隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# サウスポイント
サウスポイント
サウスポイント
よしもと ばなな
JUGEMテーマ:小説全般

サウスポイント/よしもとばなな
中央公論新社
1575円
評価 ☆☆☆☆☆
子供の頃、母に連れられで夜逃げをした。
その時、大好きだった男の子に残してきた手紙メールの一節が、
ハワイアンの美しい調べにのり、
大人になり、その男の子とも疎遠になってしまった私の耳へ届く。
私はハワイアンを奏でるミュージシャンムードとのコンタクトを試みるが・・・。



(感想)
子供のころに強く強くひかれあったテトラちゃんと珠彦くんの2人が
大人になって再会する物語です。
あくまでメインはこの2人の奇跡のような恋なんだけど、
珠彦くんの家族は一年前に弟の幸彦くんを亡くしていて、
その悲しみの中で生きている。
私はそちらサイドのストーリーの方に共鳴してしまいました。
涙が止まらなかった。
これを書いている今だってとまらない。
私も弟を半年ほど前に亡くしたので、
この家族の悲しみと虚無感は今の私のそれと同じなんです。
なんだか今の私の思いを代弁し、
そしてこの事実をゆっくりと納得させてくれるような安心感と説得力がある。
今、この作品に出会えたことに感謝します。

死んだ弟の恋人だった人と
どうつきあっていくのかというのも・・・わかるんだぁ。
弟を失い、さらに彼女までをも失うのはつらい。
でも、弟がいなくなってしまった今、
彼女は私たちとは関係のない別の人生を歩かなくてはいけない。
すごくいい子だった。
本当はこれからもずっとずっと仲良くしていきたかった。
でもいつまでも私たち家族をかかわりを持つことは
彼女のこれからの恋愛や結婚に大きく影響してしまう。
そう思って彼女とも永遠のお別れをしなければならなかったことを思い出し、
またまた泣けちゃったポロリ
だからマリコさんにも、弟の彼女だった人にも
素敵な人に出会って幸せな結婚指輪をしてほしい。

「じっくりとあきらめていくのは、
たまになにもかもが昔に戻ったような、
これからなにもかも良くなっていくと錯覚させるような希望の瞬間があるぶん、
急にあきらめることの何倍も悲しいということを私は知った。」

という一文があった。
私もこんな気持ちだったかもしれない。
でも、私にとってあの時間は悲しいだけでなく、
ゆっくりとさよならをするために大切でかけがえのない時間でした。

よしもとばななさんの世界は決してぶれない。
どこ作品を読んでも、言っていることはいつも同じ。
何気ない生活の中で何を大切にし、
どこを見つめていくことが幸福へつながるのかを気づかせてくれる。

胸が締め付けられるような、心を震わせる言葉にあふれていて心が洗われる。
ばななさんの本を読むと魂がツルッと磨かれたような気がするニコニコ

今回は作品の本当のテーマとはちょっとズレたところにひっかかってしまったので、
他人が読んだらまったく参考にならない感想なのかもしれない。
すいません。
けど、許してね。



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
ハチ公の最後の恋人/よしもとばなな
まぼろしハワイ/よしもとばなな
| comments(2) | trackbacks(0) | 14:35 | category:    よしもとばなな |
# ゴールデンスランバー
ゴールデンスランバー
ゴールデンスランバー
伊坂 幸太郎
JUGEMテーマ:小説全般

ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎
新潮社
1680円
評価 ☆☆☆☆
数年前、アイドル宅家に入った泥棒を捕まえ、
顔がイケメンだったこともあり、
一躍時の人となった宅配ドライバー・青柳雅春。
そんな青柳が再び世間から注目されることに・・・。
しかし、彼はかつてのようにヒーローではなく、
首相暗殺の容疑者として国民の前に現れたのだった。
絡み合う伏線、忘れ難い会話。
伊坂幸太郎のセンスを濃密にちりばめた書き下ろし長編。



(感想)
物語のごく最初にわかることなので書いてしまいます。
青柳雅春は犯人ではありません。
国家権力と思われる巨大な陰謀により、
まったく身に覚えのない首相暗殺というとんでもない罪を着せられ
仙台の街を逃げて逃げて逃げまくるお話です。

ありえない展開なんだけど、
「逃げろー逃げろー」と手に汗握って読みましたおはな
500ページもあるなんて思えないくらい一気読みラッキー
青柳が絶対にやってないって読者は知ってるから
ただひとつ「彼が逃げのびること」だけを祈って読むことができる。

