隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 君が降る日
評価:
島本 理生
幻冬舎
¥ 1,365
(2009-03)
コメント:島本理生の書く女の子はどうしてこんなに痛々しいんだろう

JUGEMテーマ:小説全般
● 君が降る日 / 島本理生
● 幻冬舎
● 1375円
● 評価 ☆☆☆
恋人・降一を交通事故で亡くした志保。
事故の原因をつくったのは降一の先輩の五十嵐で、彼は降一の代わりに降一の母の喫茶店を手伝うことになる。
彼の存在を受け入れられない志保だったが、同じ悲しみを抱える者同士、少しずつ二人の距離が近づいていき…。
「君が降る日」他、二編収録。 



(感想)

「君が降る日」「「冬の動物園」「野ばら」の3編を収録。

島本理生ってどうしてこんなに痛々しい話しか書かなくなっちゃったんだろう。
最近は読んでて辛いです。

恋人を亡くしたことから、ゆっくりと立ち直っていく志保。
自分の不注意で友人を失い、その痛みを抱えて生きていくことになる五十嵐。
悲しみの種類は違えど、そのことで距離を縮めていく2人・・・。
福岡に行った五十嵐に会いに行っちゃう志保にイライラ

志保には幸せになってほしい。・・・・でも、降一のことも忘れないでほしい。
五十嵐にだって前を向いて、降一の分も生きて欲しい。
でも、降一が私の大切な人だったら、何があっても私は五十嵐を許すことはないだろう。
大切な人を失ったことのある人は、100%立ち直れるなんてことは絶対にない。
その傷も抱えての自分として生きていかないと。
前を向いて生きていても、悲しい記憶は忘れず、自分を形造る要素としていくべきだと思う。

いちばん好きなのは「野ばら」。
祐と佳乃は恋には発展しないものの、仲が良すぎる2人。
佳乃は祐の兄に淡い好意を抱くようになるものの、彼は意外な人物とくっついてしまう・・・。

最後の一文がズシンと重たい。
 
「私達は、あの雪の日から、別れると言えない関係を紡いでいたのだと、初めて気づいた。
  ただ一つの、好き、だけが欲しい思春期にとって、
  それがどんなに棘だらけの野ばらだったか、私は知らなかった。」
“別れると言えない関係”・・・・・これってすごーい適切で切ない表現。
男女間の友情って、
相手にほんのちょっとだけでも恋をしていなければ成立しないんじゃないのかな。
誰でも、これが恋なのか友情なのか、わからないような関係に揺れたことがあるはず。
祐が佳乃に谷崎俊太郎のあの詩が好きだと言ったことは、ある意味告白だよね?
あの時、すぐに佳乃にあの詩を見せていたらっ
「君が降る日」の二人だって、
何か一つでも二人の未来が重なり合うような小さな出来事があれば、変わっていた気がする。
ああ、人生ってこんなことの繰り返しなのかもね。

どのお話も、もう少し先が知りたいようなお話でした。
彼らはどんな未来を歩くのだろう。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:09 | category:    島本理生 |
# どこから行っても遠い町
評価:
川上 弘美
新潮社
¥ 1,575
(2008-11)
コメント:どこから行っても遠いような、近いような・・・

JUGEMテーマ:小説全般
●  どこから行っても遠い町 / 川上弘美
●  新潮社
●   1575円
●  評価 ☆☆☆
家族ではない二人の男が奇妙に同居する魚屋
女にだらしのない父親と次々と入れ替わる父親の恋人を見て大人になっていく少年、
裸足で男のもとへ駆けていった魚屋の死んだ女房・・・
東京の小さな町の商店街を舞台に、
そこに生きる人々のひそやかなあやうさと幸福を描く連作短編集。



(感想)

近くにありそうで、でもきっとどこにもない・・・そんな商店街。

商店街にある魚屋さん、肉屋さん、八百屋さん、小料理屋さん、
そしてそこを利用する買い物客の人たち・・・。
「あけみ」さんみたいな女の人はどこの町にも必ずいそう(笑)
“ロマン”のようなお店も日本中に数え消えないほどあるだろう。
でも、ひとつの町を形作る小さな要素の一つ一つにはそれぞれの物語があり、どれも違う。
何気ない表情で魚の切り身を買っていく平凡そうな人にもその人だけのストーリーがあるのだ。
そんな粒のかけらを切り取った作品です。

