隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# グラデーション
グラデーション
グラデーション
永井 するみ
JUGEMテーマ:読書

グラデーション/永井するみ
光文社
1680円
評価 ☆☆☆☆
一つ一つ、迷ったらいい。
歩き続けていれば、日々は色濃くなってゆくものだからニコニコ
14歳、16歳、17歳、18歳、19歳、20歳、22歳、23歳・・・。
ある女の子の進学や恋愛、就職の悩み……
誰にでも訪れる当たり前のような出来事を自分らしく受け止め、
大人の入り口に立つまでを丁寧に辿る、心地よい成長小説。



(感想)
主人公の真紀は地味で平凡な女の子。
クラスメイトの女の子達がきゃあきゃあ盛り上がる
男の子の話題やゴシップめいた噂話は苦手。
そんな自分がひどくお堅い、
陰気な人間のような気がしてひそかに自己嫌悪に陥る・・・そんな子。
おおよそ主人公には向いてないタイプの真紀ですが、
私には強く共感できる部分が多く、愛すべき主人公でした(笑)

真紀のような子を見てくれている男の子がちゃんといること、
真紀の良さをすぐに見抜いてくれる同級生がいることを嬉しく感じ、
なんだか私自身が真紀になったかのように
すごくリアルに感情移入できたんですよね猫2

中学・高校・大学で真紀と仲良くなる女の子たちにも
それぞれに愛すべき点があって、
いつしか彼女たちのことも大好きになってました。
彼女たちとの関係、母や姉との関係・・・
女性なら必ずどこかで懐かしさを感じ取るアンテナが反応しちゃうはず。
女性向けの作品といえるのかな。

クラスの気の合わない女の子たちとの付き合いがうっとおしいとか、
友達に彼氏ができたことにプレッシャーを感じたりとか、
10代のころはそんなことが大きな大きな悩みだった。
そんな時代を懐かしく思い出してしまいました。

どの章もスパッと完結しているわけでなく、
どこか尻切れで物足りなさを感じてしまうように唐突に締めくくられます。
でも、読了した今になって思うと、
その作為的な書き方はとても意味のあることに思える。
真紀の人生は文章に描かれてない部分でも存在していて、
ここに描かれているのは
彼女の人生のほんと些細なエピソードにすぎないと感じさせるのに効果的。
より強く、彼女をリアルに感じさせます。

真紀は高校で美術アートの楽しさに触れ、
その方面の学校へ進むことになるのですが、
そうでなくてもこの「グラデーション」ってタイトルはいいなぁポッ
迷い、傷つきながらも、
どんどん自分という色を濃くしていく・・・だから「グラデーション」。
少しづつ自分色に色づいていく等身大の主人公が瑞々しい。
大きなドラマはないけど、
自分の近くにもいそうな誰かの青春をのぞき見るような心地よい作品でした。
| comments(4) | trackbacks(1) | 11:26 | category:    永井するみ |
# 吉原手引草
吉原手引草
吉原手引草
松井 今朝子
JUGEMテーマ:読書

吉原手引草/松井今朝子
幻冬舎
1680円
評価 ☆☆☆
吉原一の花魁・葛城。
なぜ彼女は忽然と姿を消したのか? 
遣手、幇間、女衒・・・人々の口から語られる廓の表と裏。
やがて隠されていた真実が少しずつ明らかになっていく……。
吉原を鮮やかに浮かび上がらせた、時代小説のあらたな傑作!
第137回直木賞受賞作王冠2



(感想)
吉原中を騒然とさせるような“何か”をやらかして、
忽然と姿を消した花魁・葛城。
彼女はどんな女であり、一体何をして吉原を去ることになったのか・・・。
ある人物が葛城とゆかりのある人物を訪ね歩き、
インタビュー形式で真実に近づいていくお話です。

もともと私が時代ものを苦手としているというのもあるのかもしれませんが、
使われている言葉は当然難しいし、
まったく引き込まれないままに最後のページまできてしまったような・・・。

15人強ほどの関係者へのインタビューで構成されているのだけれど、
その語り口が誰もこれもそっくりで個性が感じられない。
そのせいか一人一人のインタビューはわずか15ページ程度なのに
すごーく長く感じるのよ[:がく〜:]

