隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# Q人生って
評価:
よしもと ばなな
幻冬舎
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(2009-10)
コメント:悩める人たちに捧げる人生論

JUGEMテーマ:読書 
 ● Q人生って? / よしもとばなな
 ● 幻冬舎
 ● 1260円
 ● 評価 ☆☆☆
ほんとうの優しさってなんだろう?
憎しみからはどうすれば解放されるのでしょう?
恋や仕事、子育て、人芸関係や生きることに悩む全ての人におくる、
よしもとばなな流人生論。



(感想)

これはよしもとばななさんの公式サイトにある「質問コーナー」に寄せられた質問と
それに対するばななさんの返答をまとめた本です。
私はよくばななさんのサイトを見ていて、当然このコーナーも読んでいるのだけど、
やっぱり本としてまとめて読むのとサイトで読むのとはまったく違いますね。

すべてに共感して賛成できるわけではないけれど、
今までの人生でいいことも悪いこともいろいろ経験してきたばななさんの、
まっすぐ一本ピンとした筋の通った、そのままのばななさんの言葉であふれていました。
相変わらず「ぶれない人」。まっすぐな人だよね。
しっかりした自分を持つって難しいけど、私もこんな風に自分を持った私になりたいな。

ただしまだこの本、今の私には必要ないようです。
今すぐには私の心に響かないかもしてないけど、
もし傷ついたり、どん底に落ちちゃったりしたときにはこの本を開いてみよう。
きっと救いになってくれそうな気がします。

だから私はまだこの本の本当の素晴らしさを感じることはできない。
評価できる立場にはないような気がするんだけど、とりあえず3くらいにしておきます。
 
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:41 | category:    よしもとばなな |
# フリーター、家を買う。
評価:
有川 浩
幻冬舎
¥ 1,470
(2009-08)
コメント:有川浩、新たな分野への挑戦

JUGEMテーマ:小説全般 
 ● フリーター、家を買う。 / 有川浩
 ● 幻冬舎
 ● 1470円
 ● 評価 ☆☆☆☆
そこそこの大学を出て、そこそこの会社に入ったけどわずか3カ月で辞表を出した。
いい就職先もないし、テキトーにバイトをしてるうちに2年が過ぎたころ、
突然、母親の異変を知ることになる。
母さん、しっかりしてくれよ・・・へなちょこ25歳がいざ一念発起!?
崩壊しかかった家族の再生と「カッコ悪すぎな俺」の成長を描く、勇気と希望の結晶。
 

(感想)

有川浩さんが書いたものならなんでも読みます
だからあえて内容なんか調べずに読んだんだけど、まさかこういう内容とは・・・
主人公の誠治はテキトーなアルバイトでなんとか日々をつないでいるのだけど、
ある日、同居する母親が重度の精神病を患ってると知ることになる。
母を世話し、母を安心させるために就職し、
母のために家を買おうと成長・奮闘する若者の姿を描いています。
はじめはかなり暗い内容だけど、
だんだん光がさしてくるので読む進めるのに苦痛はありません。


ハッとさせられたのは主人公がどうしても母の病を認めず、
非協力的な父親のことを同じ工事現場で働くおっさんたちに愚痴ったときの
おっさんのアドバイスです。
実は私も父親の時代に合わない頑固でかたくなな考え方に日々悩まされているので
おっさんの言葉はそのまま私と父親の関係を円滑にするアドバイスになりました。
おっさん、ありがとう
この本の本来のテーマは「若者が母のために一人前の男になっていく姿を描く」なんだろうけど、
私にとっては「父親との付き合い方」の方で参考になりました。
自分の考えばかりを押しつけるだけじゃなく、
相手の弱点をわかって認めてあげることが人間関係を良くするヒントなのね。
言葉の選び方ひとつでもだいぶ違ってくるんだろうなぁ。

これから就職活動をする人には参考になることも多い。
ある意味、就職活動の参考書といってもいいかも(笑)

ひとつ、贅沢を言わせてもらうと・・・。
最後の最後でようやく有川さんお得意のベタ甘な展開になってくるのだけど、
できればもう少し、ドキドキさせてほしかったな〜。
けど、千葉さんの「諦めてない武さんは間に合ってます」って言葉は響きました。

主人公、出来すぎな感じはしたけど、
有川浩の新たな挑戦、成功といえるんじゃないですか?
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:23 | category:    有川浩 |
# オヤジ・エイジ・ロックンロール
評価:
熊谷 達也
実業之日本社
¥ 1,785
(2009-11-20)
コメント:オヤジたちに若さと生きがいを与える本!