特別、印象に残るようなエピソードの詰まった作品集ではない。
でも、それが平凡な人の人生を素朴に切り取っているような気がして逆にリアリティありました。

最後の1ページが妙に沁みる〜
「あたしの人生、捨てたものじゃなかったです。」
何気なくても、こんな風に感じられる感性を持っていたい。

私の住んでいる町にも、私が子供の頃には確かに活気があり賑わう商店街がありました。
毎日、夕方になると買い物に出かけ、商店街で買えないものはないほどだったのに、
今、その商店街はすっかりシャッター通りとなって寂びれ、
交通手段がない老人たちが利用するだけとなってます。
だからこの本のように魚は魚屋で、肉は肉屋で、野菜は八百屋で買い、
買い物によって町の人たちと親しくなっていくような暮らしが私にはとってもうらやましい
古き良き、そして、なくしたくない日本の風景を描いた作品とも言えますね
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:37 | category:    川上弘美 |
# 本日、サービスデー
評価:
朱川湊人
光文社
¥ 1,785
(2009-01-21)
コメント:荻原浩さんっぽいなぁ

JUGEMテーマ:小説全般
● 本日、サービスデー  / 朱川湊人
● 光文社
● 1785円
● 評価 ☆☆☆
全ての人にはそれぞれに平等に一日だけ、すべての願いが叶う日がある。
それが、「サービスデー」。神様が与えてくれた、特別な一日。
本来はその日がいつなのかは教えてもらえないはずが、
セクシーな悪魔のイタズラで思いがけず知ることになったら・・・・・。
あなたなら何を祈る幸せを呼ぶ短編集。



(感想)

なんだか荻原浩さんっぽい作品でした。
「世にも奇妙な物語」にもありそう
でも・・・私が好きな朱川さんらしさは今回は出てないな

やはり読み応えがあるのはこの本の半分くらいをしめる表題作「本日、サービスデー」でしょう
全ての人に平等に、たった1日だけ与えられているという“サービスデー”。
自分ならこの1日をどう過ごそうか・・・と楽しい空想に浸りながら、
しかし自分の幸福が他人の不幸につながる場合もあることを実感しつつあれやこれや考えてしまった(笑)

んー、どの作品にも共通するのは「詰めの甘さ」。
圧倒的な読後感の悪さか、心が温まるような美しいラストか・・・。
そのどちらともとれない中途半端な仕上がりに満足度は低いです。
| comments(0) | trackbacks(0) | 09:22 | category:    朱川湊人 |
# ちょいな人々
評価:
荻原 浩
文藝春秋
¥ 1,600
(2008-10)
コメント:人生がもうちょい良くなるように頑張る人たち

JUGEMテーマ:小説全般
● ちょいな人々 / 荻原浩
● 文藝春秋
● 1600円 
● 評価 ☆☆☆
会社の若い女子社員の褒め言葉に有頂天になる中年課長、
隣の庭木がウチの敷地まで伸びてきているのに悩む主婦、
脱サラして占い学校に通って占いを学んだ占い師、
いじめられっ子と一緒に復讐する市のいじめ相談員など、
今よりほんのちょっとだけ幸せになるために頑張るついてない人達。
破天荒だけど健気に頑張る普通の人たちのユーモアワールド。



(感想)
人生の悲哀をブラックな笑いを込めてうつしだす短編集。
荻原さんお得意のジャンルなので面白かったんだけど新鮮味はナシ
“前にも読んだことがあるような・・・”みたいな気がしてしまう。
この系統がまた続いたらいつかは飽きちゃいそう

どのお話の主人公も今よりもちょっとだけ幸せになろうと奮闘します。
少しやりすぎちゃったり、空回りしたりもするんだけど、どうも憎めないんだよなぁ。
笑っちゃうんだけど、どこかに人生の悲哀も感じられて
ついつい主人公たちを応援したくなります

「くたばれ、タイガース」みたいな人間関係は現実にたくさんありそう
「犬猫語完全翻訳機」も実際にあったらこんな悲劇が待ち受けていそうでコワ〜

表紙のイラストは益田ミリさん。
イラストの力の抜け具合が作品とうまくマッチしててバランスいいなと思いました
| comments(0) | trackbacks(0) | 09:24 | category:    荻原浩 |
# WE LOVEジジイ
評価:
桂 望実
文藝春秋
¥ 1,500
(2009-01)
コメント:都会から来た青年が巻き込まれる田舎の町おこし!

