隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 空白の叫び(下)
空白の叫び 下
空白の叫び 下
貫井 徳郎
空白の叫び(上)/貫井徳郎
小学館
1785円
評価 ☆☆☆☆
少年院を退院した彼らはそれぞれ自分の生活を取り戻そうとするが、
社会の目は当然冷たく、徐々に行き場をなくしていく。
わずか10ヶ月の院生活で彼らはまったく更正していない。
自らの犯した殺人を悔い改めることはない。
そして、そんな再び3人が出会う日がくる。
新たな犯罪の予感を感じながら・・・。



(感想)
下巻は少年を出た3人が、社会でなかなか受け入れられず、
またもや新たな犯罪に手を染めてしまうまでを描いています。

一度罪を犯してしまった人間に対して
社会が冷たいのは当然のことで、
彼らは普通の人以上の頑張りが必要となる。
そこを理解せず、社会に反発するように新たな犯罪に手を染める少年達。

あまりに幼い発想。
幼い故に分別が付かず、犯罪に手を染めてしまった少年達は
理解力がないのだから、更正にも時間がかかるはず。
そのへんが今の日本は甘い。

要は少年を更生させるって、心や体に覚えこませるのではなく、
人対人で真摯に向き合ってくれる大人の存在が必要なのかもしれない。

葛城と神原の関係の件はいかにも作られた感があったけど、
被害者の父が久藤に語った真実にはハッとさせられる繋がりがあり、
久藤が更正への道を歩む道しるべとして
うまくつながっていると思いました。

少年達の心の叫びは最後の最後まで鳴り止むことなく、
結局3人に欠けていたものは、
注がれることのなかった愛情なのかもしれません。



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
空白の叫び(上)/貫井徳郎
さまよう刃/東野圭吾
天使のナイフ/雫井脩介

| comments(6) | trackbacks(0) | 11:54 | category:    貫井徳郎 |
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コメント
★ヤキソバさん
ブログのカテゴリ機能で
作家別に分類できるのは
自分で既読本を振り返る時にもとても便利で気にいってます。

そうそう、ヤキソバさんのHPも拝見しました!!
感想が深いのに簡潔にまとめてあり、
とても参考になりました。
またちょくちょく遊びに行きますね〜。

私はリストマニアは年に一度です。
年明けすぐに2006年のベスト本リストを公開すると思うので楽しみにしていてください♪

年末年始に恒川さんの「夜市」を読もうと思い、
図書館に借りに行ったのですが
貸し出し中でした(>_<)
でもまぁ、年末年始は仕事も人付き合いもバタバタとして慌しくなりそうなので、
少し落ち着いたらまた借りに行ってみます。

「空白の叫び」はおっしゃるとおり、
上巻の方が読み応えありましたね。
| ともみ | 2006/12/26 10:44 AM |

ともみさん、おおきにおおきにご苦労さん。

このブログは、作家別書籍カタログであって、
本を選ぶにあたって、大変役に立ちます。

私は、アマゾンのリストマニアで、作家別のものを作ろうとしていますが、
リストマニアは25件まで掲載出来、そんなに多くの作品を読破している、
作家が少ないのです。ごく数作だけ掲載してもショボいし。
ただ、西村京太郎、森村誠一、内田康夫ならいけます。
これらのリストは作りましたが、ヒット数が少なくて、寂しいです。

また、純文学系のリストを作るには、深い読み込みが要求されるので、
敷居が高いです。

そういう問題はあるものの、色々なリストを準備中です。
夏目漱石、三島由紀夫、川端康成、
アガサ・クリスティ、ダニエル・キース、
篠田節子、東野圭吾、菊池秀行などですが、いつになるやら。

漫画のリストなら、いくつも作りましたが。

さて、本書、空白の叫びは、下巻よりも上巻の方が凄味がありました。
下巻のこの展開は、緻密だけど、少し現実離れした感を感じました。

しかし、犯罪の贖罪について、最後に含蓄のある事が語られますね。
少なくとも、生きる事が贖罪の最低条件ですが、
現実の迷宮入り事件などは、犯人は、良心の呵責に苦しんでいるのでは?
という気がします。自首を勧めたいですが、時効の意味も分かる様な気がします。

葛城と久藤は、生涯にわたって重いものを背負うのですが、
現行法前の少年法により、罪が問われない事は、かえって残酷な気がします。
ただ、こんな事はレビューには書けませんので、下の様な当たり障りの
少ないレビューを送っておきました。

レビューに、重い社会問題を持ち込むと、もはや本の感想ではなく、
個人的な社会評論になってしまいそうです。

生きる事が贖罪

三人にとって、殺人は衝動的に生じたものではなく、
「必然」だったのかも知れない。
殺人は絶対に許される事ではないが、一度目の犯罪である殺人は、
定められた道だったという風に描かれている様に感じる。

当然、少年院を退院した少年達に対する、世間の風圧は強い。
しかし、三人は少年院でいったい何を学習してきたのか?
全く反省の色が無いのが、特に問題だと思う。

罪を深く受け止めて、真っ当に生きる事が贖罪につながると思う。
あろう事か、三人は新たな犯罪へと突き進んでゆく。
それは、ほとんど捨て鉢とも見なされる。

金への執着が強い程、贖罪の道は遠のくという印象だ。
罪は犯していないが、彩の夢は、ハワイに別荘を持つ様な金持ちになりたい、
という下りがあるが、これは、いくつかの点を象徴している。

