隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# カシオペアの丘で
カシオペアの丘で(上)
カシオペアの丘で(上)
重松 清

カシオペアの丘で(下)
カシオペアの丘で(下)
重松 清
JUGEMテーマ:読書

カシオペアの丘で/重松清
講談社
各1575円
評価 ☆☆☆
40歳を目前にして人生の「終わり」を突きつけられたその日、
俊介はテレビテレビ画面に、
いまは遊園地になったふるさとの丘を見つける。
封印していた悲しく、後悔の残る記憶・・・。
俊介は何かに導かれ、ふるさとを目指す。



(感想)
テーマは「許す・許させる」。
許さなくてはならない人、許されたい人たちの物語で、
広い意味では宗教的な雰囲気も感じる作品です。

今回はちょっとネタバレもあります。
まだ読んでいない人はこの先はご自分の判断で読んでくださいね。


世の中の不幸がこれでもかというほどに織り込まれ少々しつこさを感じます。
登場人物の多く、一人一人の思いをしっかりと受け止めるのがあまりに重い。
果たして川原さんとミウさんのエピソードまで
必要だったのだろうかと疑問を覚えました。
この2人は悲しい記憶を抱えているからこそ、
導かれるように急速にミッチョたちと親しくなっていったのだろうけど、
昨日今日出会ったばかりの人にここまですべてをさらけ出し、
生活も仕事も犠牲にして北都にやってきてしまうのには違和感を感じざるをえません。

すべてを話し、許し、許されたあとの彼らが
だからといって昔のような仲良し4人組には戻らないさっぱりさは好きニコニコ
ミッチョとトシはシュンの病室病院を熱心に見舞うわけではなく、
亡くなってからもお葬式へ行くこともない。
かつての仲良しも、今はそれぞれの人生を歩んでいる。
その「引き」の選択ができる強さに感銘を受けました。

俊介は40歳で亡くなった。40年も生きることができた。
あたたかい家庭を作りあげ、仕事でも認められた。
そしてひとつだけ心に残っていた黒い影もきれいに清算してして導かれた・・・。
そう考えるとこの人はずいぶんと幸せな人なのではないかと思える。
それに気づいたら泣くことはできなかった。

王国を築き、守り抜くために「鬼」にならざるをえなかった「神」・倉田千太郎。
俊介の人生より、倉田千太郎の人生の方に興味を覚える。
いつか千太郎の物語も読んでみたい。

闘病モノで「泣かせる」というものでもない。
それよりは宗教的な観点で心が動かされる作品でした。
| comments(4) | trackbacks(1) | 13:10 | category:    重松清 |
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コメント
★ヤキソバさん★
短編向きというよりは
子供を描くのがうまい作家だなと思います。

今まさにその命の灯が消えようとしている人が最後に求めるのは
趣味で大切にしていたものとか友達なんかじゃなくて
何よりも家族や恋人なんです。
それをはっきりと見て、
この本をさらに理解したような気がしてます。

もしこの本が奇跡の起こるファンタジー風の作品だったら
今の私には耐えられなかったでしょうね。
| ともみ | 2008/01/31 12:59 PM |

おおきにっ。

著者は、短編集ではあれだけ緻密な世界を描くのに、
長編になると、全体の構成に、少々違和感が出るんですよね。
つまり、著者は、短編向きの作家なのかも知れません。

しかし、十分に魅力があります。

最終場面で、皆で螺旋スロープを上るのは圧巻。
また、末期肺癌という不治の病に対して、何らかの奇跡が起こるのか?
と想像したりもしましたが、割合常識的でした。

ただ、作品を構成するストーリーそのものよりも、
著者の世界観や、感性の温かさは、大きな魅力ですね。
| ヤキソバ | 2008/01/25 8:38 PM |

★じゅりんさん★
トラックバックしていただき、ありがとうございます。
お返事が遅れてごめんなさい。
これではちょっと詰めみすぎですよね〜。
俊介の家のエピソードだけでも十分重みのある作品になったと思います。



| ともみ | 2008/01/23 2:31 PM |

こんにちは^^
TBさせていただきました(^o^)

ともみさんのレビューを拝見させていただいて、うんうん、とうなずける部分が多く、なんとなくほっとしています(笑)。
良い作品だったのですけど、やはりいろいろ詰め込みすぎの感じはしますよね。ともみさんのおっしゃるとおり、不幸が多すぎて、どこに気持ちを持っていったらいいのか、戸惑いも感じました。川原さんの事件に関しては、全く次元の違うもの、のように思いますし。

私としては、シュンの闘病と、祖父の千太郎自身の人生・・など、二人の物語をもっとより深く読みたかったな、と思いました。
| じゅりん | 2008/01/15 10:58 AM |

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『カシオペアの丘で(上・下)』 重松清
肺の腫瘍は、やはり悪性だった―。 40歳を目前にして人生の「終わり」を突きつけられたその日、俊介はテレビ画面に、いまは遊園地になったふるさとの丘を見つける。 封印していた記憶が突然甦る。 僕は何かに導かれているのだろうか…。 『流星ワゴン』『その日の
| *precious memories* | 2008/01/15 10:40 AM |
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