# あねのねちゃん
2008.10.29 Wednesday
JUGEMテーマ:小説全般
●あねのねちゃん/梶尾真治●新潮社
●1575円
●評価 ☆☆☆
幼稚園のころ、極端に人見知りをした玲香には、
他の人には見えないけど、自分には見えるたった一人の友達「あねのねちゃん」がいた。
少しずつ友達ができはじめるとあねのねちゃんは消えて行き、
今はそれが想像の産物だと分かるが、当時は唯一の友達だった。
ところが、大人になり、失恋の痛手を負っていた玲香のもとに再び「あねのねちゃん」が現れる。
ファンタジックに展開するあなたの友達の物語。
(感想)
イマジナリー・コンパニオン。
孤独な状態におかれている子供が、その境遇を補填するために作り上げる想像上の友人。
小さい頃に仲良く遊んで、玲香の孤独を埋めてくれた実在しない友人「あねのねちゃん」が
大人になった玲香の元にあらわれたことによって起こる騒動を描いています。
表紙もタイトルもかわいいから心温まるファンタジーかと思いきや、意外とブラックでした。
あねのねちゃんは玲香とはまったく正反対の性格で、
玲香が思いもつかない(できない)ようなことを平気でしてしまう残酷な面もある子で、
あねのねちゃんが玲香を傷つけた上司や元カレにするお仕置きは、
「おいおい・・・」と引いてしまうほどやりすぎ(>_<)
でも、あねのねちゃんは言ってのける。
「私がしてることは玲香ちゃんがしたいと思ってるのにできないことよ」と・・・。
こんな風に玲香は自分の本心をあねのねちゃんによって突きつけられていき、
このへんが大人の小説なのかなと思いました。
んー、でもお母さんの正体とか、お母さんとあねのねちゃんの戦いの場面あたりは
もう完全にマンガかB級映画みたい
映像ならまだしもこれを大人に活字で読ませるとは・・・。
これってもともとはケータイ小説の単行本化らしいし、
これじゃやっぱり一般の読書ファンから「所詮ケータイ小説なんか」って思われるのも仕方ないですね
無邪気だけどきちんと筋が通っていて、
100%自分の味方をしてくれるあねのねちゃんに再会したことで成長した玲香。
最後の彼女は見違えるほど強く、自分をもった女性になっていて、
終わりは気持ちのいいものでした。
あねのねちゃんのためにも玲香には幸せになってほしいです