キーとなる花魁・葛城。
彼女もあまりに完璧な女性すぎて、
生身の人間としての魅力を感じなかったのもマイナス要因ですかね。
吉原でトップに立つような女性ですから
激しい生き方をしてきたはずなのに、それも見受けられない。

吉原って場所柄、
人様には聞かせられないような男女の話がわんさかあるでしょう。
なのに、いくらいまは吉原にいない花魁の話題であるにしたって
みんな口、軽すぎ泣き顔
知らない人がいきなり訪ねて来てここまで話しちゃうなんてどうよひやひや
そのへんに違和感も感じちゃったんですよね汗

吉原が実際はどんなところであって、
花魁以外にはどんな役割の人がいて、
どのようなシステムになっているのかなど吉原のことが詳しくわかり、
この時代の様子を丁寧に調べて書かれているな〜という印象を受けました。
う〜ん、でも私はどうせ吉原ものなら
華やかな影にある花魁の苦悩や女同士の争いなどを生々しく描くような
作品の方が好みかなぁ。
これが直木賞かぁたらーっ
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:36 | category: 作家名 ま行 |
# 予定日はジミー・ペイジ
予定日はジミー・ペイジ
予定日はジミー・ペイジ
角田 光代
JUGEMテーマ:読書

予定日はジミー・ペイジ/角田光代
白水社
1680円
評価 ☆☆☆☆
出産赤ちゃんにはいくつものストーリーがあり、
悩みと笑い、迷いと決定が詰まっているのだろう。
私は天才ロックギタリスト、ジミーペイジの誕生日に母親になる予定。
だめ妊婦、ばんざい!
とまどいと切なさに溢れるマタニティ日記読書



(感想)
この作品はある面白いエピソードから生まれました。

妊娠にまつわる短編を書いた角田さん。
その作品が発表されると、これを角田さん本人の実話だと勘違いし、
沢山の人からお祝いプレゼントが贈られてきてしまったそうです(笑)
その面白エピソードから
「じゃあ、この短編を膨らませて長編も書いてみましょうおはな
ということでうまれた作品なんだそうです楽しい

よしもとばななさんなどは
自分の出産・子育て体験を本読書にしておられるので、
私も「おお、角田さんもついに・・・猫2」と思って
この本を手にしたのですが違うんですねたらーっ
私もお約束のように勘違いしてしまいましたあせあせ
角田さんは出産どころか妊娠もしてないそうです。

『妊娠は絶対的に正しいこと。
 そこにははめ込み式みたいに確固たる愛があり、
 自分達が赤ん坊を産んでいいのかなんて夢にも思わない。
 ・・・そういうところに行くと委縮する。』
主人公とマタニティ教室で出会う、ある妊婦さんはこんなことを言いました。

妊娠したことに気づいた瞬間に素直に喜べない。
これは素直な気持ちだと思います。
あくまで経験のない私の想像でしかないけれど、
喜び以前にまずはとまどうのが自然なんじゃないかな〜。
たとえ自分達が経済的にも状況的にも安心して産める環境にあったとしても、
気づいた瞬間から即「母」になれるわけじゃない。
もちろん、そういうお母さんもいると思うよ。
でもおそらく私にその時が来たら、
まずはこの主人公のように不安やとまどいが先に来ると思う。
でも、それは決してこれから母親になる人間として悪いことじゃない。
この本を読んでそう思えてなんだかホッとしましたニコニコ

お腹が目立つようになり、
赤ちゃんの動きを感じていくうちにその子に対する責任と愛情が芽生え、
出産までの準備を楽しく思い、
そうやってこの主人公のように体も心も徐々に母親になっていくのだと思う。
だから子供が生まれるまでに10か月という長い期間があるのかもねぇわーい
体だけでなく、心も母になる準備をするための10か月・・・
そう考えてもいいですよねニコニコ
私にもいつかあるかもしれないし、ないかもしれない。
その日をことを思うと、
学ぶべき参考になる心理を描いた本でした。

それにしても角田さん、妊娠してないのにここまで繊細な心理を描けるのね。
すごいな、やっぱ女の本能か!?
| comments(2) | trackbacks(0) | 11:54 | category:    角田光代 |
# 夜のジンファンデル
夜のジンファンデル
夜のジンファンデル
篠田 節子
JUGEMテーマ:読書

