隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 富士日記(上)
富士日記〈上〉 (中公文庫)
富士日記〈上〉 (中公文庫)
武田 百合子
JUGEMテーマ:文庫

富士日記(上)/武田百合子
中公文庫
980円
評価 ☆☆☆☆☆
夫で作家の武田泰淳、娘の花(現在は写真家カメラとして活躍している)と
ともに富士山麓富士山で過ごした13年間の記録。
無垢な心でとらえたユーモアあふれる文体で克明に写し出し、
思索的文学者と天性の芸術家の組み合わせが面白いユニークな日記。



(感想)
先日、小川洋子さんのラジオ番組で紹介されてました。
本上まなみさんも以前この本のことを書いていて、
それを読んだ時からいつか読みたいと思っていました。

武田泰淳・百合子夫妻は普段は都会で暮らしているけれど、
たまに富士山麓の別荘に遊びに来ます。
その時の様子を13年間も記録したもので、
上巻では昭和39年7月から41年の9月までです。

出版するために書かれたものではなく、
あくまで日々の記録として書かれたものだそうです。
心情を切々と綴るのではなく、
富士での生活の様子(食べた物おにぎりとか買い物リスト財布、周囲の人と話したこと)をただ克明に記録し、
たまに百合子さんはなく、ご主人や娘さんが書いている部分があるのも微笑ましいラッキー

日々、ただ綴られる家族の様子。
何事もない平凡な日々の記録にこんなにも幸福を感じられるなんてぴかぴか
食事だってたいしたものは食べてないし、
うどんとトーストパンを一緒に食べたり、
すごく食べ合わせが変な日もある。
けど、その気ままさ、おおらかさが妙に心地よくて、
その辺にこの作品の人気の秘密があるんだろうなぁと感じる。

百合子さんはさっぱりしてて気持ちのいい人。
よく食べて、面倒見が良くて、料理上手、
素晴らしい観察眼、そしてユーモアもある。
百合子さんの人間性にいつしか読者はひかれてしまいます。
洗って干していた桜エビを乾かしているうちに食べたくなって
結局、食べてしまった百合子さんが大好きですおはな
41年9月7日の夫婦喧嘩の時の百合子さんもサイコーです猫2

家の環境整備など修理の人がたびたび訪れているし、
いちいちスバルラインのゲートをお金を払って通過しないとどこにも行けない。
富士山麓富士山での生活は決して住みやすい場所ではない。
でも、周囲の人々と仲良く助け合って、
家族だけでなくみんなと生きていることの楽しさが伝わってくる。
劇的な展開なんかまったくないし、
どんどんページを読み進めたいというわけでもない。
「面白い」とかそういうんじゃなくて「なーんか好き」。
心の奥にずっと大切に抱いていたいような本ですニコニコ
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:29 | category:    武田百合子 |
# 夜明けの街で
夜明けの街で
夜明けの街で
東野 圭吾
JUGEMテーマ:読書

夜明けの街で/東野圭吾
角川書店
1680円
評価 ☆☆☆
派遣社員として渡部の会社にやってきた仲西秋葉。
2人の距離は急速に縮まり、越えてはならない境界線を越えてしまう。
しかし、どうやら秋葉の家庭は複雑な事情を抱えているらしく・・・。
秋葉はもしかしたら犯罪者!?
それでも渡部の心境は揺れ動く。
果たして秋葉は罪を犯したのか。
まもなく、事件は時効を迎えようとしていた・・・。



(感想)
テーマは「不倫」。
ミステリーの要素もある作品です。

うーん、東野圭吾にしては中途半端で残念汗
2時間ドラマテレビのサスペンスみたいな感じ。
後半はグダグダでしたひやひや

「不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた」という渡部が
浮かれ気分でどんどん不倫にハマっていく。
自分に恋のチャンスが訪れるなんて思ってなかったのに
とまどいながらも突っ走る既婚男性の心理描写!
男性作家が書いてるからこそ女には思うところがある。
「あー、男って・・・」って女性読者は思ったでしょたらーっ
だって浮かれる渡部のバカさと真剣さは
女から見てヒジョーに「単純」なんだもん。
「不倫なんてやめろ」と言いつつも
渡部に協力しちゃう友人たちの姿にもそう感じちゃう(苦笑)