金は、艱難辛苦を伴う努力の結果として、後から少しだけ付いてくる。
金持ちになる事が夢なんて、目的と手段が逆転した、おかしな夢だ。

三人の金に対する執着の程度が、贖罪に対する意志を語っている。
死ぬ事は卑怯と言われ、生きて贖罪する事を要求される下りは、特に印象的だ。

物語は綿密に練られていて、大変興味深いが、
三人の人格面での特殊性が強過ぎるという印象は持った。
その点で、少年犯罪の本質に迫る社会派作品というよりも、
全体に、三人を題材にした意外性のある物語という印象だった。
| ヤキソバ | 2006/12/26 4:00 AM |

★ヤキソバさん
そうです、そうです。
ここは人気のないブログなので、
ヤキソバさんときつねさんくらいしかコメントを残してくれません。
お二人にはとても感謝しています。
今後もよろしくお願いします。

貫井徳郎さんは今年、
特に注目した作家さんでもあります。
結構年配の人かと思ったんだけど、
意外に若いんですよね、1968年生まれ。
将来的には直木賞もとるでしょうね〜。

受験勉強もそろそろ大詰めでしょう。
息子さんはお正月も返上して
頑張るのでしょうか?
中学受験の問題かー。
多分、今の私には難しいんだろうなぁ。

| ともみ | 2006/12/26 2:09 AM |

ともみさん、おおきにおおきにご苦労さん。
きつねさんという、コメンターもおられるのですね。
どうかよろしく。

だいたい読みましたが、まだ100ページ程残っています。
内容は、何だか愚かな事をやっていますね。
明日には読了します。

早く読んでしまって、別の作品を読みたいです。
この作品は、テーマは重いですが、余韻は重くはありませんね。
(もっとも、まだ全部読んでいませんが)
貫井徳郎氏は、この調子で作品を発表してゆけば、
直木賞受賞も可能でしょう。「愚行録」は候補作品だったし。

それにしても、少年院で、三人は全く更正していませんね。
もともと、全く反省していないのだから。
このあたりに、大きな問題もありあそうですが、
問題の根は他にも多いですね。

長男の応援をありがとうございます。
中学入試の問題は、基本問題と応用問題とがありますが、
算数や理科の応用問題は、まるでクイズです。
関数や方程式の知識を当てはめても解けませんが、
塾で独特な解き方を教えてくれます。

国語は、大人の国語力をもってすれば、満点も可能です。
そんな問題で、小学生達は悩んでいます。
読書量の差は大きいですね。

しかし、大学入試の国語は、簡単ではないですね。
古文と漢文が入るし、小説・論説ともに、微妙なところを
突いてきますからネ〜。ただ、私は理系なので楽でした(笑)。
| ヤキソバ | 2006/12/25 2:21 AM |

★ヤキソバさん
やー、葛城のように
これまで失敗や敗北をほとんど経験することなく生きてきた人にとって、
それらは想像を絶する恐怖なのだと思います。
(たとえそれが、たかがガンプラであっても)

葛城の場合、
「失敗を重ねてもよい」とか
「それがいつか良い経験と思える」なんて考えはまず浮かばないでしょうね〜。

中学入試ですか!
たしかに第一志望の学校に入学できたら最高ですね。
しかし、仮にダメだったとしても
わずか12歳で人生の何が決まるわけでもないし、
誰でもどこかで大きな挫折を経験しておかないと
まともな人間にはなり得ないですよね(苦笑)

でも、息子さんの合格はお祈りしていますよ(^_^)
| ともみ | 2006/12/23 2:20 AM |

ともみさん、おおきにおおきにご苦労さん。

この作品は重いテーマを扱っていますね。
私はまだ上巻を読んでいる途中なので、全体像をつかんでいません。
明日は、仕事休日なので、大分読めるだろうと思います。

ところで、本書のごく最初の下りを少し蒸し返します。

ガンダムのプラモデルは、並のプラモデルにはない「高み」があると言います。
ガンプラには入門編と言えるHG(ハイグレード)、ディテールに凝ったMG
(マスターグレード)、精密さを極めたPG(パーフェクトグレード)があります。

少年の部屋には苦労して完成させたMGがいくつも飾られています。
しかし、PGには一度も手を出した事がありません。
もともと手先が器用で、プラモ作りは得意な少年が、です。

少年が、この玩具の域を超越した、半ば芸術品とも言えるPGに手を出して、
無様な結果に終わる恐れがあるのが怖いらしいです。

私の考えでは、失敗を重ねても良いから、PGに何度も挑戦すれば良いと思います。
しかし、完璧主義者の少年のプライドは、それを許しません。
一度の失敗は、少年の人生の敗北だとは、いやはや。
たかが、ガンプラで、です。

長男は、1月に私立中学入試を控えています。
私は、長男には、たとえ第一志望校に合格出来なくても、
かまわないとも思っています。

私は、全力でぶつかって、成功すれば最高だけど、
駄目だった場合でも、得るものは大きいと思っています。
もともと、私は、大学受験の予備校の様が学校は嫌いです。
(妻は、良い学校に入学すれば、将来が保障されると勘違いしています)
もっとも、勉強の厳しい学校だと、本を読む時間がありませんがな!

社会は「結果」を求めるという面もあります。
一方では、失敗が許されるのは、少年(少女)のうちだけです。

それにしても、本書は達観し過ぎているという印象です。
少し斜めに構えて読み進む必要があるな、と感じています。

本書購入にあたって、ともみさんのレビューは大変参考になりました。
参考ボタンを押させていただきました。
| ヤキソバ | 2006/12/23 12:39 AM |

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