隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 少女
評価:
湊 かなえ
早川書房
¥ 1,470
(2009-01-23)
コメント:まさに因果応報!!

JUGEMテーマ:小説全般 
 ● 少女 / 湊かなえ
 ● 早川書房
 ● 1470円
 ● 評価 ☆☆☆
高2の夏休み前、由紀と敦子は転入生の紫織から衝撃的な話を聞く。
彼女はかつて親友の自殺を目にしたというのだ。
その告白に魅せられた二人の胸にある思いが浮かぶ――「人が死ぬ瞬間を見たい」。
少女たちの無垢な好奇心から始まった夏が、複雑な因果の果てにむかえた衝撃の結末とは?
 

(感想)

湊かなえさんって、
「告白」が素晴らしかったからどうしても期待しちゃうんですよねー。
うーん、もう「告白」を超える作品はかけないのでしょうか・・・。

思春期特有の好奇心なのか「死」に興味を抱き、自分の目でその瞬間を見てみたいと思う少女たち。
この年頃の女の子の残酷さ・計算高さはリアルに感じられたけど、
あまりに狭い人間関係の中で、偶然に偶然が重なりすぎている。
これではあまりに都合がよすぎやしないか?

2人の少女が交互に語り手になっていくというスタイルの中で気になったのは、
2人の入れ替わりがわかりにくく、「今ってどっち?」と思ってしまうことが多々あること。
特に前半はひどかった。

「“死”は“退場”ってことなんだ」のセリフには悲しいけど共感。
誰もが途中出場な人生。その限られた出場時間の中で、世界がどんなふうに変わっていくのか
少しでも長く見ていたい・・・あの牧瀬が意外に感心することを言っていた。
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:39 | category:    湊かなえ |
# リライブ
評価:
小路 幸也
新潮社
¥ 1,575
(2009-12-22)
コメント:最期はやっぱり・・・・「人とのつながり」なんだなぁ

JUGEMテーマ:小説全般
 ● リライブ / 小路幸也
 ● 新潮社 
 ● 1575円
 ● 評価 ☆☆☆
命の灯火が消える瞬間、“バク”が囁きかける。
運命の恋人を失った夜。いまの仕事を選んだあの日・・・頭に浮かぶ、人生の分岐点。
そこからもう一度、やり直させてあげましょう。
ただし、ひとつだけ条件がありますが―。
かれらが何を選んだのか?あなたの予感は、覆される。
 


(感想)

命の灯が消える瞬間、人生をもう一度やり直させてくれる「バク」がやってきます。
あの日に帰りたいと思うその瞬間に戻してあげましょう。
しかし、一度目の人生の記憶は消され、二度目の人生が終わる瞬間にすべてを思い出します。
やり直したからといって、必ずにも幸せになれるとは限りません。
それでもあなたは、今でも後悔しているあの瞬間に戻りたいと思いますか???

どのお話の主人公もお金や欲に走る人は誰もおらず、
皆「誰かの幸せのため」に人生をやり直そうとしました。
そんな彼らをちゃんと見ていて、彼らの幸せをも祈っている誰かも必ずいる。
最後にこういうオチが付いていることで優しい気持ちになれた。
生きているうちはいろんな願いを抱くものだけど、最後の最後はやっぱり「人とのつながり」なんだなぁ。

自分ならどの瞬間に戻りたいだろう。
私は迷わずに、すぐに「あの瞬間」に行こうとパッとでてきました。
記憶がなくなるとしても、あの一言だけはどうしても言ってあげないと・・・。
こんな風に、読者はそれぞれ自分自身の人生を振り返ることになるでしょう。

内容のわりに軽くてサクサク読めます。
この軽さが「記憶に残らない本」になってしまいそうなイヤな予感を感じさせるんだよなぁ
もう少し深く、重みのある書き方にしても良かったかも・・・。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:43 | category:    小路幸也 |
# 太陽の村
評価:
朱川 湊人
小学館
¥ 1,680
(2010-01-28)
コメント:なーんか笑えない・・・けど、実写化したら面白そう。

