# 図書館の女王を捜して
2009.07.15 Wednesday
JUGEMテーマ:小説全般
● 図書館の女王を捜して / 新井千裕● 講談社
● 1680円
● 評価 ☆☆☆
主人公は妻を亡くしてから酒を飲むだけのだらだらした日々を過ごしていた。
「何でも屋」を名乗ってはいるものの、仕事らしい仕事はほとんどしていない。
そんな日々にふと迷い込んできた仕事の依頼は「デッサンのモデルになってほしい」というものだったが、
その依頼はこの世に愛する人を残したままに亡くなった幽霊の想いがもたらしたものだった
ホワイトローズの香りと、図書館の文学全集に残された蝶の栞・・・・。
本と死者をめぐる癒しのミステリー。
(感想)
本のタイトルはおろか、著者の名前もはじめて聞くものだったけれど、
“図書館”という言葉にひかれて読んでみました。
一言で言うと「幽霊がもたらすハートフルミステリー」とでも言うのかなぁ。
妻を亡くして自堕落な生活を送っている主人公がある魅力的な女性と出会う。
彼女も夫を亡くしており、実は二人の出会いは霊となった彼女の夫の策略によるもの。
この世に置いてきた妻を一人ぼっちにさせておくのはかわいそう・・・、
自分が一緒にいられないのであれば、自分が「いい男」と見込んだ男と妻が恋に落ちるように操って、
妻にこの男と幸せになってもらおう・・・・と、死んだ夫は考えてるのですが、
なんだか腑に落ちない話ですよね
しかも、彼らの周りには霊と会話できるほどの強力な霊感を持った人物がおり、
彼女の夫や主人公の亡き妻と交信することによってあらゆる真実が見えてくる。
つまり、はっきりしないこと・ちょっとした謎などが出てくるたびに、
いろんな霊が出てきてはうまく答えを教えてくれる・・・・これってあまりに都合が良すぎるのでは?
優しさと癒し、ほのかにユーモアも交えた心地よい作品ではあるんだけど、
こういう手段でなんでも片付けちゃうのってどうなんだろう。
最後にちょっとしたエッセイとも言えるくらいの長いあとがきがあるのですが、
本編よりもむしろこちらの方がインパクトがありました。
本編とはまったく関係のない、実在した女性の話なのですが、
彼女のことを小説にした方がよっぽど面白かったのでは
その筋では有名な方のようだし、取材すればたくさんのエピソードが出てくるでしょう。
著者にはぜひ彼女のことを書いてほしいです。
あー、美味しい焼き鳥が食べたい