隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン
評価:
小路 幸也
集英社
¥ 1,575
(2007-05)
コメント:あの家族にまた会える!

JUGEMテーマ:小説全般
 ● シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン / 小路幸也
 ● 集英社
 ● 1575円
 ● 評価 ☆☆☆☆
下町で古書店とカフェを営む四世代ワケあり大家族。
今日も古本と共に舞い込む謎を家族総出で解決
泣いて、笑って、ケンカして、いろんな愛に気づいて…。
きっとあなたも我が家に帰りたくなる、下町ラブ&ピース物語。



(感想)

「東京バンドワゴン」のあの家族が帰ってきた シリーズ第二弾です。
前作を読んでずいぶん経ちますが、
久しぶりと感じる間もなくすぐにこの家族の世界に入っていくことが出来ました。

これほどたくさんの登場人物がいながら、
誰一人としていいかげんな扱いになっている人はなく、キャラがたってるのがすごい
しかも前作より登場人物が増えて、今後のさらに増える予感・・・。

ただ大家族の賑やかな日常を描いているのではなく、
亡くなったおばあさんのサチさんの視点で語られているからこそ温かみを増しています。
できれば、サチさんと一緒に秋実さんにもでてきてほしいんだけど、それは贅沢な願いなのかなぁ。
ほんとうに素敵な家族
今の時代、こんなに大勢で仲良く暮らしてる家族なんて存在するのでしょうか
読んでると幸せな気持ちになり、このシリーズがいつまでもいつまでも続いて欲しいと思えます。

最後の章はバタバタといろんなことが起こり、
喜びも寂しさもあわただしく過ぎて行ってしまったけれど、
これこそが「この家族らしい」ってことでしょう
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:36 | category:    小路幸也 |
# 悪いことはしていない
評価:
永井 するみ
毎日新聞社
¥ 1,680
(2009-03-20)
コメント:タイトルも装丁も良くないなぁ

JUGEMテーマ:小説全般
● 悪いことはしていない / 永井するみ
● 毎日新聞社
● 1680円
● 評価 ☆☆☆
大手企業リーロテックに入社して4年。
真野穂波は、尊敬する上司・山之辺の秘書として慌ただしくも充実した日々を送っていた。
唯一気になるのは、仕事が忙しすぎてプライベートな時間がまったくないこと
そんなある日、同期の亜衣が突然失踪する。
亜衣の部屋を訪ねた穂波は、そこで大量に散乱するピスタチオナッツの殻を見つけ・・・・・。



(感想)

数時間でかる〜く読めてしまいました。
ミステリーとしては弱いような気がするし、
女性の生き方を描いたものというほど女として共感できるものでもない。
うーん、読みやすいけど、読後に何も残らない作品といった印象です。

穂波はまじめにしっかり生きている女性という印象で好感持てるけど、
あんなことがあってからも亜衣と友人関係を続け、しかも家に泊めたりできるってすげー
怖いな〜、私なら絶対ムリ

んで、このタイトルと装丁・・・なんとかならないの
タイトルも表紙のデザインも意味わかりません
「悪いことはしていない」、まぁたしかに主人公はなーんにも悪くはないんだけど、
もっと何かなかったのでしょうか。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:43 | category:    永井するみ |
# そのノブは心の扉
評価:
劇団ひとり
文藝春秋
¥ 1,050
(2008-03)
コメント:ダメさが共感を呼びます。劇団ひとり頑張れ!!

JUGEMテーマ:エッセイ
● そのノブは心の扉 / 劇団ひとり
● 文藝春秋
● 1050円
● 評価 ☆☆☆
大事なのは「変えようとした」こと。
ネガティブでダメな自分に美学を感じてしまう駄目ナルシスト・劇団ひとりの初のエッセイ集。


(感想)

「事実を元にしたフィクション」らしい。つまり主人公は劇団ひとり本人ってこと?
絶対にウソだろーと思うエピソードがある半面、
「ああ、劇団ひとりらしい」的な苦笑してしまうようなネタも盛りだくさん
私、劇団ひとりのこのネガティブさって好き
自分のダメさに苦悩してるあたりとか、共感してしまう。
で、この人を思い出すとき、
いつも苦しんでるか、悔んでるいるかの顔をまず思い出してしまう(笑)
そのくらい「苦悩」が似あう人だと思う。

