# ハイドラ
2007.08.30 Thursday
ハイドラ
金原 ひとみ
●ハイドラ/金原ひとみ
●新潮社
●1260円
●評価 ☆☆☆☆
写真家の専属モデルであり、私生活でも密かに同棲をつづける早希。
だが人形のような無機質さを求める男との暮らしに、次第に蝕まれてゆく。
そんな早希の前にその閉ざされた部屋から彼女を引き出そうとする
翳りのない男が現われるが……。
堕ちてゆく痛みと無垢な愛への希求、自身への冷徹な眼差し。
クールさと瑞々しさを湛えた、新境地を拓く傑作長篇。
(感想)
自分とは絶対合わない。だからこそ気になる。
私にとって金原ひとみってまさにそういう人で、著作は残さず読んでます。
私なら絶対に描けない、
想像すらし得ない物を読ませてくれるんですよね〜。
写真家の専属モデルであり、私生活でも密かに同棲をつづける早希。
人形のような無機質さを求める男との暮らしに次第に蝕まれ、
自己も人間らしさも失っている女の子。
ある日、彼女の前に現れた男性が
光の見える真っ当な世界へ導いてくれようとする。
彼は「食べること」「笑うこと」の当たり前さを気付かせてくれ、
明るく笑う早希こそを愛してくれる。
噛んでは吐いてを繰り返し、当たり前の食を営むこともできず
写真家との生活とモデルの仕事にがんじがらめ。
無機質で異様な雰囲気を放ってしまうほど人間らしさを失っている早希。
たとえそれが人として自然な方向であって、進みたい気持ちが小さくあるとしても、
ここまで堕ちてしまうと軌道を修正することは難しいのだろうか?
最後の早希の選択・・・その歪んだ意思の強さに愕然としてしまいます。
戻れない道・・・こんなことに意思の強さを見せてしまう人間の弱さが悲しい
金原ひとみの本は新刊が出るたびに
以前より読みやすくなったと感じさせられる。
一般の人が引かないギリギリのボーダーラインを
著者自身がわかってきたということなのかな
でも、もうそろそろ
これまでとは全く違う世界を描く金原ひとみも見てみたいよ