隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 猫を抱いて象と泳ぐ
評価:
小川 洋子
文藝春秋
¥ 1,780
(2009-01-09)
コメント:美しく、繊細、崇高な作品でした

JUGEMテーマ:小説全般
● 猫を抱いて象と泳ぐ / 小川洋子
● 文藝春秋
● 1780円
● 評価 ☆☆☆☆☆
上唇と下唇がくっついた状態で生まれてきた少年は寡黙な子供に成長し、
住居として改造したバスに住む太った男性に出会い、
人生のすべてとなるチェスを学ぶ。
体が小さく、チェス盤の下に潜り込んでチェスが指せない伝説のチェスプレーヤー・リトル・アリョーヒンのささやかな奇跡。



(感想)
美しく、繊細。崇高な作品でした。
読んでいる間、素晴らしい時間を味わわせてもらったような気がします。

チェスのやり方なんてまったくわからないんだけど、そんなことは気にならない。
むしろ、黒と白の8×8の世界で描かれる鮮やかな駒の動きに引き込まれていく・・・。
これは「博士の愛した数式」で数学の美しさに魅せられたあの感動に似ています。

主人公のリトル・アリョーヒンは上唇と下唇がくっついた状態で生まれてきました。
手術で切れ目を入れて、初めて産声を上げたのだけど、
その切れ目のむき出しになった肉の部分に脛の皮膚を移植したおかげで、
そこから毛が生えているという変わった風貌の少年になってしまった。
口が閉じた状態で生まれてきたせいか、寡黙な少年となり、
チェスと運命の出会いをしてからは、チェスが彼の人生のすべてとなります。

何かとてつもなく愛せるものを見つけた時、
リトル・アリョーヒンのように自分を激しく主張せずに、
つつましやかに愛することがはたして私にはできるのか。
これはとても難しいことだけど、彼のように世界を壊さずに汚さずに、
影となって謙虚に愛することこそが本当に愛し方であり、美であると思えた。
こういう人こそ尊いのだろうな。

老婆令嬢の言葉・・・・。
「自分のスタイルを築く、自分の人生観を表現する、自分の能力を自慢する、自分を格好良く見せる。
そんなことは全部無駄。何の役にも立ちません。
自分より、チェスの宇宙の方がずっと広大なのです。
自分などというちっぽけなものにこだわっていては、本当のチェスは指せません。」
これってチェスに限らず、人生にも言えることだよなぁ。
「最強の手が最善とは限らない」というのも深いっ

大きくなりすぎてデパートの屋上から降りることができなくなった象・インディラ
“大きくなりすぎる恐怖”がこの作品の大きなテーマになっているのだけれど、
それは体の大きさだけでなく、心の問題でもあるんだろうなぁ。

最後は頬に一筋の涙がこぼれていました。
静かに泣けて、大きな余韻の残る作品。
今年のベスト10に大きくかかわってくること必至
「小川洋子の最高傑作」といわれてますが、それも言い過ぎではないと思います
| comments(2) | trackbacks(0) | 08:29 | category:    小川洋子 |
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コメント
☆美絵さん☆
こんばんは。コメントありがとうございます。
ああ、そうなんですよね〜。
小川さんの世界って芸術的で繊細で美しいけど、
苦手な人には絶対に入り込めない世界ですものね。
「読む」というよりは「味わう」といった方が正しいような、素敵なものを書く作家さんだと思います。
ぜひ、もう一度ゆっくり読んでみてくださいな♪
| ともみ | 2010/02/20 3:00 AM |

いまいち小川ワールドに入り込めなかった私ですが……。
こちらの感想を聞いてああ、そうかと納得すると同時に、もう一度読みたくなってきました。
小川さんの綺麗な文章は素晴らしいですよね。
| 美絵 | 2010/02/20 1:25 AM |

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