けど、ただダメなわけじゃないのがこの人のすごいとこ。
ダメな自分を楽しんでいる自分をしっかり認め、愛しつつも、
もっと自分を好きになるために、自分を変えるために、一生懸命努力もしている。
物事の考え方は暗いわりに、意外と行動力がある。
そこが一般的なネガティブ人間にはないものだよね。

初恋の人と再開した日、最後に彼女にかけられた一言と、
乗馬の試験を受けなかった理由はいかにもこの人らしくて笑いを押さえられなかった。
おかしいんだけど、ちょっとさびしさを感じちゃうような切なさが残るのがこの人の持ち味
劇団ひとり、愛すべきネガティブナルシストです
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:46 | category:    劇団ひとり |
# 汝の名
評価:
明野 照葉
中央公論新社
---
(2003-08)
コメント:女性ならではの関係・・・ドロドロ系が好きな人に

JUGEMテーマ:小説全般
● 汝の名 / 明野照葉
● 中央公論新社
● 1995円
● 評価 ☆☆☆
若き会社社長の麻生陶子は、才能も美貌も持つ誰もが憧れる存在。
だが、その美貌とは裏腹に、「完璧な人生」を手に入れるためには、
恋も仕事も計算し尽くすしたたかな面もある。だから彼女はここまでのぼりつめられた。
そんな陶子には、彼女を崇拝し奴隷の如く仕える自分とは正反対の妹・久恵がいた。
しかし、ある日から、二人の関係が狂い始め・・・・・。


(感想)

勝ち組の陶子。負け組の久恵。
陶子に生活の面倒を見てもらっている形で生きている久恵が、
陶子に心から愛する男性が現れ、自分の居場所に危機感を感じ始めたことから、
二人のバランスが崩れていきます・・・。

女同士ならではのドロドロ系のストーリー。
男同士の話ならば絶対こういう展開にはならないよなぁ
やっぱ女って怖いです・・・。
・・・でもね、怖い怖い思いながらも二人が考えてること、私、なんとなく共感出来ちゃう。
そんな私もやっぱり女なんだなぁ。
女の嫉妬と劣等感は根深いものがあるのです。

展開はかなり読めちゃいます。
で、イライラヤキモキする部分も多くって。
事態が深刻な状況になってからの陶子ののんびりとした解決の仕方にも違和感
おいおい、はやく逃げなよ〜〜
連絡なしで何日もほっておかれた男たちも、
普通なら怒って愛想をつかすだろうに、みんな同情的で優しいのもヘン・・・

読みやすいんだけど、なーんか、2時間サスペンスドラマみたいでした
んー、でも、たまにはこういうのも読みたくなるんだよね
| comments(2) | trackbacks(0) | 08:42 | category: 作家名 あ行 |
# この世の全部を敵に回して
評価:
白石 一文
小学館
¥ 1,050
(2008-04-24)
コメント:このタイトルで損をしているような・・・・

JUGEMテーマ:読書
● この世の全部を敵に回して / 白石一文
● 小学館
● 1050円
● 評価 ☆☆☆
常に生きる意味を問うような小説を発表し続ける作家・白石一文。
心筋梗塞(こうそく)のために53歳で急死した男が遺した手記という設定での中、
人間はどこから来て、どこに向かうのか--。
生きがたい思いを漫然と抱く、すべての人に、作者から突き付けられた八万文字分の言葉の爆弾。


(感想)
生きること、死ぬこと、どう生きるべきか・・・
白石さんは著作の中ではそこだけにテーマを絞り込み、
作家生命のすべてをかけてそれを綴っていこうとしてるように思える。
今回は小説という形とは一風違ったスタイルで死生観を訴えています。
急死した男が遺した手記という形はとっているものの、
でもこれはどう考えても白石一文さんがいつも言っているような思想・・・。
うーん、なぜあえてこういう形をとったのか。

すごーく重かった。
本自体が薄いからといって甘く見てはならない。書いてあることは相当のボリューム。
たぶん私、ずっとこの表紙の人みたいな暗い表情で読んでたと思うよ。

どんな絶望の先にも希望はきっとある。

でも、あまりに凄まじい。いい意味でも悪い意味でも。
素直に受け入れられる部分もあるけど、
子供を失った親の気持ちを書いているあたりなど、怒りすら込み上げてきます。
悲しみは時間がたてばたしかに薄らいでいくかもしれない。
そこまで行くのに多くの人に迷惑をかけ、そんなことでも心を痛めるかもしれない。
でも、それを「本気の悲しみでない」なんて白石さんに言う権利があるの?

