隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# なるほどの対話
なるほどの対話
なるほどの対話
河合 隼雄,吉本 ばなな
なるほどの対話/河合 隼雄,吉本 ばなな
新潮文庫
500円
評価 ☆☆☆☆
個性的な二人の本音は、とてつもなく面白く、深い。
「対話の達人」と「言葉の名手」が明かす生きるコツとは・・・。



(感想)
ばななさんの心の本音を河合さんがうまく引き出し、
彼女の迷いや疑問に答えが見つかるように道しるべをつける・・・
そんな対談でしたニコニコ
この対談は2人にとって、
とても有意義なものだったのではないでしょうかわーい

私はいいことが書いてあるページのスミを折っておくクセがあるのですが、
この本読書は20〜30箇所は折ったと思います。
特に現在の若者と老いの章は“折り”が密集してしまいました。

河合さんがばななさんの小説を
「普通の人が言っている、
“やさしさ”とかいうやつの、もう一つレベルの深いところがある」
と言っておられましたが、
すばらしい解釈だと思います。

なぜ、私がばななさんの小説にこれほどまでひかれるのか、
その答えもこの本で彼女を知ることにより、わかった気がします。
作家としてだけでなく、一人の人間としても彼女の考え方には
共鳴できるものがありました。

それを引き出した河合さんも本当に“対話の達人”です!!
| comments(0) | trackbacks(1) | 11:52 | category: アンソロジー、競作 |
# ビネツ
ビネツ
ビネツ
永井 するみ
ビネツ/永井するみ
小学館
1890円
評価 ☆☆☆
青山の高級エステサロン『ヴィーナスの手』。
サロンオーナーの安芸津京子にヘッドハントされた麻美は、
その手の特性から“神の手パー”の再来ともてはやされる。
このサロンにはかつてサリという神の手を持つエステティシャンがいたが、
六年前に何者かに殺害されていた。
京子と夫、サロンに通う客たち、京子の息子・柊也などの愛憎が
複雑に絡み合いながら物語は展開するが―。



(感想)
永井するみさんの作品はどれもサクサクと読める読みやすい本ばかり。
これも例外ではなく、
面白くてあっという間に読み終えてしまいました。

女性を美しくするエステ業界の内幕を描いていますが、
美の追求よりも
女性の汚い部分を見せられることにより面白さをかんじるイヒヒ

自分よりモテる女・デキる女に対する僻みと嫉妬。
これが出てくれば出てくるほど面白い。
(私ってイヤな女!?でもこれが女の本音でしょ!?

「きれいになりたい」・・・そう思っている女性たち。
でも彼女達の中身は打算と嫉妬で真っ黒!!

エステ口紅という世界はほとんどが女性だけで構成されています女女女
だからこそこんなにもこの小説はドロドロしているのです。
男性は覚悟して読んでください(笑)



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
さくら草/永井するみ
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:44 | category:    永井するみ |
# おかみさんの経済学 女のアイデアが不景気をチャンスに変える
おかみさんの経済学―女のアイデアが不景気をチャンスに変える!
おかみさんの経済学―女のアイデアが不景気をチャンスに変える!
冨永 照子
おかみさんの経済学 女のアイデアが不景気をチャンスに変える!/冨永照子
角川oneテーマ21
600円
評価 ☆☆☆
不景気を吹き飛ばして街おこしに大成功猫2チョキ
男社会の浅草でおかみさんが立ち上がって復興へ・・・。
おそるべし!おかみさんパワーが日本を救う!?
人を動かすリーダー術から後継者の育成、
リスクの背負い方までのヒントが満載!!



