隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 建てて、いい?
建てて、いい?
建てて、いい?
中島 たい子
建てて、いい?/中島たい子
講談社
1365円
評価 ☆☆☆
独身女、家家を建てる!
30代半ばの独身女性はある日、重大な決意をする。
それは、家を建てること——。
仕事よりも、恋よりも、結婚よりも、家……それは正しい女の生き方ですか?



(感想)
漢方やPMS(月経前症候群)など
女性特有の悩みや興味深いテーマを扱うのがうまい中島たい子さんの新作。

今度のテーマは「家家を建てる」です。

しかも独身の女性が自分一人で住むための家。

新聞の折り込みチラシメモに住宅の間取りのついているものがあると、
ついウキウキと「ここは私の部屋揺れるハート」「ここに犬犬をつないでおこう」などと
しばし空想の世界に浸ったことはありませんか?

独身女でも土地と建てるのに十分なお金や仕事があれば
家を建ててもいいはず。
なのに、どうして彼女たちが家を建てようとするとみんな驚くのだろう。

家は一生に一度の大きな買い物です。
でもあまりにも大きな買い物すぎて、
妥協しなきゃいけなくなる部分も多いのかもしれません。

でも女一人なら、家族の都合は考えることはない。
きっと家族のいる人よりも自分の好みの素敵な家を建てられるのかもぴかぴか

この本の中で「家」は「自分の居場所」を表しています。
主人公の建てた家は不思議な形の変わった家・・・。
何とも似ていない、自分だけの家・・・。
家を建てるということで彼女は自分自身をも見つけていきます。

私も彼女の建てた家をこの目で見てみたいなぁニコニコ
女一人でも何かができる・・・ちょっと勇気をくれる本でしたおはな
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:28 | category:    中島たい子 |
# 小袖日記
小袖日記
小袖日記
柴田 よしき
小袖日記/柴田よしき
文藝春秋
1600円
評価 ☆☆☆
会社の上司と不倫したあげくに捨てられた私は猛烈に腹を立て、
絶望し、部屋を飛び出した。
真夜中の公園で元気を取り戻そうとしたとき、
私の頭上で何かがパシッと鳴ったどんっ
目の前が明るくなり、体に大きく震えを感じ意識を失い、
・・・・次に目を覚ました時、私は平安時代にタイムスリップしていた!!
そして平安時代で「源氏物語」を執筆中の紫式部の片腕として働くことに…。
平安の世も、現代も、女は哀しくて強い。
「源氏物語」を彩る姫君たちをめぐる物語。




(感想)
時代はまったく違うけれど
恋をして、幸せになりたいという女性の想いは同じ。
しかし平安の女性は周りの決めた男性と結婚することが圧倒的に多く、
主人公は彼女たちの姿を見て女としての生き方を模索していきます。

それぞれのお姫さまがとても魅力的ですぴかぴか
時代には逆らえずに、不幸な運命を背負う姫さまもいるけれど、
どの姫さまにも時代を超えて理解できる「女だけがわかる共感」を感じられるニコニコ

個人的な好みで言っちゃうと、
もっと重厚に切ない物語に仕上げてくれた方が私は好きかも。
ラストが急ぎ足になっちゃったのも惜しいひやひや

歴史に詳しい人は歴史を冒とくしてると思ってしまうかもしれないけど、
無知な私にはそんなことはまったく気にならず。
小説を読むにあたり、私は時代モノが苦手な傾向にあるのですが、
これは軽いタッチなので比較的苦がなく読むことができました。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:14 | category:    柴田よしき |
# ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する―絶対に失敗しないビジネス経営哲学
ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する―絶対に失敗しないビジネス経営哲学
ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する―絶対に失敗しないビジネス経営哲学
島田 紳助
ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する―絶対に失敗しないビジネス経営哲学/島田紳助
幻冬舎新書
735円
評価 ☆☆☆☆
僕のビジネスは金儲けが目的ではないから常に冷静沈着で、
判断が鈍ったり目が狂うこともない。
店が成功するたびに、僕は自分にささやく・・・
「ほらな、僕は間違っていなかったやろと」。
25年以上も前から自らの手でビジネスを起こし、
未だに一つも失敗したことがない著者が明らかにする、
全業種応用可能な経済哲学!!



(感想)
ビジネスにおいて、顧客満足度は最重要であると思えるけれど、
紳助さんはそれよりも従業員満足度の方が重要だと考える。
たしかに従業員に過酷な労働や不正を強いるような職場であれば
内側から腐っていくのは必至であり、
嫌でもその悪い雰囲気はお客さんへと流れていく。

従業員の心からの笑顔の見える職場・・・。
お笑い芸人である紳助さんらしい考えですよねぴかぴか

後輩思いなところとか、
人間関係のうまさもビジネスに活かされてしね。

斬新な発想や遊び心を仕事にどんどん取り入れるところがさすが紳助さん。
自分が気に入ってるお店から素直にヒントをもらいつつも、
絶対に人と同じことはしない。
テレビでテレビ見られる紳助さんのイメージがちゃんとビジネスに反映されてるんだなぁ猫2