ひとつひとつのカットが映像カチンコを見ているかのように
鮮やかに浮かぶ。
きっと映像化されるだろうなぁニコニコ

んー、でも傑作ではない汗
ウィットに富んだ会話や物語の随所にちりばめられた伏線は
伊坂幸太郎そのもので、やっぱりセンスのいい作家なのは間違いない。
今回のこの作品はあまりにも都合がよすぎて、荒い。
警察に何度の手から逃れることができたり、
おかしいなって思うことが多数(笑)
もともとの知り合いならまだしも
普通、テレビテレビで大事件の容疑者として報道されてる男を
助けようとする人がこんなにいるのかって疑問[:ふぅ〜ん:]
でも、このことが情報に惑わされずに、
大事なことや真実を自分で見極める眼を持つことの重要さを
教えてくれるんだよね。
自分の含め、みんな情報を鵜呑みにしすぎなのかもね。

管理社会の恐ろしさ。
でも、もしかしたらここまで管理されてもおかしくはない
時代になるのかもしれない。
むしろ、ここまでしないと不安で町も歩けないような
世の中になってしまいそうで怖いですひやひや
| comments(0) | trackbacks(1) | 10:48 | category:    伊坂幸太郎 |
# 一瞬でいい
一瞬でいい
一瞬でいい
唯川 恵
JUGEMテーマ:小説全般

一瞬でいい/唯川恵
毎日新聞社
1785円
評価 ☆☆☆☆
稀世と英次は軽井沢の、未来子と創介は東京の高校生学校
未来子と創介が子供の頃から毎年、
軽井沢の別荘に遊びに来るのをきっかけに親しくなり、夏をずっと一緒に過ごしている。
高校生活の記念に浅間山への登山を計画した4人だったが、
そこで起こった事故が4人の運命を変える・・・。
事故の重みを胸に秘め、大人へと成長してゆく彼ら。
著者が自らと同年生まれに設定した主人公たちの18歳から49歳までの
人生の軌跡を描く31年間のラブ・ストーリー。



(感想)
浅間山への登山の途中、英次が事故死。
恋に青春に、そして夢に一番輝いていた時期に起こったその悲劇は残された3人の人生に大きな影を落とします。
「もし自分があの時・・・」とやり場のない後悔を抱えて生きることになる3人。
この物語は残された3人の31年間を描きます。

贖罪・・・。
英次の死という同じ苦しみを抱え、
3人の中には恋なんて言葉では片づけられないほどのつながりを得る。

未来子と稀世の会話の中に
「楽しいことがあると、私にはその資格があるのかって後ろめたくなるの。
おいしいものを食べた時は、英次は食べられないのにって辛くなるの。」
という部分があった。
大切な人を亡くすと、楽しさや喜びさえも悲しみにつながる。
人生の喜びのすべてに対して後ろめたさを抱く。
私もこういう考え方をしてしまう性格なんだけど、
もし彼らが(そして私も)もっと前向きに、
亡くなった人の分まで幸せになることが自分の務めなのだと思えたら
もっと別の生き方ができたんじゃないかなと思います。

けど、3人の生き方、私は間違っているとは思わないし、むしろ好き。
最後は嫉妬も遠慮もなく、思うがままの選択をした3人はすがすがしい。
年を重ね、彼らの人生を変えた軽井沢で過去を思い出しながら
お酒ワイングラスが飲めるのだから
それだけで悪い人生ではなかったと言える。
年を取らないとわからないこと、選べないこともある。
年を重ねるのも悪くはないのかも猫2



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
カシオペアの丘で/重松清

| comments(0) | trackbacks(0) | 10:50 | category:    唯川恵 |
# ブランケット・キャッツ
ブランケット・キャッツ
ブランケット・キャッツ
重松 清
ブランケット・キャッツ/重松清
朝日新聞社
1575円
評価 ☆☆☆☆
契約期間は2泊3日。
生まれた時から慣れ親しんだ毛布さえあれば、
どこででも落ち着いて眠ることができる7匹のかしこいレンタル猫たち。
料金は決して安くはないが、申し込みが途切れることはない。
「いま」を生きる人の孤独を癒す猫ちゃんたちの心温まる7つの物語。



(感想)
子供のできない夫婦、ガン、いじめ、フリーター、
老人介護、リストラなど
猫を借りに来る人々はそれぞれ今の日本で大きく問題視されているような
悩みを抱えています。

