# 鼓笛隊の襲来
2008.05.19 Monday

鼓笛隊の襲来
三崎亜記
●鼓笛隊の襲来/三崎亜記
●光文社
●1470円
●評価 ☆☆☆☆
JUGEMテーマ:小説全般
戦後最大規模の鼓笛隊が近づいている。
避難もせず、義母をとともに自宅

果たして無事にのりきることができるのか――。
表題作ほか書下ろし1編を含む全9編の傑作短編集。
(感想)
三崎さんの発想の面白さは相変わらず


台風ではなく鼓笛隊が襲ってくる。
公園のすべり台として本物の「象」がやってくる。
自分の住む町の上空を浮遊する町に住む彼との遠距離恋愛。
比喩ではなく、本当に「仮面」をかぶって生活する人々。
・・・などなど、
私たちにとって当たり前になっている
日常の断片をちょっと置き換えただけで、
こんなに不思議で違和感のある世界が生まれるなんて

この本の登場人物たちはこの違和感をなんとか受け入れて生きている。
それは案外、簡単なことなのかもしれない。
私達が当たり前に思っている常識なんて、
もしかしたら簡単に揺らいでしまうものなのかもしれませんね・・・。
私たちの暮らすこの世界の裏側には、
もしかしたらパラレルワールドのように
こんな世界も存在しているかもしれない・・・。
いや、私達が気づいていないだけで、
この世界のどこかでひっそりとこんな不思議な出来事が起きているかも??
ありえない設定の作品集なのに、
なぜかそんな風に思えました。