# 真昼なのに昏い部屋
2010.06.30 Wednesday
JUGEMテーマ:小説全般
● 真昼なのに昏い部屋 / 江國香織
● 講談社
● 1470円
● 評価 ☆☆☆
会社社長の夫・浩さんと、まるで軍艦のような広い家に暮らす美弥子さんは、
家事もしっかりこなし、「自分がきちんとしていると思えることが好き」な主婦。
大学の先生でアメリカ人のジョーンズさんは、
純粋な美弥子さんに心ひかれ、二人は一緒に近所のフィールドワークに出かけるようになる。
時を忘れる楽しいおしゃべり、名残惜しい別れ際に始まり、
ふと気がつくとジョーンズさんのことばかり考えている美弥子さんがいた―。
(感想)
江國香織さんが「翻訳の子供の本みたいな文体で書きたかった」という、
のんびりと子供に言い聞かせるような文体はまるで大人のための童話のようでした。
一言で言っちゃえば不倫モノ。
けど、不倫のドロドロな感じはまったくない。
二人のフィールドワークの場面とか、心地よい風が吹いているように雰囲気がいいのは
この文体のおかげでしょうね
かごの中の鳥のようにおっとりとした主婦の美弥子さん。
やることやってしまって、後戻りできなくなった美弥子さんが、
【きちんとした不倫妻】になろうと一旦自宅へ帰るんだけど、【きちんとした不倫妻】ってナニ???
そういうことに疑問を持たない、天然な美弥子さんはほんとうに滑稽に思える。
浩さんが実は意外と嫌な男だつたことを見極められなかったのも、
美弥子さんの性格故のことなんだろうな〜。
この先、ちょいネタばれあります。
↓ ↓ ↓
結局、美弥子さんは浩さんとの離婚を選ぶ。
きちんとしていたい美弥子さんだから、それは当然のことだろう。
なのに、最後の最後の【奇妙で残念なことですが、美弥子さんはジョーンズさんの目に、もう小鳥のようには見えないのでした】って一文がショックで怖くて・・・
たとえ美弥子さんが離婚しても、きっとこの二人に未来はない。
つまり、ジョーンズさんはかごの中の鳥のような、きちんとした奥さんだった美弥子さんだから好きになったんだ。
なんつー話
けどそうだよね〜。
家族のことにしても、日本での美弥子さん以外の女性との関係にしても
ジョーンズってそういう男なんだと思う。
このほんわかした文体がジョーンズを「ちょっと素敵な害のない外国人」だってカン違いさせたんじゃない?
このエンディングを受け、読み終えてみて初めて、
このちょっと怖い表紙の意味がわかった気がしました。
外の世界へ出ることを知ってしまった美弥子さん。
このさき、彼女はどうすれば幸せになれるんだろう・・・。
● 真昼なのに昏い部屋 / 江國香織
● 講談社
● 1470円
● 評価 ☆☆☆
会社社長の夫・浩さんと、まるで軍艦のような広い家に暮らす美弥子さんは、
家事もしっかりこなし、「自分がきちんとしていると思えることが好き」な主婦。
大学の先生でアメリカ人のジョーンズさんは、
純粋な美弥子さんに心ひかれ、二人は一緒に近所のフィールドワークに出かけるようになる。
時を忘れる楽しいおしゃべり、名残惜しい別れ際に始まり、
ふと気がつくとジョーンズさんのことばかり考えている美弥子さんがいた―。
(感想)
江國香織さんが「翻訳の子供の本みたいな文体で書きたかった」という、
のんびりと子供に言い聞かせるような文体はまるで大人のための童話のようでした。
一言で言っちゃえば不倫モノ。
けど、不倫のドロドロな感じはまったくない。
二人のフィールドワークの場面とか、心地よい風が吹いているように雰囲気がいいのは
この文体のおかげでしょうね
かごの中の鳥のようにおっとりとした主婦の美弥子さん。
やることやってしまって、後戻りできなくなった美弥子さんが、
【きちんとした不倫妻】になろうと一旦自宅へ帰るんだけど、【きちんとした不倫妻】ってナニ???
そういうことに疑問を持たない、天然な美弥子さんはほんとうに滑稽に思える。
浩さんが実は意外と嫌な男だつたことを見極められなかったのも、
美弥子さんの性格故のことなんだろうな〜。
この先、ちょいネタばれあります。
↓ ↓ ↓
結局、美弥子さんは浩さんとの離婚を選ぶ。
きちんとしていたい美弥子さんだから、それは当然のことだろう。
なのに、最後の最後の【奇妙で残念なことですが、美弥子さんはジョーンズさんの目に、もう小鳥のようには見えないのでした】って一文がショックで怖くて・・・
たとえ美弥子さんが離婚しても、きっとこの二人に未来はない。
つまり、ジョーンズさんはかごの中の鳥のような、きちんとした奥さんだった美弥子さんだから好きになったんだ。
なんつー話
けどそうだよね〜。
家族のことにしても、日本での美弥子さん以外の女性との関係にしても
ジョーンズってそういう男なんだと思う。
このほんわかした文体がジョーンズを「ちょっと素敵な害のない外国人」だってカン違いさせたんじゃない?
このエンディングを受け、読み終えてみて初めて、
このちょっと怖い表紙の意味がわかった気がしました。
外の世界へ出ることを知ってしまった美弥子さん。
このさき、彼女はどうすれば幸せになれるんだろう・・・。