JUGEMテーマ:小説全般
 ● オヤジ・エイジ・ロックンロール / 熊谷達也
 ● 実業之日本社
 ● 1785円
 ● 評価 ☆☆☆☆
学生時代以来のエレキギターを再開した中年サラリーマンの巧也。
一人だけの趣味として楽しむつもりが、
会社の同僚に知られたことがきっかけでバンドを結成、
さらにはアマチュアロックコンテストの全国大会を目指すことに
しかしそこには思わぬ人物との再会が待っていた…。
オヤジ世代必見、 痛快&感動オヤジバンド小説


(感想)

もう、タイトルと表紙の絵、そのまんまの内容です。
50歳を目前にしたサラリーマンが学生時代に夢中になったギターを再び始める。
はじめは一人でやっていたのだけど、いつしかバンドを組むことになり・・・。
予想した通りに展開するストーリー。意外性はないけど、明るくて楽しい
面白くてスイスイ読めました。

私はこの時代の音楽を知らないから感慨深さはなかったけど、
主人公と同じ世代の人たちには懐かしくてたまらないだろうなぁ。
オヤジ世代におすすめです
ぜひ、あの頃の想いに浸ってください。

あー、そうそう。
「ロック用語わかんねー」と思いつつ、なんとかごまかしながら読んでたら
巻末にきちんと『初心者のためのロック講座』というページに詳しい説明がのってました
これから読む方は、ぜひこちらも参考に(笑)
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:26 | category:    熊谷達也 |
# ごはんのことばかり100話とちょっと
評価:
よしもと ばなな
朝日新聞出版
¥ 1,260
(2009-12-04)
コメント:食べることって、やっぱり幸せ!!

JUGEMテーマ:エッセイ
 ● ごはんのことばかり100話とちょっと  / よしもとばなな
 ● 朝日新聞出版
 ● 1260円
 ● 評価 ☆☆☆☆
行きつけのお店のこと、大好きな家族や友達と食べるおうちごはん
ばななさんの子供が2歳半から6歳になるまでの間に書いた、食べ物にまつわる話。
ともちゃんとお姉さんの料理レシピつき


(感想)

表紙見ただけでヤバイ
(ちなみに表紙はばななさんのお姉さんのコロッケ

日頃のごはんのことをサラサラっと書いた気取らない本です。
一つ一つの話がとっても短く、休日にまったりとした気分で読みたいかんじ

食に対して貪欲で、好奇心旺盛で、でも厳しい目も持っているばななさん。

飲食業に携わる者としては痛い、でも学びになることも多かったなぁ。
「24」なんてほんとのことすぎて、
カフェ経営に憧れをもつ人や、ああいうお店が好きな人にはショックだろうなぁ。

いちばん好きなのは「2」。
“ともだちに道でちょっと会って、立ち話しながら近所のおいしいものの話をするっていうのは、
この世の幸せの中でもかなり上位に入るだろうと思う。”
この考え方、好きー
たしかに食べ物の話をのんびりできるって、幸せの証かもしれない
料理のプロは引き算ができる、というのもなるほどな、と。
ごてごてとなんでも入れるのは一見おいしそうに感じるけど、
それはおいしい者同志がお互いを殺しあうこともあるんですね。
減らすことも大事・・・これは料理だけでなく、いろんなことに共通することかもしれない