ビジネス本でありながらさらっと読めて、
どの業種の人にも参考になる本でした。

やっぱり島田紳助って頭いいっニコニコ
| comments(0) | trackbacks(0) | 09:53 | category: 作家名 さ行 |
# 神田川デイズ
神田川デイズ
神田川デイズ
豊島 ミホ
神田川デイズ/豊島ミホ
角川書店
1470円
評価 ☆☆☆☆
かっこ悪くていたたまれなくて、
アホみたいなうプライドとツユダクの自意識に潰れそうな日もあるけど、
ちょっぴり愛しい上京ボーイズ&ガールズのキャンパスライフ。
ついにきた!
豊島ミホ、ど真ん中の青春小説ラッキー



(感想)
もともと好きな作家だけど、
「この本読書絶対欲しい〜てれちゃう」と思ったのは
NHKテレビの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で、
装丁家・鈴木成一さんの仕事として取り上げてられていたから。

番組でこの装丁への思い入れと裏話を知り、書店へ走ったわけだけど
実物の装丁はテレビで見るよりずーっとかっこ良かった!!
普通、本って下の部分に「帯」が付いているけれど、この本に帯がないびっくり
通常、帯に書かれていうような事柄が既に表紙に印刷されてあるんですね!!
さりげなく斬新!
さすがあの番組で取り上げられるだけあるな〜と納得したのでした。

東京のある大学学校を舞台に、
そこの学生である若者たちのさえない青春を綴る連作短編集です。

彼らに共通するのは「大学生活を謳歌してない」こと。
自分が地味で目立たないヤツだって気づいてる。
そのことに劣等感を持ってる。
かっこいいこと、イケてることがすべてかのような大学生活の中で、
彼らは各々の手段で学生生活を楽しいものにしようと立ち上がろうとする。
でも、やっぱそんな奴らだからその手段も微妙にずれていて、
その外れっぷりが豊島ミホらしい地味さで笑いを誘います。

各章の主人公は男もいれば女もいて、学年もバラバラ。
でも、豊島さんのエッセイやブログを読んだことのある人ならきっと感じると思うんだけど、
みんなどことなく「豊島ミホの分身」みたい(笑)

「いつも“ほどほど”のところで我慢してた」とか、
ささいな心理の描写が私みたいな女にはチクチク痛いあせあせ

このテの若者を書かせたら豊島ミホの右に出るものナシッウィンク
ジミな自分に劣等感を持ってる諸君、この本で一緒に笑いましょうおはな



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
底辺女子校生/豊島ミホ
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:49 | category:    豊島ミホ |
# はじめての文学  浅田次郎
はじめての文学 浅田次郎
はじめての文学 浅田次郎
浅田 次郎
はじめての文学 浅田次郎/浅田次郎
文藝春秋
1300円
評価 ☆☆☆☆
私の小説はわかりやすい。
わかりやすく書くことをこころがけているから、自然にそうなる。
「俗」であっても「低」でない自信はある。
読めば、生きる勇気が湧いてくるラッキー
浅田次郎の世界にようこそ!!




(感想)
浅田次郎の世界は心にしみいり、優しい。
はじめて浅田文学に触れる若者たちへ捧げる作品集です。

5編の短編を収録。
中でも、ファンタジーの要素も感じさせる「シエ」が好き。
小さい頃から、ずっと一人でがんばってきた30代の女性。
ひとつひとつを自分で積み上げてきたのに、
最後の幸せ「結婚」だけは他人にもらわなくてはならないということに納得できず、
結婚に踏み切れない女性です。
彼女は「ひとりで頑張ってきた」というけれど、
言葉の端々に決して一人では生きられなかったことが窺える。
幸せってなんなのかしみじみと考えちゃいますニコニコ
不思議な動物・シエとの別れが悲しくもあたたかいおはな

途中で結末が予想できたとしても、
気持ちよく読み終えることができる。
それが浅田文学の素敵なところでするんるんるんるん
| comments(2) | trackbacks(0) | 16:01 | category:    浅田次郎 |
# 再婚生活
再婚生活
再婚生活
山本 文緒
再婚生活/山本文緒
角川書店
1470円
評価 ☆☆☆☆
仕事で賞王冠2をもらい、
山手線の円の中にマンションビルを買い、再婚までした。
恵まれすぎだと人は言う。
人にはそう見えるんだろうな、実際そうだしな。
でも私は鬱病になった。
夫婦という葛藤、涙する心と孤独の病・鬱。
やがて病んだ心はゆるやかに再生し、夫婦は家族になっていく。
山本文緒、3年の沈黙を破る告白日記。