JUGEMテーマ:小説全般
● WE LOVEジジイ  / 桂望実
● 文藝春秋
● 1500円
● 評価 ☆☆☆
後輩の自殺の原因は自分の裏切りにあると考えた売れっ子コピーライターの岸川は、
誰にも言えない責任を感じ、孤独を求め、華やかな都会の生活と仕事を捨てて過疎化の進む田舎へ引っ越してきた。
しかし村を愛する、熱心でちょっと頼りない地域活性課職員の池田に強引に勧誘されて、
町おこしに乗り出す羽目に…
過疎、高齢化、外国人労働者・・・現代社会の様々な問題を抱えた村が息を吹きかえす



(感想)
都会から田舎に引っ越してきた元コピーライターが村の地域おこしに巻き込まれていく地域再生ストーリー。
過疎化する村、高齢者問題、外国人労働者の厳しい労働問題・・・
現代社会が抱えている様々な問題を織り込んでいるのですが、
それを一気に解決しようという力技ともとれるような強引な作品という印象です。
比較的短めの作品なのに盛り込みすぎだなぁ
魅力的なキャラも多いし、面白くなる要素はたっぷりなんだから、
もう少し長編でじっくり書くべきだったのかも。

田舎の良さは十分に描かれています。
濃密な人間関係を築かなければ生きていくことができない田舎
孤独にのんびり暮らしたい・・・無理です。
嫌でも生活の中に周囲の人々が侵食してきます(笑)
そのウザったさがウザさを超えて、かけがえのないものになっていく過程は自然でうまい

でも、せっかくの地域おこしのゲーム輪投げの様子にドキドキも臨場感もないんだよなぁ
ゲーム輪投げはたしかに子供から老人まで平等に楽しめるゲームでなんだから、
もう少しここにボリュームが欲しかった。

押さえどころはいいけど、いまいち盛り上がりにかけるのがもったいない作品でしたね。

| comments(0) | trackbacks(0) | 11:45 | category:    桂望実 |
# わくらば追慕抄
評価:
朱川 湊人
角川グループパブリッシング
¥ 1,785
(2009-03-26)
コメント:「わくらば日記」の待望の続編!!

JUGEMテーマ:小説全般
● わくらば追慕抄 / 朱川湊人
● 角川書店
● 1785円
● 評価 ☆☆☆☆
人や物の「記憶」を読み取れるという不思議な力をもった姉の鈴音と、お転婆で姉想いの妹ワッコ。
二人の前に現れた謎の女は、鈴音と同じ力を悪用して他人の過去を暴き立て、
鈴音に激しい憎悪を燃やしていた。
女の名は御堂吹雪・・・その冷たい怒りと憎しみに満ちたまなざしの理由は・・・。
昭和事件簿「わくらば」シリーズ第2弾。



(感想)
「わくらば日記」の続編です。
「わくらば日記」を読んだ時から絶対に続編が出ると信じてました

子供のころ、姉さまの不思議な力で謎を解いたあの頃から、もう50年近い年月が経ちました。
ワッコちゃんが当時を回想する形でノスタルジー感は前作の良さはそのまま、
古い時代の良さが味わい深く描かれています。

今回のポイントは新しい重要キャラクター・『薔薇姫』こと御堂吹雪でしょう
姉さまと同じような力(しかも姉さまよりも能力は高い)を持つ薔薇姫は、
その力を姉さまのように人のために使うのではなく、人の弱みを握ることに利用し悪事を働いています。
姉さまとは子供の頃に対面したことがあったらしく、姉さまとワッコちゃんに対して怒りを燃やしている。
でも、二人はその理由に思い当たらない・・・。

薔薇姫は強烈なキャラクターで、この人と姉さまとの戦いが今作のメインになるのかと思いきや、
彼女の出番は思ったほどは多くはなく、なんだかせっかく持ち出された問題を放置されたような感じ
彼女の謎はまだまだ多く、何にも解決していません。
どうやらこれは3作目への布石
シリーズ3作目は絶対にあると思います