(感想)
著者は浅草でお蕎麦屋さんを経営するおかみさん。
“浅草おかみさん会”の会長を務める方でもあります。

不景気で元気をなくしていた浅草の復興に立ち上がり、
見事に活気を取り戻させたのは、
おかみさん達・女性女のがんばりだったようです拍手

女性が何か新しいことをはじめようとすると、
色眼鏡で見る人が必ず出てくるものたらーっ
特に浅草のように古い歴史を持った地域ならなおさらのことだったはず。

しかし、それに負けてはダメ。
むしろそれを吹き飛ばす勢いで立ち向かわなければ
現状をかえることなんてできない。

今、成功している女性がたくさんいて、
彼女達を見ていると同性として誇らしく感じますニコニコ

全国どこをみても壊滅の危機にさらされた商店街で溢れている。
それを女性らしい観点で変えることはできないか・・・
全国のおかみさんが立ち上がったらきっと何かが変わるはずぴかぴか
そんな期待も込めてすべての働く女性におすすめしたい本です。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:34 | category: 作家名 た行 |
# どれくらいの愛情
どれくらいの愛情
どれくらいの愛情
白石 一文
どれくらいの愛情/白石一文
文藝春秋
1800円
評価 ☆☆☆☆
5年前、結婚指輪を誓い合った女性から裏切られ、
どん底の気分を味わっていた正平は、
ただ事業を大きくすることにすべてを捧げていた。
しかし、その彼女が病気病院になり、
再び交流することによって、
あの時の裏切りが彼女の芝居であったことを知る。
離れていても、裏切られても、愛し合えるのか・・・。
運命を信じさせてくれる全4編。



(感想)
自分で選び取ったはずの人生なのに、
突然の別れや裏切りによって
自分の望まない人生を歩くことになった人たちをそれぞれ描きます。

「私という運命について」「もしも、私があなただった」でも感じたことだけど、
白石さんは【運命の強さ】【意思の力】を
自分が小説を書く上での大きなテーマにしているのではないでしょうか?

白石さんの描く恋愛は「愛ラブ」や「恋ハート大小」という言葉では
語れないくらいレベルの高い感情で、まるで精神論のような深みがある。
ただの恋愛小説ではないものを書く人。

直木賞にノミネートされていながらも、
該当作なしという結果で受賞を逃している本読書でもあるんけど、
それについてもなんとなく納得ノーノー
心が洗われるような美しい純愛を見せてくれるけれど、
これまでの作品に比べて、特に光るものがある作品ではない。

いちばんはじめに収録されている「20年後の私へ」では
【手紙メール】が大きなキーになっている。
しかし、これは「私という運命について」でも使われたキーワードだけに
「またか・・・」と食傷気味あせあせ

ジワ〜ッと泣けるような清い感動がなかったのもマイナスかなたらーっ
これという一発に欠けてるんだな、きっと。

でも、明日への明るい日差しが感じられる。
白石さんの他の作品と比べると落ちるけど、わりと好きかも猫2

それにしても白石一文さんが
白石一郎さんの息子さんだったとは知りませんでしたどんっ
しかも双子の弟さんの白石文郎さんも作家だそうで・・・。
作家一族なんですね!

白石一郎
白石一文
白石文郎
みんな名前が似てる・・・。
間違えそう・・・。



●この本を好きな人におすすめなのは・・・
私という運命について/白石一文
もしも、私があなただったら/白石一文
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:20 | category:    白石一文 |
# 中庭の出来事
中庭の出来事
中庭の出来事
恩田 陸
中庭の出来事/恩田陸
新潮社
1785円
評価 ☆☆
あるホテルの中庭。
こぢんまりとしたパーティの席上で、気鋭の脚本家が不可解な死を遂げた。
周りにいたのは、次の芝居のヒロイン候補たち。
自殺!?それとも他殺!?
芝居とミステリが融合した新感覚の恩田ワールド!!



(感想)
「チョコレート・コスモス」に続き、今回も演劇モノ。
恩田さんの中で今、演劇ブームがきてるのかなぁ?
それとも舞台の脚本を書いてみたいの?

これを面白かった、5つ星だ、といえる人を私は尊敬する〜。

内側の話、外側の話、
実際の出来事、脚本の中の出来事・・・
なにがなんなのかさっぱりわからな〜いひやひや
私が頭悪い!?

とにかく話が次々に飛ぶし、どれが真実で脚本なのか判断できない。
自分がどこに立っているのかも、彼らがどこにいるのかもわからない。
頭の中でまとまらないのです。
おそらく紙にメモ鉛筆2を取っていたとしても、
私じゃキチンと把握しきれなかったと思う汗

後半はなんとなく確信がつかめてくるんだけど、
圧倒的に引き込まれるような魅力はなかったな〜。

実際にこれを舞台化してみせてもらったほうが、
よっほどわかるかもモゴモゴ

好きな作家の本読書じゃなかったら、
間違いなく途中で投げ出してたこと確実ショック

恩田さんにとって実験的な作品だったのでしょう。
こんなのを出版して許されるのは人気作家だからかもね。

でも読者を混乱させ、
惑わせることがこの本を書いた目的ってのもありうる!?

