# 吹上奇譚 第一話 ミミとこだち
2017.11.09 Thursday
JUGEMテーマ:小説全般
吹上奇譚 第一話 ミミとこだち / 吉本ばなな(幻冬舎)
個人的な評価 ☆☆☆☆
その街では、死者も生き返る。
現実を夢で知る「夢見」。そして屍人を自在に動かす「屍人使い」。
二つの能力を私は持っている。
吉本ばなながついに描いた渾身の哲学ホラー。書き下ろし長編。
(感想)
吉本ばななさんの作品には決してブレない芯のようなものがあり、
どの作品においてもそこを大事に描いています。
よく「吉本ばななの作品ははどれもそっくり。同じようなのばっかり」と言われるのは、だからです。
ばななさんが大事にしてるこの思いに寄り添えるかどうかで、
ばななワールドを楽しめる人かどうかが決まります。
私にとっては読み逃したくない素敵な表現の多く、
作品からは得るものと心の充実度が大きい作家さんです。
今回、いちばんズキンと来たのは、
80ページの「別れた恋人に届け物があってあと一回だけ会える、そんなときにはかない望みが苦しい喜びをもたらす」って部分だなー。沁みました。
キャラクターたちの個性・内に抱える悲しみや力強さ、
そのひとつひとつがばななさんの作品らしさにあふれてて、たまらなく愛おしい。
もはやストーリー云々ではなく、感覚で心を揺さぶられる。
吉本ばななの小説って、そういうものだと思っています。
そしてこの作品、「第一話」ということで、
どうやら王国シリーズのように続きがあるようですね。
「哲学ホラー」という売り文句ですが、まだホラー的な要素も感じないし、
今後の展開が多いに楽しみです!!
・・・それにしてもww
まさかばななさんの作品の中に「尼神インター」が出てくるとはww
彼女らの出現で冒頭の戸川純のインパクトは一気に吹っ飛びました。
“まさか尼神がww”と驚愕、大笑いでした。