隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 空白の叫び(上)
空白の叫び 上
空白の叫び 上
貫井 徳郎
空白の叫び(上)/貫井徳郎
小学館
1785円
評価 ☆☆☆☆
久藤は自分の容姿や頭脳が凡庸なことを嫌悪している。
頭脳明晰、経済的にも容姿にも恵まれている葛城は、
決して奢ることもなく常に冷静で淡々としている。
神原は両親との縁が薄く、自分の境遇を不公平と感じている。
3人は普通の中学生だった。
なのに、なぜ殺人者になったのか・・・。
少年犯罪を少年達の視点で描くクライムノベル。



(感想)
第一部は3人の少年が殺人を犯すまでの経緯、
そして二部は読むに耐え難い過酷な少年院生活を描きます。

少年達を突き動かしたのは「敗北感」や「絶望感」だった。
自分という「個(または自分の愛するもの)」を
激しく踏みにじられた瞬間の爆発どんっ
彼らはまだ幼く、傷つくことや負けることに慣れていない。
経験したことのないショックが、怒りへ直結する。

少年院の生活においてもそう。
分別の付かない子供の集まりだから、抑制が効かない。
人としての境界線を越えることに、
罪悪感も恐怖も持ち得ない愚かさはまさに幼さと同類。

しかし、少年院に入る少年達の心の汚れも問題だけど、
理穂の汚れのなさも現在人の私達には脅威である。
まるで水と油のような久藤と理穂がが分かり合えるはずもなく、
破滅へ進むしか道がないのは、わかる気がした。

第二部を読むのは途中でリタイアしたくなるほどつらい。
読むのには覚悟が必要です。



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
空白の叫び(下)/貫井徳郎
さまよう刃/東野圭吾
天使のナイフ/雫井脩介
| comments(2) | trackbacks(0) | 11:23 | category:    貫井徳郎 |
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コメント
★ヤキソバさん
この本で描かれる少年院での生活は
読むのが耐え難いほど過酷で、
少年達に「この苦しみを二度と経験したくなかったらもう犯罪はおかすな」と
思わせるための施設という印象です。
これでは少年達が更生などするはずもなく、
根本的な部分では何の解決にも更正にもなってないですよね(汗)
これでは少年院とは何をするところなのかがわかりません。
「悪いことをした子供を閉じ込めてバツを与える」為の施設でしかないのでは??

・・・なんてことを考えてたら、
子供の頃、悪さをすると
昔、味噌樽を保管していた納屋のようなところ(家では味噌小屋と呼んでいた)に閉じ込められたことを思い出したり・・・。

ヤキソバさんの
「理穂はバカです」の一言、ウケました。
たしかに彼女は3人の少年達よりも馬鹿ですね(笑)
| ともみ | 2006/12/26 2:00 AM |

おおきにおおきにご苦労さん。

上巻は読了し、現在は下巻の真ん中あたりを読んでいます。
著者の文体は、粘液質であって、読み進むのに時間を要しています。
ともみさんは、この犯罪を「爆発」ととらえておられるのは興味深いです。

確かに爆発ではありますが、私はむしろ、必然ととらえました。
ここで描かれている三人の少年の心の構造は、
少なくとも普通ではないですね。

よく、普通の平凡な学生が犯罪に走るという風に、
少年犯罪がとらえられやすいですが、
この作品が描く瘴気の程度からすると、殺人すら正当だと思えてきます。
(絶対に許される事ではないので、こんな感想はおかしいですが)

この犯罪では、一時的に理性を失って、歯止めがきかなくなったでは無いですね。
何より、三人とも、少年院を出ても、全く反省していません。

三人とも、いわゆるワルではなく、過剰な程の常識を備え、
年齢不相応の人生に対する達観があります。

理穂はバカです。
放置してほしいと訴えた、久藤の強引な手段を、重く受け止めるべきで、
この事を誤解してしまいました。箱入り娘で真面目先生ぶりが災いしたのでしょうか?

少年院とは、こんなに酷い場所なのでしょうか?
この部分は、読むのが辛いですが、篠田節子著「弥勒」の重さは、
この作品の比ではない程、読み進むのが辛いです。
しかし、篠田節子氏の最高傑作である事は、誰も疑わないでしょう。

上巻に対するアマゾンレビューを、下記の様に書いて送りました。
下巻も読了したら、違った視点のレビューを再度送ります。

ともみさんの、この読書感想ブログは、本のカタログとしてはすばらしいですね。

東野圭吾最新作を入手しました。
これも、なかなかの上物です。


瘴気

作品全体を貫く大きなテーマは「瘴気(しょうき)」だ。
瘴気とは、ここでは、得体の知れない鬱屈とした気分、という意味で使われている。

作品は、三人の少年の内面を深くえぐる。
その内容と文体は、非常に粘着質で、これでもかこれでもかという具合に。
そして、突き詰めると、彼らの瘴気に行き着く。
当然、それらを平常心では読めない。

ところで、少年のうち一人の存在意義の象徴が、精密なガンダムのプラモデルだという下りは、
たかがプラモデルが、と思ってしまう反面、共感出来る部分もある。
この部分は特に興味深かった。

作品は、上巻では事件、少年院、下巻ではその後を描く。
一貫している事は、少年院を出ても、三人とも事件を反省していない。
こんなに苛酷かつ壮絶な少年院を出ても、だ。

つまり、瘴気が少年達の心からは消えていない。
この部分に少年犯罪の一端を見る。

下巻では、少年達に、容赦ない世間の洗礼が待っている。
| ヤキソバ | 2006/12/24 9:41 PM |

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