JUGEMテーマ:小説全般
 ● 太陽の村 / 朱川湊人
 ● 小学館
 ● 1680円
 ● 評価 ☆☆☆
父親の定年を祝うハワイ旅行に出かけた坂木一家は、帰りの飛行機で事故に遭う。
海辺で意識を取り戻した主人公・龍馬は、
自分一人だけがタイムスリップして過去の世界に来てしまった事を悟る。
どうする俺??? おたくで引きこもりの龍馬は、やがて農作業や素朴な村民との触れあいにより、
現代とは正反対の生活に喜びを見出していくのだが…。



(感想)

いわゆるタイムスリップものと言っておくべきなのかなぁ?
朱川さんとは思えないほど軽いです。軽すぎです。
ヲタクニートの主人公に合わせたのか、変に若者言葉を乱用しているのもどうもなじめない。
“ここって笑いシーンなんだろうなぁ”という箇所にぶち当たっても、どうしても笑うことができない。
おそらく、すごーく「違和感」を感じるからだと思います。
主人公がこの村に抱いている違和感、読者がこの作品自体に感じている違和感・・・。
それらのせいできっと落ち着かないんですよね〜。
流星丸さんが出てきてからはハチャメチャ
もう不信感募りすぎて、読むのがキツかった。
はじめて読む朱川作品がこれだと人がいたとして、
「これが朱川湊人か」と思われるのは、すごくすごく嫌だなぁ

彼らが子供たちに託した祈り・・・。
真実を知った時、桃太郎君はどうなってしまうんだろう?
どう考えたって、彼らの望みどおりにはいかない気がする。

これ、文章にするよりは映像にした方が絶対に面白いと思う。
すごくおバカなコメディ映画にしてほしい
| comments(0) | trackbacks(0) | 15:33 | category:    朱川湊人 |
# ほんとの野菜は緑が薄い
評価:
河名 秀郎
日本経済新聞出版社
¥ 893
(2010-07-09)
コメント:ほんとの野菜ってどんな野菜??知らなかった野菜の真相。

JUGEMテーマ:新書 
 ● ほんとの野菜は緑薄い / 河名秀郎
 ● 日本経済新聞出版社 日経プレミアシリーズ
 ● 893円
 ● 評価 ☆☆☆
有機マークが付いていれば農薬の心配はないのか、
「無添加」表示があれば安全なのか。
数ある情報の中からほんものを見分けるには?
農薬も肥料も使わない「自然栽培野菜」の普及に携わり続けた著者が語る、食を取り巻く衝撃の事実。
そして、自然の野菜に学ぶ真のナチュラルライフ、心地のいい暮らし方とは。



(感想)

あなたの知っている野菜の常識が覆される本です。

有機野菜こそが体にいい、本当の野菜と思ったら大間違い。
それ以上に確かな「自然栽培野菜」というものの存在を初めて知りました。
自然栽培野菜とは有機野菜栽培の先にあるもの。
有機栽培では牛のふんなどを肥料として利用するけれど、自然栽培はそれすらも必要としない。
肥料が入れるなどしてしまっては自然のバランスは不自然になってしまう。
自然栽培では土もナチュラルに、種も遺伝子組み換えなど行わないありのままのものを使う。
そうすることによって、本来の自然な形の野菜を栽培することができる。
長年、野菜を作ってきた人にはすんなりは受け入れられない話かもしれないけど、
そうした野菜を日常で食べることによって、人間の体も本来あるべき健康を取り戻せるというから驚き&納得です。

自然栽培をやる上でまず最初にやることは「土から長年、蓄積してきた肥料や農薬をぬくこと」。
この考え方は人間の体にも一致していて、目からウロコ。
人間の体にも日々、疲れや冷え・コリが体積している。
土だって人間だって生きている。ケアの仕方はまったく同じ。

けど、こうして今、身近に売られている野菜の恐怖を知ったとこで、
私達はまだ今の世の中ではその怪しげな野菜を食べ続けなければならない。
自然栽培の野菜は簡単には手に入らず、まだまだ高い。
毎日の生活に取り入れるには生活を圧迫しすぎます。

食に限らず、いろんなことで「昔のやり方を見直してみよう」という動きが高まっているし、
野菜作りでもそういう考え方が一般化すればなぁ。

野菜作りから人間が本来あるべき姿まで学べました。
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:22 | category: 作家名 か行 |
# 無理
評価:
奥田 英朗
文藝春秋
¥ 1,995
(2009-09-29)
コメント:5人の人生が交差した時・・・この厚みなのに一気に読めます!