猫との数日間によって「気づき」や「発見」を得る人たち。
あくまで猫は脇役だけど、
猫という存在が家庭にプラスされることによって、
家族は自分たちに欠けているものに気づく。
レンタル猫ちゃんたちは借り主に
「自分だけの心のブランケット」を教えてくれるのです。


私たち夫婦は子供がいないので、
子供を作ることのできない夫婦が猫で寂しさを埋めようとする
「花粉症のブランケット・キャッツ」はまるで自分たちのことのようでした。
私たちのような夫婦には夫婦の間で決して言ってはならないこと、
望んではならないことは確かにあります。
それを指摘されるようで、これを読むのは心をえぐられるようにつらかった。
重松清さんが作品の中で見せるまなざしはいつも優しく、
今の日本をうまく描いているなと思うけれど、
本当に現実にその問題に直面している人間にしてみれば
ストレートすぎて辛いという一面もありますね・・・。
(「カシオペアの丘で」を読んだ時も辛すぎてそう感じました。)

猫ちゃんたちの毛布に値するようなものを私も見つけたい。
それを知ってる人こそが強くなれるのだと思います。

7つの短編のうち、
1つだけ猫目線で書かれているものがあるのが良かったですおはな
| comments(2) | trackbacks(2) | 11:19 | category:    重松清 |
# 乳と卵
乳と卵
乳と卵
川上 未映子
乳と卵/川上 未映子
文藝春秋
1200円
評価 ☆☆☆
JUGEMテーマ:小説全般
姉の巻子とその娘・緑子が上京してきた。
その目的は巻子が豊胸手術を受けるためだという。
豊胸で頭がいっぱいな巻子。
そして、まったく言葉を話そうとしない緑子。
3人で過ごした痛快な3日間を描く。




(感想)
芥川賞受賞作の表題作を含む全2作。

「ああ、いかにも芥川賞選考委員が好きそうな作品だ」
、というのがまずは感想。

もう今や若手作家に使い古された(パクられた?)感のある
句読点の少ない文章とテンポには今更新鮮味は感じないけど、
この人の言葉選びのセンスは結構好きかも猫2

表題作ももう一編の「あなたたちの恋愛は瀕死」も、
女として生きることの生き苦しさを感じさせる。
母であること、娘であること、姉であること、妹であること。
そして女であること・・・。
豊胸・初潮・メイク・・・などのキーワードから
女らしくあることに対する恐怖、嫌悪、
逆に女らしくなりたい願望までも描き出しています。
描き方はややこしいんだけど、
特に「乳と卵」の方は言いたいことはものすごーくシンプルな作品です。

「あななたちの恋愛は瀕死」は
文学なのか、哲学なのか、モード系っぽさなのか、
とにかく何かを狙ってるっぽい空気がプンプンして作為的。

でも「乳と卵」のクライマックスの卵のシーンは迫力あったな。
卵を割るたびにこの場面を思い出しそうで、
ちょっとしたトラウマたらーっ
ちょっと鼻につく点もある作家なんだけど、
こんなインパクトのあるシーンを描ける新人ってやっぱり凄いのかもしれない
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:53 | category:    川上未映子 |
# 鼓笛隊の襲来
鼓笛隊の襲来
鼓笛隊の襲来
三崎亜記
鼓笛隊の襲来/三崎亜記
光文社
1470円
評価 ☆☆☆☆
JUGEMテーマ:小説全般

戦後最大規模の鼓笛隊が近づいている。
避難もせず、義母をとともに自宅家へ残ることにした園子一家は
果たして無事にのりきることができるのか――。
表題作ほか書下ろし1編を含む全9編の傑作短編集。



(感想)
三崎さんの発想の面白さは相変わらず猫2チョキ

台風ではなく鼓笛隊が襲ってくる。
公園のすべり台として本物の「象」がやってくる。
自分の住む町の上空を浮遊する町に住む彼との遠距離恋愛。
比喩ではなく、本当に「仮面」をかぶって生活する人々。

・・・などなど、
私たちにとって当たり前になっている
日常の断片をちょっと置き換えただけで、
こんなに不思議で違和感のある世界が生まれるなんて!!