夜のジンファンデル/篠田節子
集英社
1575円
評価 ☆☆☆
友人の夫と過ごした危うい一夜月
形にならなかった恋の記憶が今夜二人の胸に甦る…表題作他、
郊外の団地ビルに引っ越した一家。
新しい環境に馴染もうと奮闘する夫妻が
行き着いた究極の家族の形とは(『コミュニティ』)。
日常にそっと入り込む不思議な出来事と奇妙な体験を描く短編集。



(感想)
表題作の「夜のジンファンデル」は
人気女性作家が勢ぞろいした短編集読書「恋愛小説」に収録されていた作品です。
この一編だけは再読ですが、他ははじめて読みました。
表題作だけが他と異色のような気がしますが、
全体的にはホラーとカテゴライズしてもいいような怖さ。
大人の雰囲気も香るブラックな味わいの短編集です。

「恨み祓い師」は背筋のうすら寒くなるような作品。
恨みを糧にして生きる・・・。
恨みってある意味ものすごく強大なパワーでもある。
言葉で言い表せないほどの重みがありました。

「絆」は最後の一文にすべてが凝縮され、
「永久保存」は一歩間違えればブラックコメディになってしまいそう。

でも、やはりいちばん不気味だったのは「コミュニティ」。
新しく団地ビルに引っ越してきた家族が、
その団地の行き過ぎた家族意識と
コミュニケーションの渦に飲み込まれていく様子を描いています。
団地って同じような経済状態の人たちが集まるので、
上手に付き合えばとても頼りになる関係を築けるものなのかもしれないけど、
コンプレックスの共有からうまれる仲間意識は不健康であり、
負のものしか生み出さないものなのかもしれない。
怖さと気味の悪さが共存に嫌悪感を覚え、後味が悪いたらーっ
でも、このうまさには脱帽です。

ひとつのジャンルの中で描かれているのに、
どれもまったく別の味わいがあり、読み応えのある短編でした。

| comments(0) | trackbacks(0) | 15:39 | category:    篠田節子 |
# 龍の棲む家
龍の棲む家
龍の棲む家
玄侑 宗久
龍の棲む家/玄侑宗久
文藝春秋
1200円
評価 ☆☆☆
JUGEMテーマ:読書

最近、父さんがぼけたようなんだ……。
兄からそう聞かされた幹夫は、実家で父と二人暮らしを始める。
徘徊のような散歩の途中で父との会話に苦しんでいる時、
2人は介護のプロ・佳代子と出会う。
部下や家族を演じるうちに二人は……僧侶作家があたたかく描く人の絆 。



(感想)
年老いて呆けがはじまり、徘徊をするようになった父。
それをきっかけに経営する喫茶店ホットコーヒーを閉め、介護に専念することにした息子。
2人が徘徊の途中に介護士の経験のある女性。
3人の物語です。

病呆になってしまった父親は
たとえ息子でもわからなくなる瞬間があります。
そのたびに彼らは部下となり、今は亡き家族となり、
彼らだけの「団らん」という形を作っていきます。

介護という問題は決して他人事ではありません。
いつ自分にふりかかってくるかわからない問題です。
呆けてしまった人に自分のことを忘れられるのはさびしいことだけど、
それでも家族であることに変わりはない。
介護のプロにとまなければならない部分はあるけれど、
家族にしかできないことだってきっとあるはず。
それを探して、してあげられるのが家族なんだと思う。

著者は僧侶でもある方です。
だからこその「教え」も感じ、
ゆるやかであたたかな時間の流れる本でしたニコニコ
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:22 | category: 作家名 か行 |
# 旅の途中
旅の途中
旅の途中
スピッツ
JUGEMテーマ:読書

旅の途中/スピッツ
幻冬舎
1500円
評価 ☆☆☆☆
スピッツ結成20周年にあたり、
結成からの足跡を辿る貴重な書き下ろし。
彼らがめざしてきたこと、守ろうとしてきたこと、愛してきたものは何なのか。
今や日本を代表するロックバンド・スピッツが結成されたのは1987年。
いまからちょうど20年前。
四人のそれぞれの胸に去来するスピッツへの思いとは・・・。




(感想)
私がスピッツに出会ったのは13年前のある秋の日の夕方です。
その日のことはとてもよく覚えていて、
その一曲ですぐに好きになったけど、
まさかその半年後にスピッツは大ブレイクぴかぴかして、
ミリオンセラーアーティスト王冠2になるなんて思いもしなかった。
でも、それよりもっと予想できなかったのは
まさか自分がその日から今日までの13年間、
そしておそらくこれから一生、このバンドと生きていくことになるってこと!