ラストの秋葉のあっけない選択と
有美子の怖さに男性読者たちは震え上がったでしょうね。
これには女性読者として小気味よくはあったけど、
どこかスッキリしないものも残ります。
本の残りページもまだ少しあるから
もう少し何かあるのかな?と期待していたのに
いきなり番外編がはじまっちゃったびっくり
あっけなく終わった本編・・・。
なんだか拍子抜けするラストでした。
しかも、ミステリーとしても弱いんだよなぁ汗

サザンオールスターズの「LOVE AFFAIR〜秘密のデート〜」から
イメージを膨らませた作品なのかなぁ。
そういえばこの曲が主題歌だったドラマ「スウィートシーズン」も不倫もので
すごーく好きだったのを覚えてるニコニコ
この本、サザンが好きな人は読んでみたらどうでしょうムード



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
スウィートシーズン(DVD)/出演・松島菜々子、椎名桔平
| comments(2) | trackbacks(0) | 12:07 | category:    東野圭吾 |
# 食堂かたつむり
食堂かたつむり
食堂かたつむり
小川 糸
JUGEMテーマ:読書

食堂かたつむり/小川糸
ポプラ社
1365円
評価 ☆☆☆☆☆
アルバイトを終えて家家へ戻ると、部屋の中はもぬけの殻だった。
同棲していたインド人の恋人がすべてを持ち出し、逃げてしまったらしい。
私に残されたのは祖母から受け継いだ「ぬか床」だけ・・・汗
途方に暮れた私はふるさとに戻り、
メニューのない食堂ディナーをはじめる。
お客は一日に一組だけ。
そこでの出会いと食のパワーが徐々にすべてを変えていく。



(感想)
大好きな草野マサムネさんが帯のコメントを書いているからという
邪な理由で読んだんだけど、
すごーく面白かったぴかぴか
ある種の価値観を持っている人にとっては
一生の宝物にもなり得るような素敵な素敵な本でしたニコニコ

食べること = 生きること。
食べること = 愛。

「食」の重要さ・ありがたさを教えてくれる本読書
食べるって単純にお腹を満たすことだけじゃない奥深いことなんだ。
自分の気持ちを料理で伝えることもできるし、
この世には広い世界が広がっていることを料理で伝えることもできる。
私は配偶者のために毎日ごはんおにぎりを作っているけど、
一食一食を心をこめてしっかり作ろう!と改めて感じました。

また、生きるために時には何かを犠牲にしなければならないこともある。
愛や美味しそうな料理があふれてほっこりと優しい作品なんだけど、
生の厳しさを残酷なほど生々しく教えてくれるエピソードもあり、
決してきれいごとだけじゃない、リアルを見せてくれる。
そこに真摯なメッセージを感じました。
著者は本当に料理と食べることを愛してるんだろうなぁ猫2

本の中に出てくる料理は単純に「おいしそう」と思うというよりは、
どんな味になるのか想像することも難しいような
想像力をかき立てられる、ひねりのあるメニューばかりラッキー
そのイマジネーションのくすぐり加減もまたいいっイケテル
「ザクロのカレー」とか
「同じ牛から取れた牛乳と生クリームとマスカルポーネで作ったティラミス」とか、
考えるだけでため息がでちゃうポッ
よっぽどのお料理好きでないと考えつかない料理ばっかりラブ

お店の様子をイメージするだけで楽しいぴかぴか
私もこのお店に行ってみた〜い。
こんなに幸せな気持になれた本は久しぶりでしたニコニコ
| comments(8) | trackbacks(1) | 11:18 | category:    小川糸 |
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