# 自転車少年記
2006.08.31 Thursday
自転車少年記
竹内 真
●自転車少年期/竹内真
●新潮社
●1995円
●評価 ☆☆☆☆☆
銀色に輝く翼を手に入れた昇平と草太は、冒険をした。
レースで汗を流した。もちろん素敵な恋もした。
自転車のスピードで、少年は大人へと成長する。
(感想)
自信を持って人にすすめられる本に出会えました。
読んでいてこんなにすがすがしい気持ちになれた本は久しぶりです
成長小説はたくさん読んできたけど、
「自転車」というアイテムにこだわった点が何より見事でした。
昇平と草太の出会いは4歳の時。
補助輪なしでの自転車乗りの練習をしていた昇平が、
坂道の猛スピードで草太の家の生垣に突っ込んだ日から、
29歳になり300キロの自転車ラリーに出るまでの25年間を描いているのですが、
二人の人生の節目には必ず自転車があるのです。
同級生たちに差をつけるために坂道で怖がらずに自転車に乗るための特訓をしたこと、
海まで何時間もかけてサイクリングしたこと、
高校で自分たちで自転車部を発足したこと、
東京で暮らし始めるために東京まで自転車上京したこと・・・
二人の青春にはいつも自転車がある。
自転車によって人間関係も開かれた。
好きなものでつながっている人々の連帯感ってやはりすごいですよね
忘れてならないのが、二人と中学校で出会う伸男。
この作品の3人めの主人公。第3の男。
自転車屋のおじさんを持つ彼は、二人の自転車のメンテを手掛けます。
この作品においても重要な存在です。
後半に唯一、彼をメインに描く章があるのですが、
そこから最後まで私の涙腺は開きっぱなしでした
ラストの連帯感は爽快
「悲しい」とか「かわいそう」ではなく、「感動」で泣ける小説でした。
●この本が好きな人におすすめなのは・・・
自転車少年記 あの風の中へ/竹内真
「自転車少年記」では描かれなかった少年達のその後や、
昇平の息子が自転車少年になっていく過程が描かれています