この本は以前、
ロッキング・オン社から出た単行本「スピッツ」とはまったく毛色の違うもので、
写真もなければ、装丁にお洒落な仕掛けがあるわけでもない。
シンプルに4人への長いインタビューを文章化した真摯な内容。

メンバー4人の出会い、インディーズ時代、念願のデビュー、
スピッツバブル、マイアミショック・・・そして現在。
この本はファンなら当然知っているであろうこの20年のエピソードに、
当時の彼らが何をどう感じていたのかを細かく肉付けしていくような本でした。
ファンが知りたかった彼らの本当の気持ちなどもとても丁寧に綴られてはいます。

・・・・でも、私には違和感がありました。
普段、テレビテレビや雑誌読書のインタビューで彼らに触れ、
ライブ会場で彼らの生の言葉を聞いているファンなら
最初の数ページを読めば「あれひやひや」って思うはず。
うーん、この違和感を表現するのは難しいけど
一人称で書かれているけど、どこか文章がよそよそしいんです。
「こんな言葉の使い方、マサムネはしないよ」とか感じちゃうような、
メンバーの血が通ってないような作文みたいな文章なんですよね。
4人それぞれの個性も文章からは感じられません。
インタビューそのままの、彼ららしい言葉で書かれていればなおよかったのに・・・。
ま、これはスピッツのメンバーが悪いわけじゃない。
彼らの言葉を構成して、まとめた人の失敗ですね・・・。

悲しいことに「ロビンソン」で売れたことでスピッツの苦悩ははじまります。
そして模索の中、やっと自分たちの音に近づけたその日に
あの「マイアミショック」が起こる。
でもその事件も、私がファンとして絶対納得できなかったあいのりテレビの主題歌の件も、
結果的にはバンドを良い方向へ導くきっかけとなっているから不思議です。
あれもスピッツがミュージシャンとして残っていく上で必要なことだったんですね。

私にとってどのアルバムにもそれぞれ好きなところがあって、
どれもすべてが大切なものだけど、
すべてがすべてを楽しんで作ってたわけじゃないってのは
聴く側には結構ショックかもひやひや
しかも、最もセールスの良かった時期のものほど苦労や迷いは多い。
この本は各章にタイトルがついてるんだけど、
そのタイトルに「幸福」とつくのはブレイク前のノッてた時期だけ・・・。
「ささかなな成功で十分だった」という言葉は今だからこそ重く感じる。
そして、ちょうどそれは私がスピッツに出会った時期と重なっている。
この時期のスピッツに引き寄せれた私はファンとしても幸せなのかもしれない。
13年間。たぶん家族の次に私にとって大事なものだった。
友達や恋人といるよりスピッツ聴いてた時間の方が長かった。
今の自分の感性と価値観があるのは間違いなくスピッツを聴いていたからだしね。

私たちは単純に新作CDがでれば喜び
「あの曲が好きニコニコ」「あれはイマイチ汗」と無邪気に批評するけど、
その一曲一曲の裏にはいろんな思いがある、苦悩がある。
それだけは覚えておかなきゃいけないね。

リーダーはいつもマサムネへの評価を惜しみなく言葉にする人です。
私はそのリーダーの素直さが大好きで、
リーダーのマサムネ賛辞に泣かされたことはもう数知れずあせあせ
この本読書も、最後はリーダーのそんな言葉で締めくくられる。
また今回もリーダーに泣かされちゃったよ。・゚・(ノД`)

この本を読んで、
久しぶりに古いアルバムCDも聴いてみたくなりました。
不思議なことにこれを読んで以降、
今まで聞き逃していた細かい音が自然に耳に入ってくるようになったびっくり
私もまだまだファンとして旅の途中。
これからもついていきますおはな



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
 スピッツ/スピッツ
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:31 | category: 作家名 さ行 |
# 日傘のお兄さん
日傘のお兄さん (新潮文庫 と 17-2)
日傘のお兄さん (新潮文庫 と 17-2)
豊島 ミホ
JUGEMテーマ:読書