過去に何があったとしても、
これからはまっすぐに生きて行こうする人々の真摯な思いが胸に響きます。
人の優しさがまぶしい作品。
その中に黒く咲き乱れる薔薇姫の存在が、今後を大きく左右しそうです。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:58 | category:    朱川湊人 |
# ファミリーポートレイト
評価:
桜庭 一樹
講談社
¥ 1,785
(2008-11-21)
コメント:読むのが苦痛でした(-_-;)

JUGEMテーマ:小説全般
● ファミリーポートレイト / 桜庭一樹
● 講談社
● 1785円
● 評価 ☆☆
ママの名前は、マコ。マコの娘は、コマコ。
それが、ママの人生の脇役にすぎない私にもっともふさわしい命名法。
若々しいママは美しく、若く、七色に輝いている。
でも、どうしようもなく残酷・・・。
この世の果てまでいっしょ・・・呪いのようにつながる母と娘の物語。



(感想)

読み続けるのが苦痛でした。
暗くて、光が見えなくて、気が滅入ります。

母に連れられ、日本中を点々と逃げるように生きてきた駒子。
学校にも通わせてもらえず、普通や常識とは何かを知らずに大きくなってしまった。
しかし、母との突然の別れにより、普通の世界で生きていくことになります。

前半の逃亡生活の部分は老人だらけの村、葬式婚礼、目の見えない大家さん・・・など幻想的な雰囲気も漂う。
でも後半は社会からはみ出して生きる苦痛がにじみ出ていて、より暗さも増す。

虐待されても、きっと駒子にはそれがひどいことだとは思えなかった。
ママと駒子、お互いだけがすべてでつながっていた2人。
ママと駒子の距離感は、「私の男」の親子のそれと似てるなぁ。
あまりにも濃い血、どす黒いどす黒い粘り気すらするような血。

ラストで赤いビキニを着て、若い生命力を発してキラキラと輝くママを見た駒子が、
これから自らも母となるにあたって、何か光のようなものを感じてくれたらと思います。

唯一、強く共感したのは駒子と恋人になる真田先生が言った言葉。

「幸福から立ち直れ」

生きるって何かをどんどん得ていくだけじゃなくて、失うことでもある。
幸せな思い出をいつまでも抱えたり、
幸福のぬるま湯の中でのんびりと生きることがいいこととは限らない・・・そういうことだよねぇ
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:08 | category:    桜庭一樹 |
# W/F ダブル・ファンタジー
評価:
村山 由佳
文藝春秋
¥ 1,780
(2009-01-08)
コメント:女としてこのままでは終われない・・・その気持ちはわかるけど。

JUGEMテーマ:小説全般
● W/F ダブル・ファンタジー / 村山由佳 
● 文藝春秋
● 1780円
● 評価 ☆☆☆
奈津・三十五歳、脚本家。
尊敬する男に誘われ、初めて抑制されていた自分の性欲に気づく。
そして女を利用し、嘘を平気でつける男たちの本質にも・・・。
女としてまだ間に合う間に、この先どれだけ身も心も燃やし尽くせる相手に出会えるだろう。
そのためなら―そのためだけにでも、誰を裏切ろうが、傷つけようがかまわない。
そのかわり、結果はすべて自分で引き受けてみせる。
奈津は決意の末に家を出る。



(感想)
女性のための官能小説というかんじでしょうか。けっこうきわどかったな。
電車の中とか、誰かに本の内容を脇からのぞかれちゃうシチュエーションでは恥ずかしくて読めない

35歳、女としてこのまま終わりたくない。
自分の女としての部分をこのまま眠らせたまま年をとりたくない。
こういう気持ちはこの年頃の女性なら誰しも持っていると思うんですよ。
気持ちはわかる。
でもこんな風に近づいてくる男なら来るもの拒まずで、次々と男を変えるのには共感できない。
彼女が欲しいのは心の相性が合う男ではなく、体の相性が合う男。
でも私には自分が女として輝ける時があとわずかなのに焦りを感じ、
暴走してしまった女の話としか思えません。

目の前に現れた男性と次々に関係していって、「選ぶ」ということのない節操のなさ。
どの男性もまるでタイプの違う人ばかりで男性カタログみたいだけどいい男は一人も載ってない
奈津は心じゃなく体で恋をしていった。
物語の最後に奈津が行き着いた男性・・・これがいちばん胡散臭い
彼女の体の放浪はこのあともずっと続いていくんだろうな。

