# 南の子供が夜いくところ
2010.05.25 Tuesday
「今年で120歳」という若いおねえさんと出逢ったタカシは、
彼女に連れられ、遠く離れた南の島で暮らすことになる。
おねえさんの名前は「ユナ」。
ユナは昔、ある島に一本しかない紫焔樹のある森の奥の聖域に入ることを許された彼女に連れられ、遠く離れた南の島で暮らすことになる。
おねえさんの名前は「ユナ」。
〈果樹の巫女〉と呼ばれた少女だった……。
呪術的な南洋の島のめくるめく魔術的世界。
(感想)
人の優しさや残酷さを描き、ダークファンタジーみたい。
恒川さんがファンタジーを書くとこうなるのかなぁ。
新境地を開いたかのようなまったく新しい恒川ワールドで、
南国が舞台ということもあり、いつもの背筋がゾクゾクとするような恐怖感はありません。
連作短編の形になっているのだけど、
残念なのは面白いところとそうでないところがはっきり分かれていること。
そして、連作としてのリンクの仕方が、あまり鮮やかではないところ。
ユナさんをもっと前面に出せばもっと連作らしくなったのでは?
1作目の「南の子供が夜いくところ」と2作目の「紫焔樹の島」までは面白いし、
たしかなつながりも感じられるんだけど、読み進めるうちにどんどん離れて行ったような・・・。
この世でも、現代でもない世界を描いているのかと思いきや、
タカシの家族の問題などは今の日本にありがちな話。
現実と非現実をさまようようなユラユラとした不可思議さ・・・なぜか心地いいんですよね。