これ、かなりの覚悟がないと発表できませんよ。
白石さんの小説自体は好きなんだけど、今回は引っかかる点が多かったな〜
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:42 | category:    白石一文 |
# 銀河不動産の超越
評価:
森 博嗣
文藝春秋
¥ 1,450
(2008-05)
コメント:おかしな建物と、おかしな人々のゆる〜い時間

JUGEMテーマ:小説全般
● 銀河不動産の超越 / 森博嗣
● 文藝春秋
● 1450円
● 評価 ☆☆☆☆
危険を避け、そんなに頑張らずですむ道を吟味し、
最小の力で怠けられるだけ怠けて過ごしてきた高橋君。
しかしながら、これが彼の精一杯。
怠けているように見えるのはたんに他人の客観的判断にすぎないだけなのである。
しかし、入社した小さな不動産会社「銀河不動産」が彼の人生を変えた。
ひょんなことなら住むことになった奇妙な「館」、不動産屋にやってくるおかしな人々・・・・。
究極の森エンターテインメント。



(感想)

タイトルが漢字ばっかりでかたいお話をイメージしていたけど、
不思議な建物、ちょっとおかしな人々・・・ゆる〜い感じが良かったです。
流れに任せて生きている主人公の高橋くんと一緒に、
私もにユラユラ漂うようにこの本の中の世界に浸りました。

人が幸福をつかむために必要なもの・・・間宮さんがいっている幸福論は素敵でした。
こういう能力って磨こうとして磨くものではなく、自然に身についているものなんだろうなぁ。
流れに流されるのも時には大事なのかもしれない

でもなー、
便利な建物じゃなく高橋君の人柄にひかれて人が彼のまわりに集まってくるのはわかったけど、
最後の最後がちょっとバタバタした
それが残念
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:52 | category:    森博嗣 |
# 喋々喃々
評価:
小川 糸
ポプラ社
¥ 1,575
(2009-02-03)
コメント:好きなんだけど・・・所詮「不倫小説」なんだよなぁ

JUGEMテーマ:小説全般
● 喋々喃々 / 小川糸
● ポプラ社
● 1575円
● 評価 ☆☆☆☆
アンティークきもの店「ひめまつ屋」を営む栞(しおり)。
栞が一人で切り盛りするこの小さな可愛い店にある日、男性客がやってくる。
その人は、栞の心のなかで次第に存在感を増していき・・・。
日々の細やかな暮らしが日本の美しい四季の移ろいとともに描き出される、きらめくような物語。
 


(感想)

「喋々喃々」とは“男女がうちとけて小声で楽しそうに語りあうこと”だそうです。
本当にそんな穏やかな空気の漂う、私の好きな雰囲気
日本の四季の美しさ、日本特有の文化の素敵さ、ご近所の人との密なお付き合い・・・・
いろんな面で日本の素晴らしさを堪能できる作品でもあります

前作の「食堂かたつむり」同様、食の魅力もタップリ〜〜
下町ならではの美味しそうなもの、家庭的なメニュー、季節感のあるもの、
なんでもかんでも美味しそうに思えてくる〜