一般の家庭にはなじみのないような調味料や外国の料理もでてきて、
正直、まったく何なのかわからない料理も出てくるけど、そこはイメージするのもまた楽しい。

ばななさんのお宅に来ているお手伝いのMさんのあたたかさと2人の関係がステキ。
おいしそうなお店もいっぱい載ってたなぁ。東京に住んでたら片っぱしから行けるのに

惜しいのはレシピのページにしか写真がないこと。
文章だけでも十分美味しそうなんだけど、でも贅沢を言わせてもらえば目でも楽しみたかった

やっぱり食は最高の幸せ
そして、いろんな幸せに気づかせてくれるばななさんにも感謝感謝
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:46 | category:    よしもとばなな |
# シアター!
評価:
有川 浩
アスキー・メディアワークス
¥ 641
(2009-12-16)
コメント:今度の有川浩は甘さ控えめ

JUGEMテーマ:小説全般
 ● シアター! / 有川浩
 ● メディアワークス文庫
 ● 641円
 ● 評価 ☆☆☆☆
小劇団「シアターフラッグ」は解散の危機に迫っている。
ファンはたくさんいるし、人気はある。でも・・・・・、お金がないのだ
その負債額なんと300万円
悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。
だが司は巧にお金を貸す代わりに厳しい条件を出した。
「2年間で劇団の収益からこの300万を返すこと。できない場合は劇団を潰すこと」。
人気声優・羽田千歳が劇団に加わり、鉄血宰相・春川司も迎え入れ、
新たな「シアターフラッグ」は旗揚げされるのだが…。


(感想)

今回は文庫での書き下ろし。
有川さんの本はあっという間に読めてしまうので安価なのは有り難い

でも、今回は有川さんにしては甘さ控えめかな〜。
いつも有川さんの本は、
「読んでる自分が恥ずかしい けど、面白すぎるから開き直っちゃえ」みたいな感じだけど、
今回はそんなにドキュンドキュンしなかった。あっさりめです。
でも、テンポの良さと、読みやすさは健在

解散寸前の劇団が借金返済に向けて奮闘するストーリー。
しっかり者の兄の司・泣き虫の弟の巧。
そこに絡んでくるのが人気声優だが、舞台は初心者の千歳。
3人を中心とした恋模様と演劇にかける若者たちの情熱。
でも、夢も恋もそう簡単にはうまくいかない。
焦りや不安も交えて、イキイキとした青春小説になっています。
有川的胸キュン要素は誰にでも気を使ってしまう性格の千歳が、
なぜか司にだけは態度が違うあたりがいちばん濃いかな〜。
千歳が司に「オジサン!」と言い放つ場面はこっちまでニヤけてきしちゃう

面白い、でも少し消化不良。もうちょっと先の彼らも描いてほしかった。
majiで恋する5秒前くらいで終わってしまった。
まだまだ描ききれてない中途半端なキャラが多かった・・・なんやかんやで続編希望しまーす
今後の期待を込めて☆は4つ
| comments(2) | trackbacks(1) | 10:34 | category:    有川浩 |
# ハッピー・リタイアメント
評価:
浅田 次郎
幻冬舎
¥ 1,575
(2009-11)
コメント:「天下り」ブラックユーモア小説

JUGEMテーマ:小説全般
 ● ハッピー・リタイアメント / 浅田次郎
 ● 幻冬舎
 ● 1575円
 ● 評価 ☆☆☆
定年を四年後に控えたしがない財務官僚・樋口慎太郎と愚直だけが取り柄の自衛官・大友勉。
二人が突如再就職先として斡旋されたJAMS(全国中小企業振興会)は、
元財務官僚の理事・矢島が牛耳る業務実体のない天下り組織。
その体質に今イチ馴染めない樋口と大友は、
教育係となった秘書兼庶務係の立花葵から、ある日、秘密のミッションを言い渡される…。


(感想)

なんつー、濃ゆい表紙
まぁ、この表紙見てもらうとわかるように軽妙でブラックユーモアたっぷりの小説です
世の中で目の敵にされている「天下り」。
普通にまじめに生きてる私たちにしてみれば絶対に許せない制度なのだけど、
そこを面白おかしく軽〜く描いているあたりが浅田さんらしい

