻 ☆☆☆☆☆
下巻
大正時代に東北に芸術家たちが創ったユートピア「唯腕村」。
1997年3月、村に残された唯一の若者であり後継者でもある東一は美少女・マヤと出会った。
母親は中国で行方不明になったマヤは、母親の恋人だった北田という謎の人物の「娘」として、外国人妻とともにこの村に流れ着いたのだった。
過疎、高齢化、農業破綻、食品偽装、脱北者・・・
東アジアの片隅の 日本をこの十数年間に襲った波は、いやおうなくふたりを呑み込んでいく。
(感想)
上巻は東一視点で綴られ、下巻の2部からはマヤ視点。● ポリティコン (上)(下) / 桐野夏生
● 文藝春秋
● 上巻 1650円
下巻 1650円
● 評価 上巻 ☆☆☆☆☆
下巻
大正時代に東北に芸術家たちが創ったユートピア「唯腕村」。
1997年3月、村に残された唯一の若者であり後継者でもある東一は美少女・マヤと出会った。
母親は中国で行方不明になったマヤは、母親の恋人だった北田という謎の人物の「娘」として、外国人妻とともにこの村に流れ着いたのだった。
過疎、高齢化、農業破綻、食品偽装、脱北者・・・
東アジアの片隅の 日本をこの十数年間に襲った波は、いやおうなくふたりを呑み込んでいく。
(感想)
東一は唯一の若者であるという重圧・孤独感に押しつぶされそうになりながらも
やがて後継者であることからその地位を利用し、
村と女性たちを私物化するとんでもないえげつない男。
どうにもならない過疎と高齢化の問題、
抑えきれない東一の欲望に腹がたって仕方ないんだけど、
こんなにもドロドロと暗いのになぜかページをめくる手が止まりません。
桐野夏生のこの中毒性って、本当にヤバい。
小さい社会の中で憎しみ合い、でもそこから飛び出すこともできず、
結局は支えあっていきていく人々の村への思いは想像を超えるものがあるけど、
信頼とか何かを守り抜かなければならないという執念の強さは
生々しくもリアルに響いてきた。
最後にいきなりボロクソにやられた東一は笑っちゃうほどすがすがしかったよー。
嫌な男よ、ザマーミロ
けど結局、10年かけて東一とマヤはやっと対等の位置に立ち、
本当に信頼できる間柄になれた。
これってきっと二人が閉鎖的で特殊な共同体で生きたからこそなんだろうなぁ。