JUGEMテーマ:小説全般
 ● 無理 / 奥田英朗
 ● 文藝春秋
 ● 1995円
 ● 評価 ☆☆☆☆
人口12万人の寂れた地方都市・ゆめの。
この地で鬱屈を抱えながら生きる5人の市民が陥った思いがけない事態・・・。
「ゆめの」の住人であるということ以外、まったく共通点も接点もない5人の人生が
ほんの少し交差した時、ある事件が起こる・・・・奥田英朗、渾身の群像劇。



(感想)

合併によりできた地方都市「ゆめの」を舞台に描く群像劇。

弱者を主張する身勝手な市民に嫌気がさしているケースワーカー・相原友則。
東京の大学に進学し、この町を出ようと心に決めている高校2年生・久保史恵。
暴走族上がりで詐欺まがいの商品を売りつけるセールスマン・加藤裕也。
スーパーの保安員をしながら新興宗教にすがる、孤独な48歳・堀部妙子。
もっと大きな仕事がしたいと、県議会に打って出る腹づもりの市議会議員・山本順一。
ゆめのに暮らしているということ以外、何の共通点も接点もない5人の生活を少しずつ描くのだけど、
最後の最後ですべての人生がとんでもない形で交わってしまいます。

現実に本当に存在しそうな街「ゆめの」。
地方都市の抱えている問題や、這い上がりたいけれど這い上がれない
底辺にいる人間のあがきと失望感をリアルに描いています。
無意識にも何かに縛られて、もがいているうちに、
突然に人生が「パーン!」とはじけてしまった・・・5人に言わせるとここに描かれた出来事はそんなかんじじかも。
それぞれの暮らしや考え方をとても丁寧に描いており、
グイグイと読ませる作品ではあるのだけど、最後の結末が無理やりすぎて
せっかくの読ませる長編小説の結末としては弱かった・・・。
まさに「こんな結末、受け入れるのは無理!」ってかんじです。

それにしても、ゆめのと同じく雪の多い地方に暮らす人間としては納得できない点も
いまどき、タイヤにチェーンなんか使っている人いないし、
雪が降り始める前にみんなちゃーんとスタッドレスに履き替えてるのが常識。
この本の人たちみたく、無理やりにツルツルの雪道をノーマルタイヤ(しかも営業車!)で走行したり、
雪降りまくってからあわてて交換する人なんて・・・そんな人、いませんから
それだけはまったくリアリティにかけてます。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:46 | category:    奥田英朗 |
# ペンギン・ハイウェイ
評価:
森見 登美彦
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 1,680
(2010-05-29)
コメント:新境地なんだろうけど・・・

JUGEMテーマ:小説全般
 ● ペンギン・ハイウェイ / 森見登美彦
 ● 角川書店
 ● 1680円
 ● 評価 ☆☆
小学四年生のぼくが住む郊外の町に突然ペンギンたちが現れた。
この事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、
その謎を研究することにした。未知と出会うことの驚きに満ちた長編小説。
 

(感想)

表紙のデザインがらしくなくて、なんとなく「これは今までとは違うのかも」って予感はあった。
けど、予備知識ナシ読んだので、腰を抜かしそうになりました。

モリミーの新境地。
「これはこれで好き」というファンが多いようだけど、私、全然面白くなかった
モリミーの本だから、なんとかこらえたけど、そうでないなら途中でギブアップしてたかも。
理屈っぽくて、不思議ワールドではあるんだけど、
「夏休みにぴったりなお話」みたいな空気って私は苦手。
読むのにすごーい時間がかかってしまった。

けど、主人公のお父さんは素敵だったな。
必要なことや大事なことを「教える」んじゃなくて「考えさせて」くれるお父さん。
とっても地味な人に思えるんだけど、私は登場人物のなかではいちばん好き。