この本の登場人物たちはこの違和感をなんとか受け入れて生きている。
それは案外、簡単なことなのかもしれない。
私達が当たり前に思っている常識なんて、
もしかしたら簡単に揺らいでしまうものなのかもしれませんね・・・。

私たちの暮らすこの世界の裏側には、
もしかしたらパラレルワールドのように
こんな世界も存在しているかもしれない・・・。
いや、私達が気づいていないだけで、
この世界のどこかでひっそりとこんな不思議な出来事が起きているかも??
ありえない設定の作品集なのに、
なぜかそんな風に思えました。
| comments(0) | trackbacks(0) | 13:48 | category:    三崎亜記 |
# 星へ落ちる
星へ落ちる
星へ落ちる
金原 ひとみ
JUGEMテーマ:小説全般

星へ落ちる/金原ひとみ
集英社
1155円
評価 ☆☆☆
ひとつの恋がはじまった。
しかし、2人にはそれぞれ別の恋人がいる。
元彼の部屋を出て、「彼」と付き合い始めた「私」。
「彼」が女と浮気をしていると知り、自殺を考える「僕」。
突然去った「彼女」を待ち続ける「俺」。
愛するほど孤独になる、三人の絶望と激情。



(感想)
つきあいはじめたばかりのカップル。
しかし二人にはそれぞれ恋人がいる。
彼女には彼氏が、そして彼にも彼氏が・・・。
この四角関係の唯一の女性である主人公と、
捨てられてしまうことになる2人の男性失恋
3人の視線で描く連作短編集です。

3人はそれぞれ見えないライバルの影におびえている。
もうこれは恋愛というよりは依存に近く、読んでいて痛々しい。
恋愛小説ラブなのに恋の喜びや幸せはまったく感じないあせあせ
恋愛って相手があるから難しい。
好きになればなるほど、気持ちは穏やかなものではなくなって
危険な方向へ向かっていく。
これは自然にあり得ることだから余計に痛い。

3人の気持ちは描かれているのに、
四角関係のもうひとりの人物に関しては
何を考えているのかまったく描かれることはない。
みんなコイツのせいで苦しんでいるのにどんっ
もどかしいムニョムニョ
でも一人、そういう人がいるのも想像力が刺激されて、
演出としては面白いよね。

自分が好きになった人も、
自分を好きになってくれる確率なんて
よく考えて見れるとすごーい奇跡なんだポッ
それに改めて気づきました。

このテーマと描き方って、
この人の作品の中では最も一般の理解を得やすそう。

でもやっぱりどうしたって「金原ひとみらしさ」って消えない。
この人の描く主人公は
いつも同じ人なんじゃないか?って思わせるほどみんな似ている。
それだけでなく、金原ひとみ自身にそっくり!!
著者を知らずに読んだとしても、
おそらく私は金原ひとみだってわかってしまう。
これっていいことなのか、悪いことなのか・・・。

あ!
金原さんが男性視点の作品を書くのは
はじめてなんじゃないかな?
JUGEMテーマ:恋愛小説


| comments(0) | trackbacks(0) | 11:14 | category:    金原ひとみ |
# さよなら、そしてこんにちは
さよなら、そしてこんにちは
さよなら、そしてこんにちは
荻原 浩
JUGEMテーマ:小説全般

さよなら、そしてこんにちは/荻原浩
光文社
1575円
評価 ☆☆☆☆
主婦向けの高視聴率番組テレビで紹介される
“身体にいい食品”に日々翻弄されるスーパーの仕入れ担当者。
若い妻と愛娘にクリスマス・パーティーツリーをねだられる住職。
実は笑い上戸の葬儀社社員など、
さまざまな職業の裏側にある悲哀を切り取った作品集。



(感想)
もうすぐ子供が生まれる、笑い上戸な葬儀屋。
有機農法の農業植物をはじめるべく、都会からど田舎に引っ越してきた家族。
健康番組で取り上げられる食品に日々翻弄される、スーパーの仕入れ担当者。
子供向けの戦隊ヒーロー番組の登場人物に夢中になる主婦。
自分の腕を信じているのに、売り上げにつながらないことにイラつくすし屋店主。
スローライフを売りにしているのに、
まったくスローじゃない忙しい日々を送る料理研究家ディナー
家族にクリスマスツリーをねだられる僧侶。

みんなそれぞれの職業や役目に一生懸命だ。
どのシチュエーションも大変つらい状況で、
そのつらさは十分に理解できる。
でも・・・笑ってしまうんだよなぁ猫2
必死さゆえに滑稽。
ユーモアの中に人生の悲哀を感じさせる作品は
荻原浩さんの得意分野。
どの作品もニヤリとしてしまうような毒と笑いがある。

