# 食堂かたつむり
2008.03.03 Monday

食堂かたつむり
小川 糸
JUGEMテーマ:読書
●食堂かたつむり/小川糸
●ポプラ社
●1365円
●評価 ☆☆☆☆☆
アルバイトを終えて家

同棲していたインド人の恋人がすべてを持ち出し、逃げてしまったらしい。
私に残されたのは祖母から受け継いだ「ぬか床」だけ・・・

途方に暮れた私はふるさとに戻り、
メニューのない食堂

お客は一日に一組だけ。
そこでの出会いと食のパワーが徐々にすべてを変えていく。
(感想)
大好きな草野マサムネさんが帯のコメントを書いているからという
邪な理由で読んだんだけど、
すごーく面白かった

ある種の価値観を持っている人にとっては
一生の宝物にもなり得るような素敵な素敵な本でした

食べること = 生きること。
食べること = 愛。
「食」の重要さ・ありがたさを教えてくれる本

食べるって単純にお腹を満たすことだけじゃない奥深いことなんだ。
自分の気持ちを料理で伝えることもできるし、
この世には広い世界が広がっていることを料理で伝えることもできる。
私は配偶者のために毎日ごはん

一食一食を心をこめてしっかり作ろう

また、生きるために時には何かを犠牲にしなければならないこともある。
愛や美味しそうな料理があふれてほっこりと優しい作品なんだけど、
生の厳しさを残酷なほど生々しく教えてくれるエピソードもあり、
決してきれいごとだけじゃない、リアルを見せてくれる。
そこに真摯なメッセージを感じました。
著者は本当に料理と食べることを愛してるんだろうなぁ

本の中に出てくる料理は単純に「おいしそう」と思うというよりは、
どんな味になるのか想像することも難しいような
想像力をかき立てられる、ひねりのあるメニューばかり

そのイマジネーションのくすぐり加減もまたいいっ

「ザクロのカレー」とか
「同じ牛から取れた牛乳と生クリームとマスカルポーネで作ったティラミス」とか、
考えるだけでため息がでちゃう

よっぽどのお料理好きでないと考えつかない料理ばっかり

お店の様子をイメージするだけで楽しい

私もこのお店に行ってみた〜い。
こんなに幸せな気持になれた本は久しぶりでした