たくさんのペンギンが街を歩いてるイメージは、
モリミーワールドのお祭りみたいな雰囲気はあるんだけど、私には合わなかった。
やっぱモリミー作品には「腐れ大学生」がでてこないとっ
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:39 | category:    森見登美彦 |
# あられもない祈り
評価:
島本 理生
河出書房新社
¥ 1,365
(2010-05-13)
コメント:不健康で暗い・・・読んでて気が滅入るなぁ

JUGEMテーマ:小説全般
 ● あられもない祈り / 島本理生
 ● 河出書房新社
 ● 1365円
 ● 評価 ☆☆
私が、いつかの日に置き去りにされたあなたを、迎えに行くことはできますか。
「あなた」と「私」。
名前すら必要としない2人の密室のような恋を描いた、至上の恋愛小説。



(感想)

河出書房新社の本って、どれもこれもなぜか好きになれない。
だから「これもダメなんだろうな」と思ってたら、案の定つまらなかったなー。
なんつー、暗く不健康な小説なんだろう。気が滅入るわ。

登場人物に誰ひとり共感できない、好きにもなれない。
「私」にも「あなた」にも母親にも直樹にもイライラさせられる。
こんなふうに漂うように生きてたって、何も進まない。
みんな、誰かに寄りかかってしか生きることができてない。

いつだって自分だけが悪いのだと思ってた。
いつだって自分だけが我慢するべきなのだと信じていた。
そうすれば何も見ずになにとも戦わずに思考停止していられた。
全部自分が悪いだなんて、
全部自分が悪くないと言っているのと同じことだ。


この一文はグサッときたなぁ。
私、けっこうなんでも自分のせいにしちゃうとこあるからさ・・・。
私がいけないの、全部私が悪いの、って思うことで許しを乞っているのかもね〜。
ああ、なんて安易でズルかったんだろう。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:04 | category:    島本理生 |
# あのとき始まったことのすべて
評価:
中村 航
角川書店(角川グループパブリッシング)
¥ 1,470
(2010-03-26)
コメント:こんなに甘酢っぱいの、久々に読んだわ(^_^;)

JUGEMテーマ:小説全般
 ● あのとき始まったことのすべて  / 中村航
 ● 角川書店
 ● 1470円
 ● 評価 ☆☆☆
社会人三年目・・・中学の同級生との十年ぶりの再会。
それが、僕らのせつない恋の始まりだった…。
ノスタルジーと切なさに浸るラブストーリー。



(感想)

社会人3年目の主人公・岡田君が、
あることがきっかけで中学時代に仲のよかった同級生の石井さんと再会することになる。
10年ぶりに再会した石井さんはとてもかわいくなっていて、
あの頃のように一緒にいてすごく楽しい子で、二人はすぐに恋に落ちてしまう・・・・・って話。

すごーくベタです。
読んでるこっちがこっ恥ずかしくなるくらい甘酸っぱいです。
こんな直球どまんなかのラブストーリー、久々に読んだわ。
学生時代の輝ける日々を共に過ごしたいい友人との再会・・・。
こういうのってこんなにもキラキラしてるものなのでしょうか?
ま、そこで恋心が芽生える、なんてのはありそうな気がするけど(笑)

単純に岡田君と石井さんの話だけじゃなく、
息のあった二人を近くでほほえましく見ていた白原さんというクラスメートの視点から描かれている章もあるんだけど、
白原さん目線で見る二人がとってもかわいくって、
二人の存在をさらに魅力的に輝かせているのが中村さんらしいな〜。
特に当の二人は忘れているのに、白原さんだけがおぼえていた
【キラー・カーンのちゃんこ屋】のエピソードは大好きです!!

学生時代を共に過ごした「同級生」って、なーんか特別な存在なんだよね。
私にはこんな風にきれいな思い出になってくれている同級生はいないけど、
みんなに再会したら、すぐにあの頃の自分に戻れちゃうんだろうな。それは間違いない。
仲が良かった人とかじゃなくって、
中学以来1度も会ったことないような、思い出したことすらなかったような、
そんな懐かしすぎる同級生に再会して、思い出話をしてみたくなりました。
| comments(5) | trackbacks(0) | 02:04 | category:    中村航 |
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