●マガジンハウス
●1470円
●評価 ☆☆☆
主人公は、大手書店チェーンに勤める今井翔子(26)。
本が好きでこの職業に就き、入社6年目にして文芸コーナーのチーフに大抜擢される。
チーフ就任後、はじめて手がけることになったのは「ケータイ小説フェア」。
本好きなら誰もがそうであるようにケータイ小説のヒットに違和感を抱いている翔子は戸惑うが、
試しに読んでみた一冊のケータイ小説の中でただ一冊だけ心に残った作品があった・・・。
お金がなくては生きていけない? でも、お金では幸せになれない?
二人の男性の狭間で揺れる心・・・女性の生き方、本当の愛について問う。
(感想)
このタイトルはズルイなぁ
これがお店に並んでたら本が好きな人(特に女子)なら、確実に手に取ってしまう・・・。
でも実際に読んでみると、普段本をたくさん読んでいる人が満足できるようなものではない。
どっちかというとケータイ小説を読んでいる層が好みそうな軽い恋愛小説。
「書店員」って言葉に騙されました
もっと書店独特の静かな雰囲気や、本の香りがしてくるような味わいがあるものを描いていたんだけど
別に「書店員」に重きは置いてない。
貧乏ヒマなしで現在も将来も定まらない不安いっぱいな彼とギクシャクし出したところに、
成功していて誰もが憧れるリッチな男性からのアプローチ。
さぁ、どっちを選ぶって・・・ありがちな恋愛モノでしょ・・・。
翔子の選択にも意外性がなくて、きれいにまとめたかんじ。
本が大好きで書店員になった翔子にとって、
店長から「本は作品ではなく、商品だ」といい切られることはわかっていてもキツいこと。
私も含め、今の文芸の流行や書店の変化に違和感を抱いている本好きも多いだろうけど、
本を職業にしてしまったことで生じるジレンマ、
好きなことを逃げ場所にすることができない書店員の苦しみは私達の比じゃないな
多くの書店員さんがこの本に大きな期待を込めて読み、その結果ガッカリした姿が目に浮かびます。