# モダンタイムス
2009.06.24 Wednesday
評価:
伊坂 幸太郎 講談社 ¥ 1,785 (2008-10-15) コメント:近未来という設定が生きてないような・・・ |
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● モダンタイムス / 伊坂幸太郎● 講談社
● 1785円
● 評価 ☆☆☆
「勇気はあるか?」 29歳のシステムエンジニアである私の前で、見知らぬ男がそう言ってきた。
どうやら彼は私の妻からの依頼で、拷問しようとしているらしい。
私は「勇気は実家に」と言いかけたが、言葉を止めた・・・・。
ネット検索からはじまる監視の恐怖を描く近未来サスペンス。
『モーニング』連載の長編小説を書籍化。
(感想)
私はそれほどつながりがあるとは思えないけど、一応「魔王」の続編といわれる作品です。
現在から50年ほど未来の話で、
ネットの技術は進歩しているものの庶民の生活自体に今とそれほど大きな変化はナシ。
近未来小説としては味気ない。
謎を解くカギがジョン・レノンの曲や「クロウ」だとか「駅馬車」という映画にあるのは伊坂さんらしいけど、
こんな今見ても古い映画を使うなら、あえてこんな近未来の設定にする必要はあったのか疑問。
近未来を描いておいてこれは卑怯でしょう
正直、最後まで夢中になる要素はなかった。
これ以前に伊坂さんの本を読んで事のある人はガッカリするんじゃないかなぁ。
テーマ自体は面白そうなのに、伊坂幸太郎が書いたのに、なんでこんなに面白くないんだろう。
これもある意味、すごいと思う。
けど、仕事が細分化され、
人が物事の一部分を担うにすぎない状況がこんなに怖いとは考えたことなかった。
自分が知っているのはたった一部分にすぎず、
全体を見渡してみると実はとんでもないことに加担してた・・・なんてこと実際にもありそう
タダモノじゃない奥さんや浮気相手の正体は最後までわからず、
著者本人を思わせる人物が出てくるなんてのも阿部和重さんとかがやってるし、新鮮味がない。
いろんな点で残念な点が残る。
でも、「勇気があるか?」って問いかけ・・・ドキッとしますね。
はっきり「イエス」と答えられる人はそういないんじゃないかな。