とってもチャレンジングな試みであったことは認めます。
でも、これには世のほとんどの人がついてこれないのも確かです。

恩田さん、作り込みすぎだよ・・・ノーノー

こんな感想しか書けない私を許してくださいたらーっ
| comments(0) | trackbacks(0) | 09:44 | category:    恩田陸 |
# きつねのはなし
きつねのはなし
きつねのはなし
森見 登美彦
きつねのはなし/森見登美彦
新潮社
1470円
評価 ☆☆☆
細長く薄気味悪い座敷に棲む狐面の男から囁かれた奇妙な取引。
私が差し出したものは、そして失ったものは、あれは何だったのか・・・。
さらに次々起こる怪異の結末は―。
妖しくも美しい全4作。



(感想)
森見登美彦さんの本読書を読むのは「太陽の塔」以来、二冊目。
「太陽の塔」とはまったく違うジャンルで、文体で、
この二作が同じ作家の手によるものとは信じられないほどです!
ものすごい可能性と幅の広さを感じさせてくれる作家!!
しかもまだ27歳!?

4作に共通するのは妖艶な美しさ。
ホラーとも言いがたいような幻想的で不思議なお話。

それぞれの短編に
「狐の面」「芳蓮堂という古道具屋」というキーワードが出てきて、
一瞬すべての話はリンクしているように思えるんだけど、
設定が微妙に違う・・・・ひやひや
で、どれも謎が謎のままで解決していない。

腑に落ちないような不可思議な要素が多く、
全体的に曖昧な印象を醸し出しています。

細かな想像は読者それぞれに任せるってことかな。
著者、作品時代は多くを語らず、
それらは自分の想像力で解決納得してくれというタイプの作品なのかも。

世の中にははっきりとさせてはいけないことがある。
「狐は人間を騙す」だとか、
そういう言い伝えも本気になって証明したりはしてはならない。

謎は謎のままでのこしておかなくてはならない場合もある。
そのへんの境界線を妖しく漂うような作品群でした。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:30 | category:    森見登美彦 |
# 檸檬のころ
檸檬のころ
檸檬のころ
豊島 ミホ
檸檬のころ/豊島ミホ
幻冬舎
1470円
評価 ☆☆☆☆
いっそ痛いと思った、その痛みだけは思い出せた。
かっこ悪くて、情けなくて、でも忘れられない瞬間がある。
田んぼ植物と山に囲まれた、
コンビニセブンの一軒もない田舎の県立高校を舞台に綴る、青春の物語。




(感想)
自身の高校生活学校も“暗くて無様だったという”豊島ミホさん。
地味は地味なりの青春というものを一度は描きたいと思っていたそうです。


舞台は東北の片田舎にある高校。
ちょっとした進学校。

はじめはこれが現在小説だとはわかりませんでした。
登場人物たちがあまりにも素朴で、時代に左右されていなくて・・・。
でもたしかに“田舎の高校生”ってこんなもんなんですよねぇ。

かつて田舎の地味な高校生だった私にも痛いほどわかりましたたらーっ

地味は地味なりに、青春はかけがえのないもの。
そのキラキラした時代ぴかぴかの良さと瑞々しさを思い出し、
少しだけ甘酸っぱい気持ちに浸りました。

描写や登場人物の会話の中に「著者の若さ」がすごく出てます。
そのへんも微笑ましい。
今度に期待したい作家です。



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
エバーグリーン/豊島ミホ
| comments(0) | trackbacks(1) | 11:05 | category:    豊島ミホ |
# 少年たちのおだやかな日々
少年たちのおだやかな日々
少年たちのおだやかな日々
多島 斗志之
少年たちのおだやかな日々/多島斗志之
双葉社
1890円
評価 ☆☆☆☆
またあのおばさんに出くわすかもしれないと思うと、
それだけで冷や汗がにじんでしまう・・・。
しかし、おびえているのは、本当はあのおばさんの方だった。
1…、2…、3…、平穏な日常が音を立ててゆがみはじめる。
恐怖サスペンスの傑作短篇集。