けど、やっぱり所詮は「不倫モノ」なんだよなー。
不倫モノにありがちなドロドロしたものは感じなかったけど、
それでもそれでも春一郎さんには奥様と子供がいるのです・・・。
二人のほのぼの穏やかな時間の影には、
で帰りの遅い春一郎さんを待つ奥さんと子供が存在する・・それ考えるとキツイ
だけどなー、たとえ結婚していたとしても、どうしようもなく惹かれてしまう人に出会うことって
誰にだってありうると思うんですよ。
さすがに体の関係までいっちゃったら、それはどう弁解しても不倫でしかないのだけど、
でもちょっとね、ちょっとだけ喋々喃々するのも不倫になってしまうの?
私は栞さんと春一郎さんの関係、途中まではそう思っていた。
この穏やかな関係を不倫なんて思いたくなかった。
奥さん視点で考えたらめちゃ悔しいのはわかっているんですけどね。
普段から着物で生活してる女になんて絶対にかなわないもん
でもね、なんだか栞さんと春一郎さんって認めてあげたいような気がするんだよね。

もしこの春一郎さんの設定が「独身男性」だったのなら、
☆は5つつけていたかもしれません。
(でもそれじゃ味がなくなるのかな?)
レトロな町を着物姿ででシャンと歩く栞さん、その横には春一郎さん。
そんな光景を想像するだけで幸せな気持ちになれました
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:02 | category:    小川糸 |
# 絶望ノート
評価:
歌野 晶午
幻冬舎
¥ 1,680
(2009-05)
コメント:暗すぎる話なのに読みやすい・・・不思議な作品でした

JUGEMテーマ:小説全般
● 絶望ノート / 歌野晶午 
● 幻冬舎
● 1680円
● 評価 ☆☆☆☆
中学2年の太刀川照音はいじめにあっていた。
体が小さいのも理由の一つだが、なによりも大きかったのは名前。
ジョン・レノンが好きな父親がつけた「照音(しょおん)」という変わった名前、
そして略すると「タチション」だということ・・・。
照音はその苦しみ、両親への不満を「絶望ノート」と名づけた日記帳に書き連ねていた。
そんな苦しい日々の中、ノートに「死ねばいいのに」と書いたクラスメートたちが
次々と怪我をしたり死んだりと不幸に襲われる。
不審に思った警察は両親と照音本人を取り調べるが・・・・・・。



(感想)

日記形式で綴られる残酷いじめ物語。
タイトルからしてダークで、手にとるのにも勇気がいりそうな本ですが・・・
とんでもない悪意にまみれながら気が滅入りつつも、なぜか読みやすいんだよな。

いじめを受けている中学生が、そのいじめの内容と恨みを綴ったノート。
息子からセロハンテープを借りようと机を開けた母親は偶然にもそのノートを見つけ、
そこではじめて息子がいじめにあっていることをしるのだけど、
歌野作品だけに、そこに綴られていること自体が真実かどうかすらあやしい・・・。
書いてあることをそのまんま信じちゃうか、疑って読むかでだいぶ違うと思う。
すべてが伏線なんじゃないかとビクビクしながら読んだりして(笑)
信じていたものさえ、読んでいくうちにグラついてくるし、
人物の印象もコロコロと変わってきます。

歌野さんといえばポカーンとしちゃうような「大ドンデン返し」。
これにも期待して間違いありませんっ
まさかそこまでつながっとるかーっ!?と意外なところにつながった点もあって、
畳みかけるように衝撃がきた!やー、驚かされました。

それにしても父親がいい年して常日頃からジョン・レノンのコスプレしてるって・・・。
それだけでもいじめの対象になるし、子供グレても仕方ないわ
照音くんには心から同情
| comments(0) | trackbacks(0) | 15:28 | category:    歌野晶午 |
# 週末ジャパンツアー
評価:
杉浦 さやか
ワニブックス
¥ 1,365
(2007-03)
コメント:着眼点がステキなイラストエッセイ☆

JUGEMテーマ:読書
● 週末ジャパンツアー  / 杉浦さやか
● ワニブックス
● 1365円
● 評価 ☆☆☆☆
こけしまつりでフィーバー、琴電に乗ってうどんめぐり、大人の京都に乾杯し、
大雲大社で神だのみ、郡上の徹夜踊りに酔いしれて、蒸して蒸されて九州温泉レトロ旅
かわいいイラストで綴るさやか印の懐かし手づくりジャパンツアー



(感想)