普通の感覚を持っている人ならほとんど仕事らしい仕事がないのに
高給がもらえる天下りなんて良心がとがめてあたりまえ。
だから慎ちゃんとベンさんはやらなくたっていいのに、
時効が過ぎ、返済義務のない借金の取り立てに走り回ることにした。
でも、返せない人を追い詰めたりしない。
返せるくらいに稼いでいる人からだけ貰うんだから痛快です。

お金が絡みながらも、
主要キャラ3人がお金に対してギラギラした執念を持ってないのがいい。
その姿勢はあくまで淡白。
そこに本当の幸せの意味が隠されていそうです。

けど、どうしてだろう・・・?
読んでも読んでも、序章を読んでいるような気がしてて、
いつまでたっても本編に入らないな、と思っているうちに終わってしまった。
最後も小気味いい展開になっているはずなのに、なぜか爽快感がなかった。
なんなんですかね、この気持ち・・・。
慎ちゃんやベンさんと同世代のおじさんたちが読んだら、
感じ方は違うのかな?

いちばん笑ったのは
「人間誰しも、年齢とともに垢抜けてくるのは焼香の作法と屁の音である。」ってとこだな。
屁よりも、焼香の方で(笑)

噂によると・・・
プロローグの、浅田さんの家にJAMSの担当者が来たというエピソードはほぼ実話とか
この体験をもとにこの作品が生まれたっていうから、
世の中、何がどこにつながるかわからないものですね〜。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:52 | category:    浅田次郎 |
# 2009年に読んだ本・ベスト10
JUGEMテーマ:小説全般

2009年に読んだ本のベスト10を発表します

対象となるのは、昨年1月7日にアップしたあさのあつこさんの「金色の野辺に唄う」から、
今年の1月6日にアップした柚木裕子さんの「臨床真理」までの109冊になります。

2008年は104冊だったし、ここ何年かは前ほど読めなくなったな〜
前は図書館での貸し出し限度いっぱいの5冊を毎回借りられたけど、
今は3,4冊借りても期限の2週間では読めない
いっつも返却カウンターで、
「この本、もう一回借りていいですか」と延長のお願いをしてる始末です。

そんな中で5つ星の評価をした本は14冊。
ベスト10はこんな感じで選んでみました。



 1  世界一の美女になるダイエット / エリカ・アンギャル

 2  猫を抱いて象を泳ぐ / 小川洋子

 3  学問 / 山田詠美

 4  これは王国のかぎ / 荻原規子

 5  植物図鑑 / 有川浩

 6  酒にまじわれば / なぎら健壱

 7  聖女の救済 / 東野圭吾

 8  身の上話 / 佐藤正午

 9  究極の焼酎を求めて / 金本亨吉

 10 すべては宇宙の采配 / 木村秋則



昨年も思ったけど、なーんか今年もイマイチだなぁ

1・2・3の順位付けに迷ったけど、
ダイエットに対する考え方を根本的に覆された「世界一の美女になるダイエット」を選びました。
これ、いまや私のバイブルです。
少しづつ実践していて、はじめはきつかったけどだんだんそれが当たり前になってきている。
効果のほどは・・・・なのですが、継続は力なりって言葉を信じてがんばっちょります

2はその世界観の美しさと味わい深さ、
3は性の本質的な喜びを繊細に描いていて、
3位までの作品はすぐに「ベスト10に入る作品だ」ってわかりました。

4はほんとに楽しかった

6と10は完全に趣味の世界(仕事でもあるけど)の本ですね
特に9なんて普通の人が、
「ともみさんのベスト10に入ってたから読んでみよう」なんて手にとっちゃダメ。
あくまで焼酎の世界に興味のある人だけ
そうでない人にはまったくどうでもいい内容ですから

