隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 秋の牢獄
秋の牢獄
秋の牢獄
恒川 光太郎
秋の牢獄/恒川光太郎
角川書店
1470円
評価 ☆☆☆☆☆
JUGEMテーマ:読書

11月7日、水曜日。
女子大生の藍は、秋のその一日を何度も繰り返している。
毎日同じ講義が繰り返され、友人は何度も同じ話をする。
明くる日も、また明くる日も・・・。
彼女は何のためにこの日を繰り返しているのか。
この日々に終わりは訪れるのだろうか。
終わりの見えない絶望を描く3編の作品集。



(感想)
普段通りの日常生活を送っていたはずの主人公たち。
しかし、自分でも知らないうちに異国の扉を開けてしまっていて・・・。
ある日を境に「閉じ込められてしまった」人たちを描きます。

逃げられない人々ははじめは絶望するものの、やがては順応していく。
その変化の様子が淡々と淡白に描かれていくので余計に怖いです。

特に表題作の「秋の牢獄」では
何度も同じ日を繰り返す主人公が
「この日が体調の悪い日や、肉親の葬式のある悲しい日でなくてよかった」と
感謝すら感じるようになります。
違和感、恐怖、絶望・・・その先に残された感情。
≪いろいろあったが悪い日ではなかった。≫という
ラストの一文はゾッとするほど強烈でした。

恒川さんは読者をここではない世界に連れて行ってくれる。
妖艶で、とぎすまされ、まるで大人のための童話のよう。
もしかしたら私達の生きている空間のすぐ裏側には
こんな世界が存在しているのかも・・・と思えないでもないような不思議な感覚。
読者はこの圧倒的な世界観に飲み込まれ、どっぷりとこの世界に浸れます。

たとえそれが辛く厳しいものだとしても、
「明日」があるって幸せなことなんですね。



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
ターン/北村薫
| comments(2) | trackbacks(0) | 10:57 | category:    恒川光太郎 |
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コメント
★ヤキソバさん★
私もこの同じ時を何度も繰り返してしまうという設定は
昔大好きだったドラマに似ていたので新鮮さは感じませんでした。
ただ、リプレイしている人がたくさんいて、
主人公に孤独感が薄れていく点は
他の作品にはないものかな〜、と。
わずか一日を繰り返すので、
何かを積み立てていくことができない。
そのへんがすごくもどかしかったです。

北風伯爵の存在が
ファンタジックさを強調してましたね。
| ともみ | 2007/11/26 11:43 AM |

ともみさん、おおきにおおきにご苦労さん。

発想が、ケン・グリムウッドのベストセラー「リプレイ」と同じだという点は、インパクトが少なかったです。ただ、私はラストの部分よりも、その少し前で描かれている、リプレイする人は入れ代わっている事が描かれている部分の方が、より面白かったです。この発想をもってして、「夜市」と同列の完成度を感じました。

著者の作品の幻想性は、独特ですね。
長編だと、ボロが出ます。
中編が良いです。

アマゾンに送ったレビューは下記です;

(ココカラ)

絶賛

著者のこれまでの作品と比較してみる。
「夜市」は素晴らしい幻想と、意外きわまりない結末が堪能出来た。
「雷の季節の終わりに」は、風わいわいなどの造語が、違和感がなく、飾り気の無い幻想性が素晴らしかった。
ただ、雷の季節の終わりには、長編だったので、全体のまとまりに、少々違和感を感じた。

本書「秋の牢獄」はどうか?
内容そのものは、ケン・グリムウッド著の名作「リプレイ」に似ているので、インパクトは少し少ない。
ただ「リプレイ」は数十年というスパンでリプレイするのに対し、本書ではわずか1日だ。
また、本書は「リプレイ」の様な、人生そのものの検証を行う事はしない。
それよりも、短いスパンでの人間模様が面白い。

本書では、風わいわい的な存在として、北風伯爵が登場するのは、大変ファンタジックで、面白い。
また、本書の神髄は、結末ではなく、その少し前にある。

著者が構築したリプレイは、こんな形で成り立っているのか?
この発想そのもののインパクトは強烈で、「夜市」と同列の完成度の高さを呈する。

幻想性を、十二分に楽しめる。

(ココマデ)

| ヤキソバ | 2007/11/23 4:42 PM |

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