# 星宿海への道
2017.11.28 Tuesday
JUGEMテーマ:小説全般
星宿海への道 / 宮本輝(幻冬舎)
個人的な評価 ☆☆☆☆☆
中国南西端の地より、燃え盛る炎を胸に男は姿を消した。
父の顔も知らぬ幼な子をかかえて生きる女と、
兄を追う弟のたぎる想い。
その愛しい生命の絆の再生を鮮烈に描いた巨編。
(感想)
引き込まれた!面白かった!いい読書時間を味わえました。
宮本輝さんの作品はいつも人の心の在り方をしっかり描いていて、
「まっとう」とか「正しい」とはどういうことかを考えさせられます。
文章も美しいし、
読むと心が洗われるよな感じがして大好きです。
雅人の奥底にある思いを言葉で表すのはすごく難しい。
けど、星宿海への強い憧れがあったからこそ、
雅人はその思いをよすがとして、
実母亡き後もまっすぐに生きれたのではないかと思います。
心に何かまっすぐしっかりとした軸のある人は強いんです。
結局、雅人は生きてるのか、千春・せつ親子はどうなるのか・・・
私はそこを作中で明らかにすることは特に重要ではないと思っています。
っていうか、はっきり書いたら野暮ってもんでしょ。
読者は雅人が生きて、二人の元へ帰ってくると信じてる。
それだけで十分なのではないでしょうか?
そんな余韻も心地よい作品でした。