(感想)
思春期の子供達の平穏な生活が
ささいなことから突然歪み始める恐怖を描くサスペンス短編集

瑞々しい青春小説が読みたくなり、
タイトルに惹かれて手にとってみたのですが
タイトルから受けるイメージとはまったく正反対の恐怖小説じゃないですか冷や汗

当初のイメージとはかけ離れた作品でしたが、
ブラックな笑いの要素も含まれており、
思わぬ“あたり”でしたるんるんるんるん

大人だけど大人じゃない。
ちょっと背伸びしてみたいけど、本当ははまだまだ子供。
それに気づかない10代の無知と残酷性が恐怖を呼び起こす。
背筋の寒くなるような冷たさのある作品です。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:56 | category: 作家名 た行 |
# 通天閣
通天閣
通天閣
西 加奈子
通天閣/西加奈子
筑摩書房
1365円
評価 ☆☆☆
夢を失いつつ町工場で働く中年男と、
恋人に見捨てられそうになりながらスナックで働く若い女。
ふたりは周りの喧騒をよそに、少しづつ追い込まれていく。
しかし、通天閣を舞台に起こった大騒動がふたりの運命を変えることに…。



(感想)
タイトルから、関西を舞台にした
お気楽に笑える小説かなと思っていたけどそうじゃなかった。

主人公は町工場で働く40代の男と、
恋人との別れの危機を感じながらスナックで働く20代の女。
この二人の姿が交互に描かれ、
交錯しそうに思えるんだけどなかなかそうならず、
通天閣で起きた「ある事件」によってほんのわずかに接することになる。

けど、二人はお互いを認識することのないまま・・・。

読書の世界に入り込むまでにすご〜く時間がかかります汗
序盤は本当に面白くないひやひや
でも二人に欠けているものが見え始めると少しづつわかってくる。
関西独特のノリの良さもあり、テンポ良く読めるようになります。

中年男が人と密につながることを拒み、一人で生きていることと、
女が恋人の愛を失うことを極端に恐れていることの根本にある原因・・・
それは「愛情の記憶」。

愛すべきものを愛してあげることもできなかった後悔と、
愛してほしかった人に愛されなかった過去。

恋愛だけでなく、広い意味での愛ラブ
それを沢山傾けられたり、あるいは抱いた経験は
その人自身を作る大きな要素になるものなんだなぁニコニコ

西加奈子さんって私と同世代ということもあってか、
表現の仕方が結構、私のツボおはな
ものすごく可愛がられている中国の子供のような、
 こんなむくむくと大げさな厚着
≫とかかわいすぎるっっハート大小

でもでも、私の大っ好きなおバカ映画カチンコ
「ジム・キャリーはMr,ダマー」の描かれ方がひどい・・・ぶー
畜生!!あの映画の良さをみんなわかってないよねあせあせ

東京の人にとっての「東京タワー」、
そして大阪の人にとっての「通天閣」って
何か大きな意味のあるものなのでしょうか。
人生に立ち止まってしまった時、
高い建物に登ってみるっていいかもしれない!!
下界に見える町並みビルや人男、車車の小ささを見たら、
何かふっきれるものがあるかもしれません上向き



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
東京タワー/江國香織
東京タワー 東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~/リリー・フランキー
| comments(8) | trackbacks(2) | 09:31 | category:    西加奈子 |
# 勝負師の妻―囲碁棋士・藤沢秀行との五十年
勝負師の妻―囲碁棋士・藤沢秀行との五十年
勝負師の妻―囲碁棋士・藤沢秀行との五十年
藤沢 モト
勝負師の妻―囲碁棋士・藤沢秀行との五十年/藤沢モト
角川テーマ21
720円
評価 ☆☆☆☆
借金、酒乱、ギャンブル、愛人、癌…。
無頼派の囲碁棋士の藤沢秀行を影で支えた妻。
壮絶な家族の絆とは何か?
こんとんとした時代の生き方、人生を考える一冊。



(感想)
私はこの本を読む以前に、
藤沢秀行さん自身が自らの人生を語った
「野垂れ死に」という本読書をまず先に読んでいます。

そのときに思ったのが、
“この人の人生は本人じゃなく、苦労させられた奥さんの方が
 語った方が絶対に本としてはおもしろい”ということ。

で、
奥さんが書いた本もあると知り、すぐさま購入しましたウィンク

予想通り、“苦労させられた方の言い分”の方がおもしろい!!
古い考え方かもしれないけれど、
ここまでしっかりと夫を支えた奥さんの生き方は
同じ女性として最も尊敬できる生き方だと思えますニコニコ

文章の構成は藤沢さんの本の方がまとまりがあり、
読みやすかったような気がしますが、
同じ出来事でも2人の視点・考え方はまったく違っていたりするので
2冊まとめて読むことをおすすめします。


●この本が好きな人におすすめなのは・・・
野垂れ死に/藤原秀行
| comments(0) | trackbacks(1) | 10:47 | category: 作家名 は行 |
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