日傘のお兄さん/豊島ミホ
新潮文庫
460円
評価 ☆☆☆☆
今でも鮮やかに蘇る、あの竹やぶの家家
幼い私子供はお兄さんと遊ぶときが一番幸福だった。
今、私は中学生になり、なつかしいお兄さんは目の前に立っている。
「追われているんだ。かくまってくれないか。」
なんとお兄さんは犯罪者としてネット上PCでマークされていて・・・。
こうして私とお兄さんのキケンな逃避行がはじまった。
まぶしく切なく、女の子のむき出しの想いを綴る4つの物語。




(感想)
私の腐女子的な部分がたまらなく順応ぴかぴか

言葉や題材の選び方はやっぱり「若い」。
文学作品としての質は?と問われるとちょっと厳しいけど、
10代の女の子や私みたいな妄想癖のある大人には
たまらないドキドキがある。
等身大の女の子である主人公たちの姿は輝いていて、
私たち文系女子のひそやかな願望をかなえてくれるような展開に
高鳴る胸を押さえられないっ泣き顔
落としてほしい展開にきちんと持っていってくれる気持ちよさ!!
この本読書を読んでいる間は、
30代の私も「10代の女の子」に戻れたような気がします。
おのトキメキが欲しくて、
私は今後、何度も何度もこの本を読んでしまうだろうなぁ。

作品としての出来は「あわになる」が格段に高いけど、
女子的願望をかなえてくれるのは「日傘のお兄さん」。
胸がしめつけられるようなまぶしいラストが待っていた
「ハローラジオスター」も好きです。

「日傘のお兄さん」は映像化カチンコしたら面白いだろうな。
すごい美形の俳優をお兄さん役にしてさ(ニヤリ猫2

あとがきによると、今回の文庫化にあたり大幅に書き直してあるようです。
「登場人物の名前は同じでも、性格はまったく異なる」など
かなり大胆に変わっているお話もあるようなので、
興味のある人は単行本の方と読み比べてみてはどうでしょうか?
(私は読んでみる。・・・中古で探さねば、あくまで中古で。)

やっぱり今回も「豊島ミホとは絶対仲良くなれる猫2って思えた。
もう2番か3番に好きな作家鉛筆2だわ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 09:18 | category:    豊島ミホ |
# 5
5
5
佐藤 正午
JUGEMテーマ:恋愛小説

5/佐藤正午
角川書店
1890円
評価 ☆☆☆
結婚八年目の記念日にもらったチケットでバリ島に訪れた中夫婦。
倦怠期を迎えた二人だったが、
常夏のリゾート地船に来ているのに手パーにしっかりと手袋をはめる女性と出会い、
ある出来事をきっかけに、愛の記憶を取り戻す事になるが・・・。



(感想)
佐藤正午さんの小説を読むのは随分久しぶり嬉しい
もともとエッセイから好きになった作家です。

倦怠期を迎えた夫婦が
姉が懸賞で当てた旅行チケットでバリへ行く飛行機
そこで夫は「妻へのかつての情熱を取り戻す能力」を身につけるのですが・・・。

大人の恋愛モノかと思いきや、
もう一人の主要人物である作家の津田の登場、
そして超能力どんっまで絡んできて、
後半までまったく方向性の見えない作品でした。
読了した今でさえ、
私はこの本をどんなジャンルの本なのか判断しかねてしまいます。

津田を担当する編集者の言葉に
「作家は信念を持って書くべき」というのがありました。
わかりやすい言葉で書いてはいないけど、
きっとこの作品はそれぞれが無意識の中に持っている
現在や過去の愛に対する信念を描いているのだと思います。
誰も中にでも、そんな大切な思いはあるはず。
それを押しつけがましくなく、
遠回りにだけど、さりげなく感じさせてくれる作品でした。

でもやはり著者が男性なので、
男性的な感覚で書いてあるような・・・。
女性には理解できない部分もあるかもしれませんたらーっ

両膝を立てた姿勢で寝るのは女としてダメでしょうかひやひや
私、たまにやっちゃうけどな汗
| comments(2) | trackbacks(0) | 12:13 | category:    佐藤正午 |
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