奈津は確かな実力のある人気脚本家。
それなのに男と交わるなんてことで自分の価値を確かめようとしたのが悲しい。
もっと他に自分を見極める手段はたくさんあったはずだよ・・・。
こんなことで実感できた自分の価値なんて、本当に誇れるべきものじゃない。
女って男の人以上に「女としての人生」とかそういうことを深く求めようとしますよね。
その行き過ぎた(間違っている)形を見せられたようなそんな読後感が残ります。
| comments(2) | trackbacks(1) | 11:19 | category:    村山由佳 |
# アイスクリン強し
評価:
畠中 恵
講談社
¥ 1,575
(2008-10-21)
コメント:起こった事件とお菓子がまったく絡み合ってない・・・

JUGEMテーマ:小説全般
● アイスクリン強し/畠中恵
● 講談社
● 1575円
● 評価 ☆☆
ビスキット、チヨコレイト、アイスクリン、シユウクリーム、スイートポテト・・・。
明治維新直後の東京で孤児として生まれ育った真次郎は、念願の西洋菓子屋を開いた。
そこには今日もまた、甘い菓子目当てに若い元幕臣の警官達がやってくる。
彼らは菓子作りの修業に精を出したい真次郎に、厄介事を次々と…。
著者の魅力全開!明治の築地居留地で繰り広げられる「スイーツ文明開化」騒動記。



(感想)
食べ物と日常のミステリーを絡ませた小説ってけっこうある。
そういう本は“謎解きを楽しみたい欲求”と“本を読んで美味しい食べ物も味わいたい欲求”、
どちらも満たしてくれるはずなんだけど、
残念ながらどちらの欲望も満たされませんでした。
読んでいる間、一度も「ああ・・・スイーツ食べたいなぁ」と気持ちにならなかった。
これじゃあ食べ物を描いた小説としてダメだよね?

「チョコレイト甘し」
「シュウクリーム危し」
「アイスクリン強し」
「ゼリケーキ儚し」
「ワッフルス熱し」
と、各章のタイトルに西洋菓子の名前が入っている連作短編集。
しかし、そのわりにタイトルとなっているお菓子とその章で語られる事件に関連性がありません。
物語の設定自体は、特にスイーツ大好きな私のような女性には最高に魅力的なんだけど、
それをうまく活かしきれてない
各章で描かれる事件の真相もこれといってインパクトもなく・・・。

登場人物も魅力に欠け、せっかく本のタイトルと表紙のかわいらしさで
面白そうな雰囲気はしてたのに残念で仕方ありません。
| comments(0) | trackbacks(2) | 19:30 | category:    畠中恵 |
# 悼む人
評価:
天童 荒太
文藝春秋
¥ 1,700
(2008-11-27)
コメント:自分が「悼まれる人」にならないとわからないかもなぁ

JUGEMテーマ:小説全般
● 悼む人/天童荒太
● 文藝春秋
● 1700円
● 評価 ☆☆☆☆
全国を放浪し、死者を悼む旅を続ける坂築静人。
彼を巡り、夫を殺した女、 人間不信の雑誌記者、末期癌の母らの人生とは・生とは・死とは。
はたして彼は聖者なのか、偽善者か?生と死が交錯する至高の愛の物語。



(感想)
天童荒太さんらしいテーマですね。
悼む人・・・彼のやっていることが死者にとって喜びになるかどうかは今の私にはわかりません。
この世の生を終え、自分が「悼まれる人」になった時にしかその答えはでないでしょうね。

自分が死んでも誰かに自分の存在を覚えておいてほしい。
でも、それが見ず知らずの人となると・・・・・ちょっと違うような
かたくなに物事の一面だけをみて悼んでいる静人には違和感を覚えます。
自分の知らない誰かにまでも無償の悼みなんて、私には一人間にできることではない。
唯一、これができるのは神だけだと思います。

むしろ私は静人の生き方よりも、巡子の旅立ちのほうに心を動かされました。

私には静人のようなことはできない。
でも、せめて自分のまわりの人の死は心から悼める人になろう。
生きてる者にとっても、死んだ者にとっても、それだけで十分なのではないのかなぁ。

静人の旅にはたして終わりはあるのでしょうか・・・。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:42 | category:    天童荒太 |
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