大好きな杉浦さやかさんのイラストエッセイ。
さやかさんならではの視点で巡るレトロでかわいい日本全国の旅。
今回は舞台が日本なので、身近に感じられるのもいいですね〜。

さやかさんの着眼点が好きです
忙しい日々の中じゃ気づかずに見過ごしちゃうような、ささやかなことにもしっかり着目されている。
それがまたすべて私のツボなの。
かわいいー、面白い、思わずクスッとしちゃうようなほのぼのほほえましい世界
目をつけるポイントが、さやかさんのゆるかわいいイラストとうまくマッチしてるんだ

いちばん胸キュンしたのは「ハトヤで慰安旅行(静岡県・伊東)でした
ここに目をつけちゃうとこがさやかさんらしーよ
ここはお土産はもちろんホテルの備品もすべてハト尽くしなのですねー、かわいい。
ハトモチーフ探すのだけでも楽しそうそれだけでも行ってみたい

「宮城県鳴子温泉」は私の住む所から1時間程度で行ける距離。
何度も行ってるはずなのに、気づかなかったかわいさ&面白さをこの本で再確認
次に行くのが楽しみになってきました。絶対、この本を持っていこうっ

かわいいや面白いは身近にもあふれている。
常にさやかさんみたいなアンテナを張り巡らせておけば毎日が楽しくなるよねっ。
毎日を楽しくするヒントをもらいました
 
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:04 | category:    杉浦さやか |
# 夜の朝顔
評価:
豊島 ミホ
集英社
¥ 480
(2009-06-26)
コメント:思い出にすら残らないような記憶のカケラ

JUGEMテーマ:小説全般
● 夜の朝顔 / 豊島ミホ
● 集英社文庫
● 480円
● 評価 ☆☆☆☆
刺激のない田舎に住む小学生のセンリだが、気になることは山積みだ。
身体の弱い妹への戸惑い。いじめられっ子への苛立ちと後ろめたさ。
好きな男の子の話題で盛り上がる女子の輪に入れない自分。
そして悔しさの中、初めて自覚した恋心・・・・・
思春期の入り口に至る少女の成長過程を繊細にすくいあげた、懐かしく、胸の痛みを誘う物語。



(感想)

子供のころのことを思い出したときに、
まっさきに浮かぶような思い出深い出来事ではなく、
記憶の奥底に沈んでしまっているような小さな小さな出来事もある・・・。
この本はひとりの少女のそんな出来事を丁寧に描いた物語です。

私、豊島さんの描く女の子にはシンパシー感じるんです。
クラスの中心にいるわけではなく、
他の女の子たちに比べると恋やおしゃれに目覚めるのも遅くって、
ゆっくり自分のペースで歩いている子。
嫌われているわけじゃないけど、なーんかそのことで他の子たちにからかわれてるような気がしてる子。
私もそういうポジションだったもん
こんな普通の目立たない女の子にスポットを当てるのが豊島さんらしくて、
はたして彼女がどんな子供だったのか・・・簡単に想像出来ちゃいますよね

子供のころは気が合うとか合わないよりも、家が近いかどうかが仲良くなるポイント。
でも、成長して自我や個性が芽生えてくると「あ、この子とは合わないかも・・・」と気づく。
子供はその気持ちがなんなのかわからない。
そんな子にはじめての恋なんて気持ちも理解できるはずがない。
その不器用さを少しずつ認めて、理解して、
自分のものにしていくってことが「大人になる」ってことなのでしょうか。

大人になった今、
子供の頃なんて悩みも心配もなかったように思えるけど、実際はそうじゃなかった。
大人が「なんだ、そんなこと」って思うようなことにも必死で必死で悩んでた。
大人は自分でなんとかできるけど、子供には自分ではどうしようもできないことが多すぎる。
もしかしたら今よりも子供の頃がずーっと深く悩んで、一生懸命生きていたのかもしれないなぁ。

こういう些細な出来事も、残さず大切に胸にしまっておけるような子供の苦労のわかる素敵な大人になりたかった。
あとがきによると、豊島さんはあのころの記憶をしつこいくらいに覚えているらしい。
少なくとも私よりは豊島さんの方が子供心は理解してそうだ(苦笑)
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:55 | category:    豊島ミホ |
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