今年は新年早々、素晴らしい本に出会えているので幸先いいスタート。
果たしてどんな本に出会えるでしょ
楽しみ楽しみ
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:11 | category: 年間ベスト10 |
# ほかならぬ人へ
評価:
白石一文
祥伝社
¥ 1,680
(2009-10-27)
コメント:まわり道も無駄じゃない、きっと出会える「運命の人」

JUGEMテーマ:小説全般 
 ● ほかならぬ人へ / 白石一文
 ● 祥伝社
 ● 1680円
 ● 評価 ☆☆☆☆☆
宇津木明生は、財閥の家系に生まれたが、エリート意識の高い家風になじめず、
就職も結婚も家族の反対を押し切って自分の意思で決断し、家族とは絶縁状態でいる。
妻となったなずなはキャバクラに勤めていた過去を持つ美人。
しかし、ある日突然「過去につき合っていた真一のことが気になって夜も眠れなくなった」と打ち明けると、
数日後には家を出て行ってしまう。
失意の明生は一方で、個人的な相談をするうちに、
職場の先輩である東海倫子との距離を縮めていく・・・。
愛するべき真の相手は、どこにいるのだろう?
「恋愛の本質」を克明に描き、さらなる高みへ昇華する第142回直木賞ノミネート作品



(感想)

「ほかならぬ人へ」「かけがえのない人へ」2編からなる作品。
どちらも主人公がまわり道をしながらも、真実の愛へ気づくまでを描いています。
先日、直木賞の候補作が発表されましたが、この本も入っていましたね
数日後に迫った発表も気になるところです

だの恋だのといった甘ったるいものではない「真実の愛」に気づくのは容易ではありません。
けど、先にそういうかけがえのない、ほかならぬ出会いが待っているのだとしたら、
まわり道も無駄じゃない。
いや、むしろ、まわり道をしなければ気づけない場合もあるでしょう。

2編とも主人公が「真実の愛」に気づくとすぐに別れが訪れてしまうのが切ない。
真実の愛の喜びが永遠に続くというわけではない、ということか。
けど、それを見つけられた人とそうでなかった人とでは人生の豊かさが大きく違ってくると思う。
外見ではわからない、心で見つけるって難しいけど、
心のアンテナをピンと張り巡らせていれば、きっと見つかる。そう信じる気持ちも大切

「ほかならぬ人へ」では主人公の明生はなずなとの結婚に失敗し、
その失意の時期を支えてくれた女性が真実のパートナーだと気づくのだけど、
一方でなずなも真一との真実への愛に気づいて旅立っていった。
なずなの視点で描いたらまったく違うお話になっていただろうけれど、
彼女も同じものを手にしたのであって、最終的に同じような答えに行き着いたでしょう。

「かけがえのない人へ」で、約束をしているわけでもないのに、
毎年毎年必ず、女の誕生日にはケーキを購入するのが習慣になっていた男。
柄にもないことして、でも、女よりずっと前から「気づいていた」男心が切ないー

ああ、やっぱり白石さんの作品って考えさせられるなぁ。
心の奥底に響く、すごいものを書く人だ。
すごすぎて、読み終えてしばらくは頭の中が真っ白になっちゃいました。
| comments(0) | trackbacks(0) | 13:49 | category:    白石一文 |
# マノロブラニクには早すぎる
評価:
永井 するみ
ポプラ社
¥ 1,680
(2009-10)
コメント:「プラダを着た悪魔」風

JUGEMテーマ:小説全般 
 ● マノロブラニクには早すぎる / 永井するみ
 ● ポプラ社
 ● 1680円
 ● 評価 ☆☆☆
翻訳文学の編集者を目指して出版社に入社した世里が配属されたのは、
よりにもよってまったく興味も自信もない、華やかなファッション誌
しかし、その裏側には女のプライドがせめぎ合い、ゴシップがあふれていた。
厳しい現場の中で、自分の居場所を見失っていた世里だが、
彼女の前に現れた中学生・太一との出会いによって、少しずつ自分らしさを取り戻していく―。
 

(感想)

永井するみさんは女性なら必ず興味を持ちそうな世界に着目し、
そこにサスペンスや謎解き要素を絡めてしまうのが異常にうまい
女性ならではの視点ですよね〜。
あらすじをザッと読んだだけで、ついつい興味をそそられてしまいます。

