# ありがとう、さようなら
2007.10.30 Tuesday
ありがとう、さようなら (ダ・ヴィンチブックス)
瀬尾まいこ
●ありがとう、さようなら /瀬尾まいこ
●メディアファクトリー
●1260円
●評価 ☆☆☆☆
ついこのあいだ、3年生を送り出して胸を痛めていた私は、
今は1年生の担任となり、また胸をはずませている。
本当に学校というところは「ありがとう」と「さようなら」が
目まぐるしく襲ってくる場所。
辞めたくなることもあるけど、
それ以上に感動がいっぱいの学校生活
現役の中学教師でもある瀬尾まいこのエッセイ集。
(感想)
ダヴィンチで連載していたエッセイの単行本化。
作家であり、現役の中学教師でもある著者が学校生活を綴っています。
3,4ページ程度のエッセイが40編くらいのっていて、
ずっしりとした読み応えはないけど、あったか〜い気持ちになりました
学校の先生は中学生にとって家族の次に身近な存在です。
とにかくこの世代の子たちって、
背伸びをしたくて敏感で扱いにくそうに思えるけど、
先生のファッションや恋愛にやたらとつっこんでくるし、
性的な話題には異常に反応たりして案外かわいい
日頃、ニュースで話題になるような反抗的でねじ曲った学生はほんの一握りで、
実はほとんどの子がキラキラとした学生生活を送ってるんですね。
驚いたのは「ある日、生徒会長のS君とけんかをした。」という記述。
教師と生徒の間に「けんか」
教師が生徒をしかったとか、
生徒が反抗的な態度を取ったとかじゃなくあくまで「けんか」。
決して対等な関係ではない両者のいざこざを「けんか」と言ってしまうことで、
瀬尾先生の生徒に対する目線は決して教師としてのものだけじゃないっていうのがわかる。
時に教師、時に姉、時に友達・・・。
教師である前に、先生も一人の人間であるということを
学生時代の私はまったく考えたこともなかったように思います。
おそらくここには書けないような
おだやかじゃないエピソードも学校にはたくさんたくさんあるでしょう。
でも、瀬尾先生はここに書かれたような
楽しく幸せな出来事があるからこの仕事が大好きで、
瀬尾先生が生徒を愛していること、
また生徒が瀬尾先生を慕っていることははっきり伝わってくる。
彼女の小説は本当に好きだし、
できればもっと早いペースで書いてほしいのだけど、
教師の仕事も大切にしてほしいな〜。
それにしても、生徒の名前はイニシャル表記になっているものの、
読む人が読めば誰の話なのかすぐわかってしまいます。
そういうことが生徒的に保護者的にオッケーなのか疑問だけど、
悪い書かれ方はしてないからオッケーなのかな?
私、余計な心配してますか?
でも、見方を変えれば生徒にこんな素敵なプレゼントを贈ることのできる先生もいないよなぁ。
生徒たちはどう感じているんでしょうね。