(感想)
大好きな作家、山本文緒さんが
病気で苦しんでおられるというウワサは聞いていました。
だから、この本の発売を聞いた時は涙がこぼれる思いでした。

元気に過ごしていると思いきや、
次の日には薬に頼り、何時間も何時間も眠ってしまうアンバランスな日々。

王子(山本さんはご主人をこう呼びます)と一緒にいたい。
でも、自分の生活が王子に侵食されるのが怖い。
王子に非がないことはわかっているから、
こんな風に感じてしまう自分を責めてしまう。
楽しい時間を過ごしても、すぐ疲れてしまい、
遊びに出られない自分に罪悪感を感じる。
もう、心の奥底の感受性まで疲れ切り、
日々のささいな「嬉しい」をキャッチできるアンテナさえ壊えてしまっている。

なのに、それでも身を削るように日記を書く山本さん。
読むのがつらく、「山本さん、もう書かなくてもいいよ」と思うほど痛々しい。
読んでいたのは日中だというのに、
なぜか私まで布団の中で縮こまった姿勢でしか読むことができませんでした。

長く辛い病気との闘いを描いていながらも本のタイトルは「再婚生活」。
「うつ病生活」とかじゃないところに、
この本の本当のテーマが秘められています。
大きな困難の中で山本さんと王子が
別居夫婦という形から「家族」へと変化していくステップに病気があったように感じます。

この本に特にかしこまった締めはありません。
あとがきもありません。
2人の戦いはまだきっと続いている。
2人の生活が穏やかで幸福であることを、
そして2人がもっともっと「家族」になっていくことを望まずにはいられません。

山本さん、おかえなさい
そしてこれからものんびり待っていますウィンク
| comments(4) | trackbacks(0) | 14:20 | category:    山本文緒 |
# 超魔球スッポぬけ!
超魔球スッポぬけ!
超魔球スッポぬけ!
朱川 湊人
超魔球スッポぬけ!/朱川湊人
幻冬舎
1260円
評価 ☆☆☆☆
幻冬舎のwebマガジンPCで連載していたものの単行本化。
連載をはじめるにあたり幻冬舎側から出た注文は
「内容はお任せしますが、書いている作品と正反対とも言える
その性格をストレートを出したもの」というもの。
つまりは自分の半生を振り返りつつ、
世の中のいろんなことを読者と一緒に笑い飛ばしていこうじゃないかと!!
ふざけたタイトルですが、ぜひあたたかい目で・・・ラッキー



(感想)
朱川さん方は結構読んでるんですけど、
まさか40代前半の方だったとはびっくり
やー、おじいちゃんだと思ってたからビックリ!
新鮮な驚きでしたね〜。

川上弘美さんあたりは
作品のイメージとエッセイからわかるその人の本来の性格がきれいに一致するけど、
朱川さんほど意外性のあった人はいないかも!?
結構面白いおじさんなのよね〜おはな

作品のコンセプト通り、
朱川さんの作品のイメージとはまったく違う笑える内容で、
主に青春時代の思い出に触れています。
特に朱川さんと同年代の方はフォ−クソングやウルトラマン、
仮面ライダーの話題には懐かしさで目頭が熱くなるのでは?(笑)
大爆笑はないものの、言い回しや表現にはニヤリとさせられますウィンク

各章の冒頭でイチイチ、ニートをけなすのはどうかと思うけど汗

朱川さんのイメージが壊れることは必須です。
これから違う目でこの人の作品が読めそう〜。
怖いもの見たさでぜひどうぞ!!
| comments(2) | trackbacks(2) | 10:21 | category:    朱川湊人 |
# 空の中
空の中
空の中
有川 浩
空の中/有川浩
メディアワークス
1680円
評価 ☆☆☆☆
200X年、二度の航空機事故飛行機が発生どんっ
しかしそれは人類を眠れる秘密と接触させる出来事でもあった。
秘密を拾った子供たち。
秘密を探す大人たち。
秘密に関わるすべての人が集ったその場所で、最後に救われるのは誰か・・・。



(感想)
人間 VS 怪獣「白鯨」。

その怪獣の知能は高く、ヘタすれば人間以上。
しかし彼らは「悲しい」「嬉しい」といった感情という概念を理解できない。
そんな生命体と戦わずにして、
心を通わせ和解することで事態を収束していく人間たちの物語です。

「人間 対 怪獣」においても
「人間 VS 人間」においても感情のやり取りがとにかく面白いおはな
まさに「心の戦い」を描いた作品であるとも言えます。

瞬と真帆。
すがりたい、求めたいという感情のままに突き進む2人の危うさ。
そこに正論でまっすぐ攻めてくる佳江のひたむきさはある意味では残酷でもある。

基本的には感情の概念を持たないはずが、
人間に拾われ、育てられた白鯨・フェイクだけは「心」を持つ。
そのフェイクが感じた圧倒的な孤独感の描写・・・。
このへんの素晴らしい文章力鉛筆2と創造力には感動!!

自衛隊という男社会を女性作家女が描くからこその視点、展開。
有川浩さんの作品に女性ファンが多いのはここに魅力があるからニコニコ
春名さんと光稀さんの会話なんてかわいすぎるーハート大小
20代になって怪獣映画にハマった私にはサイコーの本でした猫2



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
海の底/有川浩
クジラの彼/有川浩
| comments(1) | trackbacks(0) | 08:56 | category:    有川浩 |
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