このお話の舞台は人気女性ファッション誌の編集室。
センスのない女の子が、ファッションの分野に配属されてしまうが、
魅力的な先輩に感化され、いつしかファッションにとどまらず、
編集者としても人間としても成長していくサクセスストーリー。
なんかどっかに聞いたことあるような話だな・・・と思ったら「プラダを着た悪魔」に似てない?
あれにちょっとサスペンス要素を織り交ぜたようなお話です。

けど、洋服や髪形、メイクよりも靴にこだわりを持って美しくしている女性って、
たしかにおしゃれの上級者ってイメージ。
「靴を見ればその人がわかる」ってきっとほんとのことだと思う。
そうなると、いつもスニーカーばっかで、多少汚れても平気ではいてる私はダメだなぁ。
しかもお恥ずかしいことにマノロブラニクというブランドもこれを読むまで知らず、
さっそく検索してお勉強した次第です
タイトルに使われるのも納得なくらい洗練された素敵な靴ばかりでした。

んー、でも大の大人と中学生がいくら理由があるとはいえ、
メールしたり二人で会ったりこんなに交流を持つなんて
普通の大人の感覚ですればありえないし、
死んだカメラマンの不倫相手も早い段階で誰なのか予想がついてしまう。
うーん、いまひとつ。

女として常にきれいにしていなきゃ、と背筋がピンとするような気持にはなるわな。
女子力アップしそうな女子が読む小説ですね。男性にはおすすめしません。
| comments(0) | trackbacks(0) | 17:06 | category:    永井するみ |
# 臨床真理
評価:
柚月 裕子
宝島社
¥ 1,470
(2009-01-24)
コメント:予想通りの展開に唖然・・・・

JUGEMテーマ:小説全般
 ● 臨床真理 / 柚月裕子
 ● 宝島社
 ● 1470円
 ● 評価 ☆☆☆
新人臨床心理士の佐久間美帆は藤木司という二十歳の青年を担当することになる。
司は同じ福祉施設で暮らしていた少女の自殺を受け入れることができず、
美帆になかなか心を開こうとしない。
それでも根気強く向き合おうとする美帆に、司は少女の死は他殺だと訴える。
その根拠は、彼が持っている特殊な能力によってわかったらしいのだが・・・・。
『このミステリーがすごい!』大賞2009年第7回大賞受賞作。


(感想)

山下貴光「屋上ミサイル」と第7回のこのミス大賞を分け合った作品。
「屋上ミサイル」を読んだ時、
ほんとにこれが大賞なの?と思ったけど、これも然り
どっちかといえば、こっちの方が好きだけど、やはり新人が書いただけに甘さが目立ちます。
山形在住の方ってことでも親近感がわいて、かなり期待したんだけどな〜。

とにかくね、展開が面白いくらいに読めてしまうんです・・・。
意外性、まったくナシ
医療従事者として、そして大人として絶対やってはいけないような行動に走る主人公・・・、
はたまたは取材不足としか思えないような部分もあり、
ツッコミどころも満載なんだけど、そこは新人さんだから大目に見なきゃいけないのかな〜。

クライマックスで主人公が真犯人から受ける仕打ちは読んでいて気分が悪くなる。
これじゃあ女性読者は評価しません。
生々しすぎて、気持ちワル・・・。
こんなことまでして患者を救い、事件を解決したいと思う医者ははたしているのか・・・いやいない。

司が共感覚の持っているという設定も、
たんに小説にするのに都合よく使っているだけという印象を受けたし、安易なのよね。

けど、まぁ「読ませる小説」ではあることは認めます。
テンポがいいので、グイグイと引き込まれてあっという間に読んじゃいました。
つまり・・・書く力はある新人だということか
地元の作家さんでもあることだし、もうちょい読んでみたい
今後に期待しましょ
| comments(0) | trackbacks(0) | 01:32 | category:    柚月裕子 |
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