うまくいかないからこそ、人生。
けど、みんなそれぞれしっかり生きている。
みんなこうして頑張っているんだな〜ニコニコ



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
神様からひとこと/荻原浩
| comments(0) | trackbacks(2) | 10:29 | category:    荻原浩 |
# サクリファイス
サクリファイス
サクリファイス
近藤 史恵
JUGEMテーマ:ミステリ

サクリファイス/近藤史恵
新潮社
1575円
評価 ☆☆☆☆
勝つことを義務づけられた〈エース〉と、
それをサポートする〈アシスト〉。
冷酷に分担された競技、自転車ロードレース自転車
初めて抜擢された海外遠征で、僕は思いも寄らない悲劇に遭遇する。
それは、単なる事故のはずだった――。



(感想)
自転車ロードレース・・・。
これを読むまでまったくルールを知らなかったのでかなり驚き!
これってチーム戦だったのね〜。
チームには勝つことを義務づけられたエースがいる。
そして彼を勝たせるためにサポートするアシストがいる。
アシストはエースのためならば、
たとえ自分の優勝を犠牲にしてまでもエースのために働かねばならない。
・・・と、このルールを知って「うっそーん!」と思ったのが正直なところ。
アシストはエースの犠牲?
じゃあ、なぜ個人の順位があるのさ????
とにかく私のようにロードレースに無知な人間は、
納得のいかないこのルールにただただ驚きです。

同じチームなのに、
誰が何を考えているのかわからないというもどかしさ。

アシストであっても、自分の力を見せつけて優勝したいという葛藤。

どう判断することが正解なのか?
答えの見つけられないもどかしさが読んでてたまりませんっ!

けど、言ってしまえば、
このページ数で詰め込み過ぎ&底が浅すぎと感じる部分もいくつかある。
香乃と袴田の件とか・・・汗
でも、それも許せるほどの読み応えがあるのも事実。
ミステリーとしても迫力があって、
最後の最後に真実がわかった時には、
「サクリファイス」というタイトルが重く重くのしかかってきます。

一度、ロードレースをしっかり見てみたい。
実際の勝負の駆け引きを見ないことには、
この作品の真髄には触れたとは言えない気がします。



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
自転車少年記/竹内真
| comments(0) | trackbacks(0) | 00:53 | category:    近藤史恵 |
# 仏果を得ず
仏果を得ず
仏果を得ず
三浦 しをん
仏果を得ず/三浦しをん
双葉社
1575円
評価 ☆☆☆☆☆
主人公は太夫を語る大夫・健。
人間国宝の師匠や変わり者の三味線弾きに鍛えられながら芸を磨く毎日。
演じる人物を深く理解することが、
芸を磨く上で何よりも大切なことだがそれが相当難しい。
さらに芸が未熟な上に恋の渦にものみ込まれ・・・。
芸に恋に悩みながら健は成長していく。
直木賞作家が描く、伝統芸能の世界。



(感想)
正直、「文楽」と言われても
「どういうのだっけ?」と思ってしまうほど伝統芸能には無知な私ですが、
読んでいくうちに「ああ、あれのことか〜」とわかり、
難なく楽しめましたウィンク
漫画チックな表紙は期待を裏切ることなく、
軽いテンポで描かれているのでとっても読みやすいのです。
読む前はこの分野には知識も興味もないだけに、
きっと読むのに相当苦労するだろうなと思っていたけど、
楽しすぎて全然そんなことなかったグッド

長い修行を積んで一人前になるということは
何も芸能の世界に限ったことではなく、
だからこそ読者の理解も得やすい。
主人公が恋に悩む姿もユーモラスに描いてて、
ニヤニヤしつつ読んじゃいました猫2

銀大夫師匠や兎一郎さんのキャラクタ−も鮮やかで楽しい!
かなーり笑わせてもらいましたわ。
兎一郎さん、好き猫2
これ、映像化しないかな〜カチンコ

自分にはなじみのない世界を描く作品なのに、
ページを進める手が止められず一気に読み終えました!
当然ながら、文楽にも少しだけ興味を持ちました。
一度、きちんと見てみたいなぁニコニコ


●この本が好きな人におすすめなのは・・・
しゃべれどもしゃべれども/佐藤多佳子
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:11 | category:    三浦しをん |
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